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魔法熟女マチコ☆マジか

作者: こゆき


私の名前は桜井マチコ!15歳!


どこにでもいる普通の女の子だった私は、ある日学校の帰り道に喋る猫『お月』と出会い、お月の誘いでなんと魔法少女になってしまったのです!


普通の女の子でいたかったのに、これからどうなっちゃうの!



あれから25年が過ぎた。


結局、私はあれから今日までただの1度も魔法少女に変身する事は無かった。


理由は単純。魔法少女に変身するための条件が『命の危険を感じる事』で、私はこれまで1度も命の危険を感じなかったからだ。


私を魔法少女に導いたお月ももう5年も前に老衰で死んでしまい、もはや私は本当に自分が魔法少女なのかわからなくなっていた。


まぁ、車のエアバックみたいなもんで、あるけどなるべくなら使わない方がいい機能だと思ってなんとなく日々わりきって過ごしていた。



そんなある日。



私は、テレビを見ながらおやつの煎餅を食べていた。


ガっ!と勢いよく噛んだその破片が、なんと喉の奥に入って詰まってしまった。


ぐっ……!息がっ……!息が出来ないっ……!


進むでも戻るでもないその煎餅の破片。本当にまったく息が出来なくなってしまい、これはもしかして死ぬかも……。と思った、その瞬間。


私の身体が突然まばゆい光に包まれたのだ!!



あ、あ、あぁぁぁぁあぁぁぁぁぁぁ!!!!!!



光がおさまり、テレビの横に置いてあった鏡をチラっと見てみると、そこにはピンクを基調としたフリフリフリフリくらいのフリルがついた衣装に身を包んだ痛々しい女性の姿があった。



こ、これが、魔法少女……!



しかし。私の喉奥にある煎餅の欠片はまだ詰まったままだ。ただ1人のオバサンが痛々しいコスプレをしただけで、事態は何も進展していない。



ふと、私はなにやらスティックを握っている事に気付いた。よくある女児向けのオモチャのような、いかにもな魔法のステッキだった。


なんだかわからないけど、とにかくステッキに向かって祈ってみた。



お願いっ……!助けてっ……!



すると、自然と頭に言葉が浮かんでくる。息が詰まって言葉は出ないけど、頭の中で精一杯その言葉を叫んだ。



フレッシュ・スター・シャワーーーー!!!!



すると、魔法のステッキの先端から星やらハートやらのエフェクトがたくさん散りばめられた謎のビームがかなりの量と勢いで出た。


壁に向かってまっすぐ放たれたそのビームは、どういう原理か知らないが壁に穴を空けたりはしなかった。



しかし。



ビームは出たが煎餅が出ない。なんなんだあのビームは。どこへ向かったんだ。



いよいよ頭がぼーっとしてきた。もしこのまま死んでしまえば、この魔法少女の衣装はどうなってしまうのか。ややこしいコスプレでくつろぐ頭のおかしい人だと思われてしまわないか。


このまま何もしなくて死ぬくらいならと思い、手に持ったステッキで腹部を思いっきり殴ってみた。


ドン!ドン!ドン!ドン!


4回目のドン!のところで喉の奥から煎餅が動いた。


「ガハッ……!ぐっ……!!」


口からポロっと煎餅が飛び出し、私はやっと息をする事が出来た。時間にしては短かったのかもしれないが、私には永遠に思えるほど長かった。


ガハーガハーと、まるで活きのいいカバか何かのような音を立て呼吸を続け、ようやく落ち着いた時に鏡を見た。



まるで普段と変わらない服装の私がそこにはいた。



え?魔法少女あれで終わり?




気持ちも落ち着いた私は、改めて新しい煎餅に手を付けた。今度は小さく割ってから口に入れた。これからは、なんでもよく噛んで食べる事を誓った。


小さく割った煎餅を口に入れ、緑茶を手に持って上に掲げた。


「魔法少女に乾杯!……なんてね」



部屋のどこかで、お月の笑い声が聞こえたような気がした。




その後。実は先ほどの変身がきっかけで地球内部にある『エナジー・コア』のエナジーが活性化。それを狙う宇宙人『ヌメヌメ触手星人』と戦う魔法熟女として活躍する事になる事を、この時彼女はまだ知らなかった。

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