第6話
「頭痛い...」
「バッチリ二日酔いですね」
浴びるように酒を飲んだ翌日。僕たちのパーティーはすっかり酔いつぶれ、ギルドの酒場で突っ伏していた。
「あぁ。というかマイラ。別にタメ口でもいいぞ?」
「え、いいの?」
「あぁ。すごくむず痒いから」
「わ、わかった。よろしくマールル」
というわけで、王都のクルセイダーを呼び捨てで呼べるという末恐ろしいことが許可され、今日も今日とてギルドの掲示板に向かう。しかし、
「ろくなクエストがない...」
ある程度のレベルの人たちなら簡単にクリアでき、なおかつ報酬もいいクエストたちはもう既に取られていた。あるのは面倒な上に報酬も少ないいわゆる塩漬けクエストだけ。
「悩んでも仕方ない。このクエストでいこう」
と、マールルが取ったクエストは...、
「グリフォンの目玉を取ってくる!?何考えてるんですか!?ピンポイントすぎますし危なすぎますよ!しかもなんですか報酬がたったの100ゴールドって!」
「ルイ最近ハキハキ喋るね」
当初の内気な性格の設定はどこえやら。
「まあ、何とかなるでしょ。私がいるし」
「そうかもしれないですけど、それだとマールルさんだけレベルアップしちゃうじゃないですか!」
「大丈夫大丈夫。みんなにも経験値行くようにするから」
「う、それなら...」
いやそこで負けるなよルイ。
まあ結局、そのグリフォンの目玉回収のクエストに行くことになったとさ。
「そっち!ルイそっち行った!」
「え!?私ですか!?わああ待ってください!まだ準備が...ってうわああああ!?」
「ああああルイが飛ばされた!タイセイ!キャッチキャッチ!!」
「いや見えない見えない!あ!見えtおぶぉ!?」
「あああごめんなさいごめんなさい!ってこっち来た!!」
「騒がしいなぁ...」
「マールルは見てないで手伝って!!」
ご覧の通り、グリフォンなんてものにそう易々と勝てる訳もなく。現在かなり苦戦を強いられている。
「お、捕まったか」
「え?」
見ると、グリフォンに捕まっているタイセイとルイ。
「ああああ!?助けないと...!」
「まあ、そう焦んなって。よっと」
と、なぜかマールルは剣を素振りした。直後、グリフォンに大きな傷ができた。
「キエエエエエエエエエエエエエ!!」
直後、グリフォンの断末魔が辺りに響き渡り、そのまま落下していった。...何が起きたの?
「なんて言うのかな...。飛ぶ斬撃って言った方がいい?」
「強キャラすぎない?」
もうこの人だけでいい気が...。
「ってそうだ!タイセイとルイ!」
と、若干忘れてた仲間たちを探しに僕たちは山を散策するのだった。
「死ぬかと思った...」
「ホントですよ…。マールルの斬撃で斬られるところでした...」
「ごめんごめん」
なんとか救出し、僕たちは街へと戻ってきた。もちろん、ちゃんとグリフォンの目玉も回収して。結構グロいけど。
「そういえば、マイラは冒険の目的ってどうするんだ?」
「目的...?」
「やっぱ魔王討伐とか?」
「無理ですよ。今まで魔王討伐を成し遂げた人はいないんですから」
「最初から無理って言っちゃダメだろ」
「今は無理ってことです。もっと強くなっていずれ倒そうってことで」
「......」
こんなこと言えないけど、目的なんて考えてなかった...。みんながやってるから、としか思ってなかった...。そんなこと絶対に言えない。
「どうした?」
「あ、いやなんでも...」
と、少しオドオドしながら答える。
とまあ、こんな感じにしゃべりながら(僕的には少しモヤモヤしながら)ギルドにクエスト完了報告をしに行くのだった。