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我が儘に異世界を  作者: かでぃー
第一章 クラス転移
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現状と事実

寒いよ~炬燵からでたくないよ~

脩司達を包み込んだ紫の光が次第に弱っていく周りは今まで居た教室とは違っていた。

西洋風の古城を匂わす造りになっている場所であった。壁には蝋燭が数十本明かりを灯して、足元には魔方陣が掛かれている。


「なんだ?ここ?」

「何かの特撮なんじゃないか?」

「まじか!?カメラ探そうぜ!カメラ」


各自思い思いのことを話していると、目の前の扉が開きローブを纏った数人と甲冑を身に付けた人達が入ってきた。この中で一際目立つ甲冑を着けた30代~40代と見られる男性が


「皆さん、ここが何処か混乱しているかもしれませんが私の後に着いてきていただく そこで皆さんに何が起きたかを我が主であるボーティアス国王様から御説明がある」


皆が何がなんだか理解できていないまま男性が進んでいく方へ足を進めていく


「こちらのお部屋で王が御待ちだ」


男性は衛兵に何やら告げると部屋の前で「国王様お連れいたしました。」その言葉が呪文であったかのように扉が開いて行く。

部屋の中は1つの横にも縦にも長いテーブルとそれに合わせた複数の椅子、そしてその一番奥に白髪で顎には切り揃えられた髭を蓄えた威厳のある男性が座って此方を見ている。


「よく来てくれた救世主達よ さぁ座ってくれ

それから主らに何が起こったか応えよう」


言われるままに皆が席へと座っていく


「全員で26人か…まぁよい」


「何がいいんですか!早く説明してください」


いきなり声を張り上げたのは大谷 梓(おおたに あずさ)先生だ。20歳の彼女は教育実習でこの高校に来ているのだか、ボブカットで綺麗な顔立ちと小柄ながら胸が大きく出ており男子から人気を集めている。事実何人かは告白し、玉砕しているらしい。廻も「三角眼鏡にタイトなスカートとタイツ履いてもらったらもっとエロくなるよな」とぼやいていたのを覚えている。


男子だけでなく気さくで努力家な彼女は歳が近いのもあり女性陣からの信頼も高い、さっきも「怒ったアズちゃんもかわいい」などと聞こえるくらいだ。ここに居るのも仲良くなった女子生徒と一緒に御飯を食べていたからだろう。



「なんとも短慮な娘だ。そう()くでない 言われずとも順序に話してゆく」


ボーティアス王は片手で今にも飛び出しそうな衛兵を留めながら空いた手を髭にあて撫でながら説明を始める。


「ここは人族最大の国ボーティアス 儂はここの国王でリベルト・マゼ・ボーティアス6世だ。主らはこの国の いや、人族の救世主として召喚されたのだ」


誰もが「召喚?」「救世主?」と頭に?を浮かべている


「それではここは日本ではないんですね?何のために救世主が必要なんでしょうか?」


そんな中で一番早く理解したのか金崎会長が質問し始める。


「うむ その通りだ 主らには魔王を倒し、奪われた領土を取り返してもらう」

「そんな危険なこと勝手に決めないで下さい!私達は只の一般人なんですよ!そういうのは自分達で何とかしてください。なので関係ない私達を元の世界へと帰らせて下さい」


梓先生の怒号が炸裂するが、言われている国王は飄々とした顔で皆が青ざめる一言を言い放った


「主らを送り返す方法は無いのだ。この召喚術は喚ぶことにしか使えん、故に主らに責務を拒否することはできん!その代わりこの城に住むことや鍛えることなどの協力は惜しまん」


聞き入れたくないと皆が現実逃避を始めそうになる、その表情を見てか国王は更に話を続ける


「召喚術は元々魔族が造った術だ。それが人族へと伝承されたもの、もしかすると奴等なら帰還の方法を知っておるかもしれんぞ?」


それを聞いても皆一様に言葉を発しようとしないが


「皆やろう! それにしか日本へ帰れる可能性が無いんだ。ここで言い合いをしていても始まらない、やれることをやろうよ」


金崎会長の発言に皆が決心したように顔色が変えていく。それぞれ「帰るためにもやらなきゃ」「やぁぁってやるぜ」など前向きなり始めていた。それなのに魂の抜け顔し哀愁を振り撒く者がいた。


「終わった………」


それはこの発言と同じ人物、そう脩司その人だ。


「この流れに水を差すなよ!」「空気読めよ」と周りからは皮肉が次々に出てくる


「うっせぇ!こっちは今日帰れなかったら意味ねぇんだよ」

「その慌て様はもしかして璃子(りこ)ネェが帰ってくるのか?うわぁ御愁傷様」


脩司がいつもと様子と違うのを感じた廻は胸元で合唱しながら頭を下げてくるが他の人は事情が分からないために冷たい視線を脩司へと向けている。


「木幡くんで良いんだよね?なにがあるの?」


事情を確認しようと梓先生がこちらに来る


「姉が今日帰ってくる日なんっスよ。だからなにがなんでも帰らなくちゃいけなかったんっス」

「お姉さん?それが木幡君が暗い顔をしている訳なの?」

「そうっス木幡 璃子っていうんっスがアイドルグループに所属してるんで変な奴等が結構付きまとってるんっスよ。だから家に帰って来たときはそいつらを近付けさせないって約束があるんス」

「そんな約束があるんだ 木幡君はお姉さん想いで優しいんだ」

「そんなんじゃないんスよ!有料でやってるものなんスから 只、この収入が無くなると学費払えないくなっちゃうんでそっちの方が痛いっス」


「えっ有料!?学費!?」鳩が豆鉄砲を喰らった顔をする梓先生へ脩司は更に


「自分の親は高校に行かず家業の手伝いをしろと言われてたんっスが、学費は自分で稼ぐから進学させてほしいって言って進学したんスよ。」

「えぇーっ!それはあんまりだよ」「そうね 木幡君に同情するわ」近くで聞いていた藤居さんと早乙女さんも暗い表情をしていた。


「お姉さんはもしかして有名なアイドルグループに所属しているの?」


それを察した梓先生が内容が明るくなりそうな話題を振ってきた。


「名前は言わない約束なんスが、この前オリコンで初登場でベスト5に入ったグループっす。そこの人気投票7位の人っス」


「それってもしかして"リコピン"?」

「その人っス」


衝撃的な事実に「会わせてくれ!」や「サイン貰ってきて!」と先程までの冷たい視線はどこへ行った状態へ


「よっしゃーー俄然やる気でてきた!皆早く日本へ戻ってリコピンに会いに行くぞー!!」

「「おぉーーーっ!」」


国王を無視し続けたまま、名前も知らないヤツの音頭で思いもよらず士気は高まっていった。

なぜアイドルにしたんだろ?


アイドルには詳しくないのに…



アイドルのことを誰か教えてぇーー!!

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