トミナの日常①
「あぁ・・いてぇ・・・」
トミナの街がもうすぐそこにあるのに未だシーラにぶたれた痛む頬を手で撫でている。そんな脩司をジト目で睨むだけのシーラに「やはりそうでしたか」なんて呟やいているアルモ。
全く何がやはりなんだよ。あれは完全な不可抗力でしょうに・・・門前に到着するまで続くし
・・世知辛いねぇ・・
街にはいるには監査らしきものがあるらしくそれなりの人数が列をなし並んでいる。しかしチラチラこちらを見てくるのは何故だろう?
ゆっくり列は進みやっと俺たちの番になるとさっきまでにこやかだった門番の表情が一変した。
「身分を証明できるものは持ってるか?」
「はいこれー」「どうぞ」
なんで君らは持ってんの・・・
「あ~俺は持ってないわ」
適当に受け答えしたせいか門番が俺を見る目は完全に罪人を見る目になってしまった。いやいや街に入るのに証明書必要なんて知らなかったし。二人とも教えてくれたってよかったじゃん。ってかニヤニヤすんなっ
「そうか、ならそこの部屋に入れ。少し取り調べをする。もし何もなければ銅貨2枚で10日間有効の仮証明書を発行してやる。何もなければな」
口調も犯罪者扱いになっちゃってますけどぉぉぉ!!そういや王宮からの脱走って罪になんの?・・・ヤッッッベェェェェェェェェェ!!!
20分程取り調べを受け、最後に青い水晶に触れて身の潔白は証明されたみたいだ。銅貨を払い仮証明書を待つ間に門番のおっさんに事情を聞いた。おっさんの言い分によると俺の顔や身なりからして盗賊にしか見えなかったそうだ。ことのついでに冒険者ギルドの場所とギルドから発行されるものなら身分証になるなど聞けたのでまぁ良しとしよう。
俺達は冒険者登録をするため早速ギルドに向かっている
「なんで二人して身分証のこと黙ってんだよ。それにアルモは種族違うのになんであんなにあっさり許可おりてんの?」
「必要だと思い私達の分は偽造しました。貴方のは・・・いえ、変態の分を造りたくなかったので」
「言い換えしなくても俺は変態じゃねぇって──はぁ~まぁいいや、なんでそんなの造れるの?」
「使用人ですから」
あっ地雷踏んだかも・・・今まで見たことがない笑顔がこっちに飛んできてる。なんだか怖ぇ
「え?いやそうじゃ・・」
「使用人ですから」
「・・・・・・」
「使用人ですから」
「・・・・・・・・ハイ」
・・・・もうムリこれ以上は聞けない。アルモには逆らってはいけない気がする。
気分転換も兼ねて軒並みをウインドショッピングしつつ進んでいく。武器屋に道具屋、洋服店などに様々な露店が街の活気に与えているのがよく分かる。
目的の場所は住宅街や商店街から離れた場所にあったが商店街に負けず劣らずの賑やかな声が聞こえてきた。いや賑やかなというのではなく騒がしいと言うべきだった。酒を煽り魔物討伐の自慢をするもの、武器を自慢しているやつなど様々だ。
ギルドに入ると騒がしいのが一旦落ち着いて全員がこっちを見る。先頭に立っている俺を見ては直ぐ自分たちの世界へと戻っていった。
なんなんだ?と疑問に思いつつも受付に向かう。
「本日はどのような用件でしょうか?」
「冒険者登録したいんですが」
「畏まりました。それではこちらにご記入をお願いします。それと登録料としまして大銅貨2枚頂戴いたしますがよろしいでしょうか?」
「わかりました」
差し出された用紙に名前と年齢を記入して3人分の料金と合わせて受付嬢へ渡す。
「ありがとうございます。それでは私のあとに付いてきて下さい」
受付嬢についていくと地下にある5番の札がついている一室に案内された。
「この部屋で皆様のランクを測らせて頂きます。難しいことではないのでご安心下さい。あの水晶に触れますと隣にありますカードにステータスが反映されてギルドカードになります。表示されたステータスをもとにランクをつけさせて頂きます」
説明を聞く限り良くない気がしてシーラ達に目配りするとシーラは目を爛々に輝かせ待ちきれなくしていてる。その隣にいるアルモは心配ないと軽く頷いた。
「それではどなたから始めますか?」