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ロボ娘のち少女、ときどきゾンビ  作者: 京衛武百十
リリア・ツヴァイの章
55/115

再び歩き始めた私達は、いつしか水の匂いがするところに来てた。と言っても海が近い訳じゃない。湖だ。この辺りじゃ一番大きな淡水湖だった。


道はその湖を掠めるようにして伸びてる。


いい天気で、陽光が湖の水面できらきらと反射していた。


私はそれを見ててふと思ってしまった。


「泳いでみたい…」


ロボットなら決して思わないことだった。今ではそれなりの価格帯以上の家電製品でさえ防水は完璧で、水の中に放り込んだくらいじゃ壊れない。ましてやメイトギアならそれこそ人間と同じように海で泳いだって何も問題なかった。


でも、ロボットは泳ぎたいなんて思わないんだよね。


なのに私はそんなことを思ってしまった。


「別にいいが…無謀なことはするなよ…」


リリアテレサがそう言ってくれたから、私達は道を外れて湖のほとりへとやってきた。モーリスもさっそく湖で水を飲んでた。


人間がこの惑星を開発してた時にはここもリゾート地だったんだろうな。ホテルや商業施設らしい建物が遠くに並んでいるのも見えた。


今いる場所はビーチっぽい感じで整備された場所みたいだ。周囲にはレストランらしい建物とかがある。


砂浜にはビーチパラソルさえそのままにされてたりした。もちろん広げた状態でって訳じゃなく、ビーチに着いてさあパラソルを設置しようかなって感じで砂浜に置かれた状態で放置されてたんだ。


ちなみに広げられたままのものは、さすがに二十年の間に風が強い日とかもあったみたいで、レストランの建物に引っかかったりした状態だったり。


そうか…ここじゃリゾート中にあれが起こったんだな。


それが推測されてしまう。


でも今さらそれを気にしたところで仕方ないし、リリアテレサが砂浜に残されてたビーチパラソルを広げて砂に挿して、使えるようにしてくれた。その陰に座って、待機する。


まあそりゃそうだよね。彼女は泳がないよね。


だけど私は泳がせてもらう。どうせ誰もいないし、服を全部脱いで裸になった。完全にすっぽんぽんだ。それこそ貸し切りのプライベートビーチで誰の目を気にすることもなく生まれたままの姿になってリゾートを満喫するセレブのように。


なんちゃって。


「冷たい…」


水は少し冷たかったけど、日差しはそれなりにあったから寒くはなかった。モーリスも水に入って体を洗うように転げまわってる。


リゾートと言っても乱開発は避けてたんだろうな。水は綺麗で澄んでて、すごくいい感じだった。人間がいなくなって二十年ほど経つから、それもあるんだと思う。


水の冷たさに体が慣れると、すごく気持ちよかった。


水が気持ちいいっていうのが、私には分かったんだ。



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