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我が儘に異世界を  作者: かでぃー
第三章冒険者
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トミナの日常②

今までで一番文字数が多くなっちゃいました。


受付嬢の問いに真っ先に食いついたのはいうまでもなくシーラだ。


「はいはーいわたしわたしー。わたしがいちばーんー」

「わかりました。それではこちらに手を当ててください」


受付嬢さんがシーラが水晶に手を当てたのを確認して「転記」と唱えるとを水晶から淡い緑色の(もや)を放って隣にあるカードにすごい勢いで吸い込まれていく。


「どうやらシーラさんは風魔法が一番得意とされているみたいですね。それから水魔法も使えるようですね」

「すごーいーなんでわかったんですかー?」

「ふふっこの水晶は色で触れた方の特徴を表しているんです。火魔法なら赤、風は緑、水なら青、土ですと茶色それと雷は黄色という風になります」


へぇーと3人とも同じリアクションをしている内に靄が納まりシーラのギルドカードが完成していた。


「はい。完成しましたので手を離しても結構ですよ。それでは拝見させて頂きます──ッ!!すごい!いきなりこんな数値が・・・」


シーラのギルドカードを目にした受付嬢さんが目を丸くして驚きの声をあげた。


「す、すみませんが少々お待ち頂いてもよろしいでしょうか?」


慌てて部屋を飛び出していった受付嬢さん。


・・・ははっまさかシーラにテンプレもっていかれるとは・・・・・なんか不安になってきた・・・・それとシーラさんドヤッ顔やめて・・・・・・


暫くするとバタバタ足音が近づいてきて勢いよく扉が開かれた。さっき出ていった受付嬢さんに連れられ色黒のスキンヘッドで顎髭を蓄えたゴツい中年の男性がやってきた。


「おいリズ本当にコイツか?どうみてもそんな風には見えないんだがな」

「はい。此方の方です」

「他の人はまだなんだろ?先にカード造ってやらんといかんだろうに」

「あっすいません。慌ててしまって・・・疎かにしていました申し訳ありません。」



受付嬢さんはリズっていうらしい。リズさんは男性の注意を受けて俺たちにお詫びと頭を下げた。


「大丈夫です気にしないで下さい。アルモ先にどうぞ」

「そうやって私の残った温も」

「断じて違うから!」


言わせねぇ~よ!ったく毎度毎度それをいれないと会話が成立しないのかよ。「やりますね」じゃなくて早くやってくれ。


「それではいきます」


アルモが水晶に触れると今度は橙色の靄が出てきて、それを見たスキンの男性は「ほぅ」と呟き顎髭を擦っている。アルモも無事ギルドカードに転記が終わり、リズさんはカードをなにも言わずに男性に渡した。その表情を見る限りシーラに負けずのステータスだというのが分かる。

最後に俺の番になるのだが、リズさんの期待に満ちた表情が気になった。悪いけど要望には答えられませんよ。きっと


『水晶には右手で触れろ』


珍しく頭の中に直接話しかけてきたベルガに驚いた。確かにいきなり居るはずのない声が聞こえたらリズさんとスキンヘッドが驚くだろうけど、それは俺もいっしょだからなって愚痴を吐きたいが、そうも言えないので声に出さずベルガに話しかけた。


「どうして右なんだ?」

『左で触れると下手すりゃ俺様の魔力を感知しちまうかもしれねぇ。俺様のことは第三者には極力伏せろって意味だ。解ったかこのボンクラ野郎』


出てきていきなりキレんなよ。この主にしてあの使用人ありじゃねぇか


「しゃーねぇなぁ。右手で触るようにするわ」


脳内会話を終えて俺が右手で触れた水晶から発生した靄は白色だ。期待していたリズさんは明らかに落胆しているようだがバレズにも言われていたし気が楽だ。やはり俺には魔法適正がない。それが証明されただけのことと割り切るしかない。靄がなくなりしょんぼりしているリズさんはカードを手に取るなり


「ギルドマスター!これを見てください」


興奮したのか今までより声が大きい。しかもこのスキンヘッドの男性がギルドマスター!?そっちのほうがビックリですわ。


「落ち着けリズ。どうしたというのだ」

「とにかくこれを見てください」


リズさんは俺のギルドカードを押しつけるようにしてギルドマスターにわたすと


「───そういうことか。最初からBランク相当の実力の持ち主だったのか。それと称号とアビリティには俺でも読めないものが混じってやがる。・・・・お前なにもんだ?」


う~ん、なんて答えたらいいか判らんね。異世界から召喚されましたなんてのは論外だし・・・・・この質問・・詰んでねっ!?


