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我が儘に異世界を  作者: かでぃー
第二章 脱獄
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報告


『此処は大人しくして牢獄まで戻れ』


ベルガの提案をコドドに向け突き出した指を震わせながら


「なんでだ?あんなのさっさと終わらせてやればいいんじゃねぇの?」

『俺様達だけならなんとかなるが、アル達のことも考えると一団となって行動した方が得なんだよ。てめぇは先頭以外でもちったぁ頭使えや』

「ぐっ・・しかし、出した指の引っ込みがつかない・・」

『んなもん気にすんな。今に始まったことじゃねぇだろ?』


確かにこれまでベルガには再三カッコ悪い所を見られ続けているのだが


「これ・・・かなりイタくないか?」

『くっくく俺様へのネタ提供ご苦労さん。その内きっちりばら蒔いてやんよ』

「いやだーーやめてくれーーー!!」


赤面した顔を両手で抑え悶え始めた脩司が回復する前に護衛兵達が部屋へと入ってきてあっという間に牢獄まで搬送されていく。その間抜けな姿を笑いを堪えたベルガだけが生暖かい眼差しで見守っていた。



◇◆◇◆◇



ほどなくして鉄格子のいつものポジションへと繋がれ、看守達は足早に立ち去っていった。多分明日の俺の処刑の準備をコドドに急かされているのだろう。だからこそ普段は口が硬いはずなのにポロポロ情報を落としていくのを目隠しされながらも聞き耳をたて素直を連行されてきた。


「なぁシーラ──君はコドドの求婚受けたのか?」

「なにを言ってるんですかー?受けるはずないじゃないですかー!アレはムリですよー絶対にムリーー!!」


脩司の質問に完全否定をするシーラなのだが


「さっきの看守達の話だと明日は俺の処刑をやってその後に君とコドドの結婚式をやるみたいだぞ?」

「はいぃー!!??」

「・・あなたは殺されると判っている割にはよく冷静でいられていますね?なにか策がおありで?」


おもいっきり動揺し始めるシーラに対しアルモは冷静に俺を観察し余裕があると見抜いて来る。


「策というほどじゃない。できるようになったから深夜に此処を出ていくだけさ」

「??─今朝までは鎖が外せず決行出来なかったはずですが?」


脱獄すると宣言すると当然の疑問がアルモから振られたのでアラクネとの対決の全貌を事細かに伝えた。


「・・なるほど──旦那様の力と撃破による成長ですか・・しかし、あなたは突飛過ぎますね。成功したから良いものの失敗すれば旦那様まで戻ってこれなかったんですよ?」

「勝算はあったさ」


アルモの言葉通り脩司はアラクネに対し一つ賭けを行っていた。

それは超音波による簡易催眠だった。アラクネの最後の攻撃が直線的な物になったのはステップを使用してそうするように仕向けていた。元々動きの速いアラクネに確実な一撃を与えるために[向かってくる敵に攻撃する]という催眠をかけ突っ込んだのだ。回避をせず迎撃に来ると分かっていれば対処は難しくなく、攻撃を躱わせば自分の攻撃は当てられると算段をしていた。そしてその結果は現在も脩司が生き残っていることが証明になっている。


「・・それに左手まで犠牲にするとは・・・」


アルモの視線は繋がれた脩司の左手を見つめている


「・・・犠牲ではないよ──必要な処置だったんだ。見た目が変化したのはしのびないけどさ」


アラクネに毒を使った後に左手に変化が起きていた。指の先まで肌色だったが今は指先から手首まで内出血を起こしているかの様に紫色に代わり果てている。


『てめぇに与える影響がどう出るかわからねぇ以上余りそれを使うんじゃねぇぞ!』

「なんだ?心配してくれんのか?オメェは優しいなぁ」

『んだとコラッ!誰がてめぇなんぞ心配すっか!てめぇが死んだら俺様が肉体を活用するんだ。変なものが残ってたんじゃ堪らねぇだけだ』


いつもの如く始まった喧嘩を止めるはずのシーラは「イヤだーあり得ないー」とぶつぶつ呟き遠くを見ており、回復した頃にはすっかり夜は深まっていた。



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