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我が儘に異世界を  作者: かでぃー
第三章冒険者
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お互いの理由


なんか懐かしいな。この感じ

確か中学の時にも同じ事をエアガンでやられて痣ができたっけな・・・あの時はなんで怒らせたんだっけ?


俺の状況を見て明らかな敵意を後ろにいる相手に向け、襲撃しようと武器を構えるシーラとアルモに動揺しまくっているゴドウィンを差し置いて脩司は「大丈夫だから手を出すな」と動きを制止させて、呑気にそんなことを考えていた。


「一応確認しておくが木幡脩司で間違いないな?」

「おう━━そっちこそ久しく会っていない内に大層な武器を手にいれてるな、廻」


元々、戦士タイプというより策士タイプの廻が前線で戦士の様に戦うことが不向きだと知っている脩司はどこか安堵していたが、それと同時に行き場の無い憤りも芽生えてきた。


「なんで此処に来たんだ?不本意だが彼処に居れば比較的安全のはずだったのに」


ロアリッテ迷宮で遭遇した時に既に廻はいなかったのを考えればその前にそこを出ていたんだと推測できる。王宮には藤井さんや早乙女さん他にも頼りになる人が大勢いる。脩司は彼女達を信頼していて本当にそう思っているからの言葉だったが


「質問するのは俺の方だけどな?━━けど、その答えはあんな息苦しい所には居られないからだ」

「そんな子供みたいな理由で━━━」

「俺には十分過ぎる理由だ!過保護の様に護られ、居なくなった友人を探しにも行けずに、ただひたすらに冷ややかな視線と黙々と剣を振るう事がどれ程の苦痛だったか」


俺の言葉を遮って感情をそのままぶつけてくる廻の性格を考えれば当然と言えば当然の行動だ。だけど、それじゃ俺が彼処から出た意味がない。当初からの目的である仲間の命の危険を下げ、元の世界へ戻す方法を探す事が難しくなっちまう。なら・・・


「正直、見つかるとは思ってなかった。けど、もう探し出したよな!?これから何処へ行こうが俺の勝手だ。お前は彼処へ帰れ!!」


ここで悪役を担い城へ戻すことがベストだろう。それに好意を寄せている人が居なくなって精神的に参っているだろう藤井さんの世話をしている早乙女さんの姿が目に浮かぶ。


・・・・・・あれ?これって俺の行動にも当てはまってね!?

ヤバッ!今のうちから言い訳でも考えておかねば・・・


「彼処に戻るつもりは更々ない。俺だけならまだしもアイツを悲しませる場所へは行かない」

「アイツって誰のことだ?」

「その説明は後だ。さっきから質問に答えてばかりでちっとも話が進まない。お前は何故なにも言わず勝手に居なくなったんだ?」


この質問は来ると判っていた。だから出来るだけ心を殺し、平常心を保って冷たい声で


「いつまでも弱ぇヤツと一緒になんか居たくねぇかったんだよ」


廻に嫌われる様に精一杯の嘘をついた。


「そうか・・そういう理由か・・・」

「わかったならさっさと」

「残党だ!!!そっちにも行ったぞ。気を付けてくれ!!」


ゴブリンの亡骸と周辺の安全を確認に出ていた冒険者の一人から注意が聞こえると後頭部から廻が突きつけていたモノの感覚がなくなった。それがわかった後に声の方をみると4体のゴブリンナイトがキングを討ち取った俺を目掛け特攻してきている。


「丁度いい、俺が弱ぇままかどうかその目で確り見てろ」


そう言ってマリンベートルにゆっくりと弾を込めゴブリンナイトへと向けた。


ドシュ、ドシュ


奇妙な発射音と共に横並びでこっちへ向かってきているゴブリンナイトの真ん中2体の顔に黒いペイント弾の様なものが付着すると視界が遮られた2体はそれを取ろうともがき始める。残った2体はそれに構わずに顔の前に盾を突き出してこちらへ突っ込んで来ているが、廻は慌てる様子すら見せず狙いを定め


ドシュドシュ━━━ドシュ


放たれた三発の弾は1体の足を吹き飛ばし、もう1体ゴブリンの盾を強制的にずらし、遅れて放たれた弾に頭を吹き飛ばされた。

そして動きを封じられたゴブリンナイト達へ近づいて仕留めていく。


「これでもまだ足りないと言うか?」


そう言って振り向いた先には冷や汗を流し、呆けた顔をするゴドウィンしか居なかった。



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