「・・・・・」

「そうか・・どうやら訳ありみたいだな。話したくないものを無理には聞かない。話したくなってからで構わないぞ」

「・・・すみません」

「ぶははははは──おう!気にすんな。それから自己紹介がまだだったな。俺はこの冒険者ギルドのマスターでゴドウィンだ。よろしく頼む」


豪快な笑顔が似合うゴドウィンはなんだか気持ちのいい人だ。


「木幡脩司です。木幡でも脩司でも呼びやすい方で呼んでもらって大丈夫です。こっちがシーラ・マベルトアでそっちがアルモです。此方こそ宜しくお願いします」

「シーラだよーよろしくねー」

「アルモと申します。以後お見知りおきを」

「あっ私はこのギルドで受付嬢しています。リズです。ご依頼の受注の際は私達受付に声をかけてください。それとこれからご説明に移りますが冒険者のランクはご存知でしょうか?」

「俺は知らないので教えてもらえると助かります」


シーラ達は知っているみたいだけど前回みたいなことにならないためにも聞いておいて損はないだろ。


「はい。冒険者のランクは下はFから上はSSSとなっています。Aランク以上になりますと更に実力を分けるためにA-(エーマイナ)、A、A+(エープラ)のように3種類があり、ランクはステータスや依頼達成数などから実力を見極めさせていただき上げることが可能となります。ただ、Cランク以上になりますとギルドマスターの承認が必要となります」


つまりここにゴドウィンさんが来たということは俺達のステータスは既にCランク以上あるということか。


「ランクを上げていきますと規制のかかった依頼も受注できるようになり報酬も高額になりますが、その分命の危険性も高まります」

「わかりました。ありがとうございます」


こういうのは廻が好きそうだ。アイツはレベル上げや素材集めみたいな地味作業を好むからな~


「それではこれからギルドカードの説明をします。ギルドカードは特殊なアーティファクトとなっています。これは盗難、紛失の際にご本人にしか出来ない細工を施こしている為です。その為無くされた場合の再発行は金貨5枚という金額になっていますのでお気をつけください」


めちゃくちゃ高いな。うん絶対に無くさない様にアイテムボックスにしまっておこう。そういやゴドウィンさんもリズさん俺がアイテムボックス持ちと知ったはずなのになんで何も言わないんだ?後で聞いてみるか


「説明は終わったみたいだな。そんじゃちゃっちゃっとやっちまうぞ。まずシーラとアルモはCランクでキハタはBランクとする『認定』」


ゴドウィンさんがカードに向け言葉をかけるとうっすら光ってすぐに消えた、


「・・・いきなりBランクなんて良いんですか?」

「あんたらのステータスならそんくらいじゃないと釣り合わないからな。それに見て呉れと違って意外とまともな感じだし問題無いだろうよ」


高ランクアザーッス!!あぁ召喚されたばかりの時と比べると雲泥の差だよ。頑張って良かった~


「それではこちらが皆様のギルドカードになります。最後の作業になりますがカードに血を少しだけつけてください。そうすることでカードの持ち主だと青く輝き、ギルドカードに表示されている名前とランク以外を任意で非表示にできるようにもなります」


リズさんは小さな箱の中から針を取り出し渡してきた。その針を使い指先から少し出血させてカードに擦りつける。すると一瞬青く輝き、ステータスが書いてある項目に非表示という項目が一つ追加され俺はすかさず非表示を選択した。


「行程は以上となりますが何か質問はございますか?」


待っていましたと言わんばかり


「一つ疑問があるんだけれど・・・二人は俺がアイテムボックスというアビリティを持っているのになんで口に出さないんだ?」

「それはな。俺達には人のアビリティを無断で公表しないっていうギルドの掟があるからだ。それを破るということは冒険者すべてを敵に回すということになる。誰だってそんな愚かなことはしないだろ?」

「そうですね。でも俺のアビリティを知ってるのはギルド無いでも二人だけに留めてもらえませんか?」

「うむ、わかった。リズ!キハタのアビリティを誰にも言うなよ」

「わかりました」


よし。これでアイテムボックス持ちだという拡散は防げる。次は


「あと俺は素材とかの知識がないので狩った魔物を持ち込みたいと考えているんですが可能ですか?」

「おういいぞ!じゃんじゃんもってこい。だが金は取るからな。がっははは」

「それでは早速なんですかここに来るまでにヒッポボアを一頭狩ったんですけど、お願いできますか?」

「そんなら上に戻って解体場に持ってけ。あぁアイテムボックスに入ってるなら裏口から入ってそこに置いておけ後で手配しとくからよ」

「わかりました。助かります」

「良いってことよ。他にはなんかあるか?なければな俺は行くぞ。またな」


豪快に笑ったままゴドウィンは部屋を去っていった。


「それでは私達も上に戻りましょう」


リズさんに促され俺達も上に戻ってきた。戻ってくる途中に依頼掲示板が見たいとシーラが騒ぐので俺がヒッポボアを置いてくるまで見てもらうことにした。


・・・これが間違いだった。二人が騒ぎを起こさないはずがないことを懸念していなかった。





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