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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

音のない歌詞

秋暮

作者: 渋音符

はい。いつものです。

テスト前なので、短編しか書けず、その上インスピレーションも湧いてきません。他の作品を待っている方には、申し訳ございません。



 茜空。

 暗い夕暮れ早過ぎて、僕に黄昏を赦してくれない。

 きみの声、どこか遠くに遠退いて。

 後ろ向いても誰もいない。

 薄い雨。

 鉛色の空。雲がなく。

 工場の煙、立ち上っていく。


 嗚呼。辛い。辛い。辛い。

 生きているのが辛い。

 苦い。苦い。苦い。

 息してるのが、まだ苦い。


 呼吸を止めてみた。

 口を噤んで、鼻を抓んだ。

 十数秒で、惨めに息を吸っていた。

 口に詰めたティッシュペーパー、死に至るまで。

 気持ち悪くなって、すぐに吐いていた。


 紺碧の空。

 時雨が唯唯冷たくて。

「彼は誰?」なんて、答えられない。

 きみの顔、淡く滲んで見えなくて。

 目を擦っても、何も見えない。

 澄んだ湖面。

 ぼくの隣にきみはなく。

 握った手のひら、血が滴っている。


 嗚呼。痛い。痛い。痛い。

 ぼく自身が、痛い。

 嫌い。嫌い。嫌い。

 この気持ちが、嫌い。


 手首を切ってみた。

 カッターナイフで、何回も刻む。

 手が震えて、浅くしか切れない。

 数十粒、風邪薬掴み、口の中へ。

 気持ち悪くなって、すぐに吐いていた。


 死にたいよ。死ねないよ。

 辛いの。苦いの。痛いの。嫌いなの。

 死にたいよ。死なないよ。

 恥ずかしさと惨めさと寂しさと気持ち悪さが混ざって。

 何も言えないよ。


「ただ、死にたいよ」


 まだどうにも死ねないな。

 もうどうにか死にたいな。

 口ではそう言っているけれど、本当は分かっているの。


 生きているの苦しいな。

 こんなぼくは嫌いだな。

 本当に思っているけれど、どこかで受け入れているの。


「寒いな」


 布団を被って、コーヒーを啜った。

 砂糖を舐めて、寝巻きを着替えた。


「ーーーあぁ、寒い」


 寒い。

 寒い。

 この場所だけは、寒い。

 熱い。熱い。熱い。

 心と目尻が、今、熱い。


 涙が止まっていた。

 声を出した。きみの隣で。


「きみの分も、惨めに、生きてみたいよ」


 聴こえないはずの、「ありがとう」が、聴こえた気がした。



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