第10話
「君はそんなにいじわるするような王じゃないだろ?」
「魔王よ。来ていたのか...」
冷静なヴァニカル王とは対照的に、周りの家来たちはザワついている。当然タイセイたちも。そりゃそうだ。圧倒的な魔力を持った魔王がここにいるのだから。
...にっこにこで立ってはいるけど。
「どどどどういうことですか!?なんで魔王がいるんですか!?いやそこに立っているのがホントに魔王かどうか知らないんですけど!」
と、デカい声でツッコミを入れるルイ。最初そんなキャラじゃなかったような気も...。
「ん?魔王だよ。正真正銘の。それよりも、私はそこにいるマイラに用があってきた。ついでに王様にもね」
「王に...?殺しに来たのか魔王め!!」
その言葉に反応し、剣を抜く取り巻きの人たち。だが王は、手を挙げ武器を下ろすよう命じた。
「陛下、なぜ...?」
「魔王が余を殺しはしない。...話すべきかこれは...」
「話した方がいいよ。ヴァニカル」
まるで友人のような会話をするヴァニカル王と魔王。やがて、ふぅ...。とヴァニカル王が息を吐き、語り始めた。
「我が国と魔王軍は長きに渡り戦いを繰り広げていた。だが、そのうち互いは戦力が尽きようとしていた。そんなとき、余の先祖である、ウィリアム・ヴァニカルによって、休戦協定を魔王軍と結んだ。その協定は今も続いている。要はもう既に魔王軍との戦争は長年していないのだ」
「そう。だがそれにより勇者や魔法使いなどのジョブが消えかけた。無論、こちら魔王軍も戦わないなら意味が無いと軍そのものが消えかけたのだ。そこで私とウィリアムは新たな協定を結んだ。戦争は終わりだが、お互いの国の安定のため、形だけ戦争を残しておこう。と」
それを聞いた周りの取り巻きの人たちはザワザワとしている。もちろん僕の仲間たちも。
「だが、最近になって別の問題がでてきた。あぁ、そなたらはよく関わってる案件だが、バグ持ちの魔物が度々確認されている。言ってしまえば、マンドラゴラなどだが、普通のことではありえない行動、身体の変化が報告されている。他にも様々だ。そしてこれらの影響の多くが魔物にあるということ。しかしマイラ、そなたはレベルMAXというバグを持っている人間である。故に、そなたは魔物と同等の存在なのだ」
「「「「「「「「「............え?」」」」」」」」
僕と王と魔王以外のみんなが一斉に困惑の表情をしながら僕を見た。
あの後、事の詳細を話すのに時間がかかったけど、何とか納得してくれたみたいだった。
そして今、王都全域、並びに魔王軍は、事の真実を知ったおかげで、混乱に陥っていた。中には、今すぐ魔王軍を滅ぼせとか言う人や、人間どもは皆殺しだとか言う魔物も出てきた。
全員が納得するまで時間がかなりかかるとヴァニカル王は言ってた。僕もそうだと思う。だから僕は、僕たちは、今はみんなを納得させるため動いている。かなり省略して話したけど、忙しいんだ。何せ、これから大仕事だから。でも僕たちは平和を夢みてこれからも活動を続ける。いつの日か、僕が書いたこの話が、みんなの中で語り継がれていけるように。
「...ふう」
ギリギリだった。これを書き終えるのは。この後書けるか分からないし、時間があったら書き加えることもできるから。
...みんなが僕を呼ぶ声がする。
「...行くか!」
そう言って、僕たちは今日も今日とて、活動を続けた。
終わり!全然書けんかったw




