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ロボ娘のち少女、ときどきゾンビ  作者: 京衛武百十
ふたりの章
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理想の暮らし

結局、一週間ほどそのコミュニティに滞在し、私とリリア・ツヴァイはそこを離れることになった。


滞在中、殆ど同じことの繰り返しだった。それは、ロボットが最も得意とするところだ。


前にも言ったけど、ロボットは<変化>を好ましいものとして認識しない。なぜならロボットは完成された状態で起動するから、変化するということは、<劣化>や<摩耗>を想起させるからだ。


一方、人間を含む生物のほとんどは、ある時点まで<成長>する。それは、完成された状態で起動するロボットには理解できないものだ。


そう、もうこの時点で人間とロボットは根源的に違うものだというのが分かると思う。


ロボットに搭載されるAIは、学習して自らを<更新>していくことはできるけど、それは人間の<成長>とは違うものなんだ。


その認識の齟齬についてロボットは、


『人間を含む<生物>は未完成な状態で起動し、ある一定の期間の中で時間をかけて完成されていく』


と解釈することでそれを埋めている。だから生物も、<完成>すれば後はロボットと同じように劣化し摩耗していくんだ。それと同時に、経験を重ね知識を得ることで<更新>もしていく。


だけど、CLS患者は、<成長>もしないし<更新>もしない。肉体の現状を維持する為の僅かな代謝は行われるけど、それだけだ。


でも、ある意味ではそれはロボットにとって好ましいものだとも言えるかもしれない。ロボットにとって理解しがたい<成長>がないというだけでも実はありがたいんだ。


そしてそのおかげで、このコミュニティを形成してるロボット達は、ほとんど変化のない毎日をただただ送ることができてる。それはある意味では、ロボットにとって<理想の暮らし>と言えるのかもしれない。


実際、ここで暮らしてたメイトギア達は、同じロボットである私の目から見て<幸せ>そうだった。人間には異様に見えるかもしれないけれど、私はここで暮らしたいとは思わないけれど、確かにそうなんだ。


「行ってしまうのですのですね。お二人もここで暮らせばよろしいですのに」


まるで人間が名残惜しそうに引きとめるようなことを言う。だけどそれは<本心>じゃない。彼女達に<心>はない。人間の真似をして、人間ならこういう時はそう言うだろうから言ってるだけだ。ロボットとして本当に伝えたいことがあるのなら、口ではなく通信を行う。<口>も使ったとしても、必ず同時に通信も使う。通信を使わずに口だけで言う時は、人間で言うなら<社交辞令>にあたる。


「私達には、私達の<目的>がありますから」


そう言った私達の言葉は、<本心>だったけれど。



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