露出する弱点
シーラの提案で討伐数の競争が始まって半日、俺は切り株に腰をおろし、対策に追われていた。
「ヤバい・・・このままじゃ負ける・・・・」
『だ~っはっはははは、ざまぁみろ。アイツラを舐めてたせいだぁ』
「くそっ!」
ギルドから受けた依頼はゴブリン討伐。なんでも以上に繁殖しているみたいで集落まで作っているそうだ。
単体では弱いゴブリンだが、数が多ければそれだけ凶悪な力に変わってしまうので、その前の対応がこの依頼の意図だとリズさんが言っていた。
「それにしても・・・二人とも馴れてんな・・」
『シーラは知らんがアルは昔からあんなんだ。巧みというよりあざとく確実にモノにするタイプだ』
「・・・おかげで寿命が縮んだぞ」
現在の討伐数のトップはシーラの11体、次にアルモが7体で続き俺は4体だ。シーラは空を飛び獲物を見つけると急降下して短剣で仕留めるか魔法を使い次々に数を伸ばし、アルモは探索が俺やシーラより劣るとみるや俺と行動し獲物を見つけると射程の長さを利用して屠っていっていた。ただ、アルモの槍は最短距離を振るためなのか背後から俺の脇やら首元近くを擦るように飛んでくる。斬られてはいないが少しでも動いたなら俺ごとゴブリンが串刺しになっていたと思うと背筋がゾッとする。
それでも二人の戦い方から見習うことが多いとため息を吐き出しながらも考えていた。それにいつまでもベルガに依存してしまわないようにと今回はサポートなしで戦っている。自分で自分を制御しきるにはこれ以上の鍛練はないはずと
「むやみやたらと突っ込み過ぎだな、俺は・・・」
冷静になってみれば後先考えず突撃あるのみの状態であったことを思い出していく。弱いゴブリンだからこそ倒せているものの強い魔物に遭遇すれば苦戦は必死で最悪は死しかない。
冷静な分析力、状況判断など必要な数を上げればキリがなく教えてくれる人はいない。
「だけど敗けていい訳じゃねぇだろ」
気合いをいれるため頬を両手でバシバシ叩き
「ないものは足せばいい。教えてもらえないなら見て盗めばいい。考え続けろ。自分が生き残る為だろ」
『俺様を忘れんなよ?』
「・・・・頼むわ」
『おいおい、やけに素直じゃねぇか。明日は天変地異でも起きちまうな』
なんだってやってやる。その決意の前にベルガの減らず口は耳に入っていなかった。
「おーいシュウジー、次のゴブリン見つけたよー」
空を飛び回り獲物を探していたシーラとそれについていったアルモが戻ってきた。
「うっし!やるか」
逆転を目指して腰を上げ、次の獲物へ向け走り出した。