表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ロボ娘のち少女、ときどきゾンビ  作者: 京衛武百十
リリアテレサの章
3/115

バス停

人間の体は休ませないといけないから本当に効率が悪い。


夜。私とリリア・ツヴァイは、バス停跡の小屋で休みを取っていた。昼間のコンビニからもう既に五十キロは歩いて来た。すべて私がリアカーを引いて、彼女をそこに乗せてだけど。


二人で夜空を見上げる。周囲に灯りがない上に、小屋の照明が故障して点かないから完全に闇の中だった。この手の簡易な施設ではさすがにアミダ・リアクターまでは設置されてなくて、ソーラーパネルとバッテリーの組み合わせだけど、バッテリーは生きてたから照明の方が壊れたんだろう。


ただその分、人間の目でも星がよく見える。渦巻銀河の渦状腕もはっきりと分かる。人間はこういう光景を『綺麗』とか『すごい』とか表現するんだろうな。


ロボットの私にはその辺りは理解できない。そういうものを人間が『綺麗』とか『すごい』とか評するというのは分かるけど、何がどう綺麗ですごいのかが、私には分からない。


私と一緒に星を見上げてるリリア・ツヴァイも、厳密には人間じゃないからたぶん分かってない筈だ。それなのに、胸が締め付けられるような感覚があるのは何故だろう? 身体的なダメージはほぼ回復していて、そのような症状がでる要因はない筈なのに。


それも、知識としてはある。人間には時としてそういう不可解で非合理的な身体的反応が出るということは。それが人間に<心>をもたらしているという研究資料もある。ロボットである私にはないものだ。


そうして星空を見上げていると、いつの間にかリリア・ツヴァイが眠ってしまっていた。これも生身であるが故の非合理な生理現象だ。こんなことをしている間に外敵に襲われたらどうするのか。もっとも、そういうことに対応する為にも人間は私達ロボットを作ったようだけどね。


気温が下がってきた。リリア・ツヴァイが寒そうに体を縮こませる。このままでは体調を崩しかねないので、私は機体温度を上げ、リリア・ツヴァイに寄り添うようにして横になった。


ロボットである私に睡眠は必要ない。けれど、彼女が眠っている間は私もすることがないから、危険を察知する為のセンサー類と機体温度だけを維持して、他の機能はスリープ状態サスペンドとした。バッテリーの消耗も節約しないといけないしな。


その姿は、二人の少女が、二度とバスが来ることのないバス停で寄り添い合って寝てるようにも見えただろう。人間は、そういうのを見るとどう思うのだろうか。


『可哀想』?


『萌える』?


その辺りも知識としては与えられているけれど、私には理解できないものなのだった。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