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我が儘に異世界を  作者: かでぃー
第二章 脱獄
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街を目指して

夜中って静かで考えが纏まると言われましたが俺には向いてなさそうです

暗闇を駆ける脩司はシーラとアルモを抱えたまま南部の街トミナへ向け疾走している。魔族の要塞からの追っ手は今のところ気配はなく順調に事が進んでいた。


「ふぅぅ一先ずここまで来れば安心できそうだな」

『今の時間帯に追っ手を放っても効果は低い。明日の早朝から本格的な追尾が始まんだろうさ。だからてめぇは休んでないでさっさと進め』

「嘘だろっ!?」

「そうです早く進みなさい」

「なんで上から目線!?」

「がんばーシュウジー!!」

「ここに味方は存在しないのか・・・」


がっくり肩を落とすも足を止めることなく歩を進めていく。さっきまでのハイペースとは違い長く走っていられるペースを保ちながらだ。

とはいうもののここは森の中であり当然魔物も存在していてソナーの反応で複数体が潜んでいるのは明らかであった。無駄に交戦して体力を消費するわけにはいかず、それらに遭遇しないように迂回したり、一気に駆け抜けたりとしているうちに夜が明けてきている。

始めの内は「あっちに魔物ー」「揺らさず進みなさい」などぎゃあぎゃあ騒いでいたシーラとアルモだったが途中から静かになったと思えばどちらとも眠っていた。


「・・・ったく呑気なもんだ」

『五月蝿くなくて丁度いいくれぇだろ?』


少し和らいだベルガのツッコミに苦笑いを浮かべ森を駆けると漸く平原へとたどり着いた。


「ぜぇぜぇ・・・はぁぁ流石に・・んぐっ限界だ!」


身体強化を使いサポートしていたとはいえ夜通し駆け抜けてきた脩司には疲労の色が濃い。

近くに魔物がいないことを確認してから未だに寝ている二人をゆっくり降ろすと自身も草むらへ身を投げ捨て大の字に横たわりこれからのことを考え始めた。


「今までは王宮に居たから食糧とかの心配してなかったがこれからどうすればいいんだ?お金もそれほど多く持ってないしな」

『あぁ?どうしたんだ急に?』

「いや・・どうせアルモなんかはオメェが行くなら付いてくるっていって聞かないだろうしさ。今後の計画は経てておいて損はないんじゃないかとおもってよ」


現在の所持金は王宮に居たときにドムさんの手伝いで稼いだ銀貨2枚と銅貨6枚だけだ。ちなみに日本円とこっちの世界では紙幣価値に違いがある。



  小銅貨1枚 → 10円

  銅貨1枚  → 100円

  大銅貨1枚 → 1,000円

  銀貨1枚  → 10,000円

  金貨1枚  → 100,000円

  白金貨1枚 → 1,000,000円

  黒金貨1枚 → 100,000,000円



教えて貰った限りだとこんな感じだ。黒金貨に至っては実際に存在していないという噂話まであるほど幻のものだそうだ。


『そんだったら手っ取り早く冒険者にでもなりゃいいじゃねぇか。魔物討伐なんかやってステータスの底上げにもなり金も稼げる。一石二鳥だろ!?それともなにか?木こりやってちまちまやってこうなんて考えてんじゃねぇよな?』


ベルガの話では王国に騎士団が存在するように各街にはギルドと呼ばれる所がある。そこに登録し依頼をこなせば提示された金額を得ることができるらしい。ただ、騎士団と違い規律がほとんど無いために荒くれ者も多く登録しているそうだ。


「木こりは・・できねぇよ。・・・あんな感覚覚えちまったらな。それに言ったじゃねぇかオメェにつきあうとよ。そんなら強くなる方を選ぶに決まってらぁ」

『そうかよ。なら手始めにさっさと借金返せや!!』

「あっ・・・」


やっべぇ借金のことすっかり忘れてた。


『てめぇやっぱり忘れてやがったな!』

「わりぃ、わりぃ多少回復してるはずだから持ってってくれ」


すると妙な脱力感を感じる。ベルガが脩司に貸し出した分を自分へ戻した影響なんだと思う


「トミナの位置も距離も俺は知らねぇから二人が起きるまで休んだら適当な魔物を狩って朝飯にすっかね」


アイテムボックスから焚き火をするためのセットを取り出し火を起こし始めた。


『先が思いやられるなこりゃな・・』


その呟きが脩司に届くことはないまま二人が起きるのを待つこととなってしまった。


ここで2章が完結です。

次から3章に突入していきます。自分の中では流れが作れていますが、文章に起こすと勝手の違いに苦しんでます。


もし面白い、続きが読みたいと思って貰えたらブックマーク等お願いします

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