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無手勝流

ゼリーが冷えて固まるまでの数十分。

うちで一番大きい、一枚板の巨大な桜の木のテーブル。木目をぼーっと数えてみる。

長辺に置かれた長くゆったりとしたソファは、低めのテーブルによく合う。

向かい合って体を沈める一は木目をぼーっと数えているようだ。


足をソファに上げると、台所の横にある紅茶の棚に目を向ける。

寒天に合わせるお茶は何にすべきか…

蜜柑の緑茶…?


「なぁーあー。もうそろそろじゃないのー?まだー?」

「まだ。」


などというやり取りを数回した後。

二色寒天は出来上がった。


「固まったみたい。いい感じだね!」

「おっしゃー!」


冷蔵庫から取り出した、味見用の二口サイズを一とパクリ。

蜜柑の酸っぱさを牛乳のまろやかさが包み込み、缶詰の汁特有のこってりした甘さを、牛乳のさっぱりした甘さが引き立てている。


「さすが私。うまいね。」


部屋中を駆け回ってんーーーーー!!!!!ともぐもぐしつつ叫ぶという、一独特の感想を聞きながら味わう。うるせぇ。

「一ー?、拓兄呼んできてー?これ食べる前に作戦会議しよー。」

走り回っているついでに、一に頼む。んーーーーー!!!という叫びが小さくなっていく。

大きめのポットでお湯を沸かし、お茶を淹れる用意を整える。

と、騒音と共に一…と、拓兄がやってきた。


私と同じラフな格好に深緑色の眼鏡、いつも優しそうな目元は困った様に竦められている。

「あぁ、零。おはよう。母さんの見送りに行ってきたんだね。お疲れ様。」

台所に立つ私を見て柔らかく微笑み、

「一ちゃんが、零のゼリーが美味しかったってすごい自慢してくるんだよー?僕の分もあるのかな?」

と一を見ながらにっこりと笑う。


「もちろんみんなの分あるよ?でもその前に聞きたいことがあるの。」

なにかなー?なんてとぼけた顔でそっぽを向く拓兄だが、私が何を知りたいのかも、その答えもその先も、拓兄はいつも知っている。


拓兄は私より6歳上の兄だ。1日の大半はパソコンのすごいヤツが設置された自分の部屋から出てこない。所謂引きこもりと言われる部類なのかとも考えていたが、社交性がないわけではない。近所のおばちゃん達には大人気な甘いマスクと優しさがある。

それに、父の遺した遺産があるとはいえ、母子家庭の我が家では収入は多くはない。それでも何不自由なく幸せに生活できるのは、拓兄がかなり稼いでいるからだ。これでは所謂引きこもりとは違うのではないかと思わざるを得ない。拓兄曰く、そういうお仕事もあるんだよ、とにこにこしていらっしゃったが…機械音痴の私にはさっぱりだ。


「お昼にあった、よくわからない現象の事に決まってるじゃない。」

私はわざと大きめに溜息をつき、飽きれた顔をして見せた。

「そろそろ皆が来るからね。僕も準備を手伝うよ。話はその時にしよう。」

手にしていたノートパソコンを机の上に慎重に置き、何ゼリーかなぁーなんて楽しそうに冷蔵庫に向かう拓兄と、準備―!と後ろをついていく一。

もうみんな呼んだのかい!などという突っ込みはいつもの事。おやつもお湯も、沢山準備しといてよかった、と思う。時刻は四時半。若者たちは小腹がすく時間だ。

いつものメンバーをおもてなしすべくさらなる支度に取り掛かる。



【オリーブソースとバケット】

バケットは好きなように切り分け、温めるか焼いておく。


オリーブソース

・オリーブオイル 好きなだけ

・ニンニク 好きなだけ

 ※チューブでも可

・アンチョビ 好きなだけ

 ※意外としょっぱいよ!

・ハーブ類(ローズマリー、タイム、バジル等)


①フライパンにオリーブオイルを好きなだけ敷き、中火で温める

②オイルが滑らかにとろりとしてきたら、弱火にして、刻んだニンニクを入れる

 ※細かく切ると香りが立つが、大きめだとニンニクのカリカリ感が楽しめる

③ニンニクに焼き色がついたら、刻んだアンチョビを入れて炒める

④お好みでハーブ類を入れてオイルに馴染ませるように混ぜる

⑤カリッとふわっと、バケットにかけて召し上がれ!

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