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ロボ娘のち少女、ときどきゾンビ  作者: 京衛武百十
ふたりの章
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一般的な仕様

アミダ・リアクターのおかげで電気が使い放題だからか、家の中はエアコンが効いて快適な温度になっていた。


「は~、生き返る~」


リリア・ツヴァイが思わず声を漏らす。


その上で、


「お風呂、借りてもいいかな」


と声を掛けると、湯沸し器が作動。使っていいということだ。電気は、人間の感覚で言うならほぼ無尽蔵。水はどうやら地下水を汲み上げてるみたいだからそちらも無料ということで気前よく提供してもらえるらしい。


都市から離れた集落ではごく一般的な仕様だった。


もちろん、家主が『ここには立ち入らないでほしい』という設定を行えば解放しないようにもできるし、部屋ごとに鍵をかける設定もできる。ここも、家主の寝室らしき部屋については立ち入り禁止の警告が出ていた。


でも、客間が使えたから何の問題もない。風呂の後でコンビニから持ってきた食品で夕食にし、ベッドを借りる。


ちなみに、コンビニとかで商品を持ってきたことについては、私の登録番号を提示した上で、『緊急避難を要請します』と告げてきた。もう意味はないんだけど、店舗を管理するAIが手続き上求めてくることだから自動的に私も対応するんだ。


本来なら災害復旧の際に請求がきたりするんだけど、当然、今もなお災害は続いてる状態だから、請求は届いてない。もう結構な金額になってるんだけど、私のオーナーである博士にとってはポケットマネーにも満たない金額だから、もし請求が来たとしてもそれこそ痛くも痒くもないだろうな。


今さらこんなことを意識するのは、それまで、こういうのは私にとっては当たり前すぎてまったく気にしてなかったというのもあると思う。


これだけ私がロボットらしくなくなってきてるってことなのかもしれない。


ベッドで眠るリリア・ツヴァイをしばらく見詰めた後、私は、使ったところの掃除を始めた。一時避難で利用させてもらったとはいえ、使ったところは綺麗にするのが礼儀だから。明日、ここを発つ前にもう一度、掃除をする。こういうところはまだロボットらしいんだけど。


窓から外を見ると、結構な勢いで雪が降っていた。既に積もり始めたのも分かる。


『これは、リアカーだと移動が難しくなってくるかな』


人間なら雪を見るとムードとかを意識するのかもしれなくても、私はついつい実務的なことを気にしてしまう。こういうところもまだロボットっぽいのか。


朝まではまだ時間もあるし、何か準備ができればと思って、リアカーを置いてあるガレージへと向かった。


見ると、ガレージのシャッターの脇に、乱雑に紐でまとめられたスキー板があるのが目についた。明らかに不用品として処分する為にまとめられたものだと分かった。


それを見た瞬間、私は閃いたのだった。



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