昼下りの召喚
どのくらい寝ていただろと脩司は目を覚ます。
「ここはテストに出るから抑えておくように」
授業の真っ只中であったが、すぐにキーンコーンとチャイムが鳴る。時計を見れば丁度昼休みになったところで目が覚めていた。
振り返ると机に突っ伏して寝ている廻の姿が
「廻 昼だ 起きろ」
寝起きで言葉が単調になっているが、廻の身体を揺すってやると廻も目を覚ましていく
「んぁ 昼か」
彼もまた単調な言葉しか出てこない。昼休みになれば、購買部へお昼御飯を買いに行く人、別のクラスの友人の所へ向かう人、別のクラスから来る人で人数が変わっている。
「今日の昼はどうする?」
脩司が話し掛けるが
「俺はいつもの持ってきてるし、脩司のおかず勝手に摘まむからそれで足りる。そんで今日のおかずは何?」
またかとため息を吐きながら自分の鞄から弁当箱を出し
「毎日メニューを変えてる訳じゃないから当たり障りのないものだ」
「脩司が作ったもんは何でも旨いからいい」
廻も鞄から栄養バーの一本○足と小腹サ○ートを取り出しながら弁当の中を確認し始め本当に勝手におかずを食べ始める。
「さすが料理研究家の息子!いつ食べてもウマイ」
「褒めてもこれ以上はあげないからな、俺が食べる分がなくなっちまう」
そんな雑談をしながら昼食を食べ終わる頃購買部から戻ってきた藤居さんと早乙女さんがこっちに向かってきた。
「あれ もしかしてもう食べ終わっちゃうの?」
「だから早めに買っておいた方が言いと言ったんですよ紗耶香」
だってぇと悔しそうな顔をしながら買ってきた昼御飯を食べ始め様としたときに
「やぁ紗耶ちゃん ここに居たんだ探したんだよ」
声の方を振り返ると顔も整っていて少し長めで猫っ毛の髪を爽やかに靡かせてこっちに歩いてくる少年がいる。
「どうしたの?金崎君?」
彼は金崎 光一郎この高校の生徒会の会長その人だった。偏差値も高く、運動も苦にしない彼は1年の時から生徒会へ入りっており、今年から会長職についていた。
脩司と廻はめんどくさいヤツが来たとばかりに顔を背ける。
脩司は彼が苦手というよりは生理的無理だった。脩司はどちらかと言えば脳筋に近く彼の言い方などが駄目なのであった。
廻も会長が苦手だ。爽やかなイケメンである彼が近くに居るだけで「リア充オーラに殺される」と訳のわからないことを言っているくらいだ。
「お昼一緒にどうかな?こんなところじゃなく違う場所で」
「私はここで食べるからここでなら良いよ」
藤居さんはやんわりと否定的な言葉と妥協案を提示したが
「他の人たちが迷惑そうじゃないかい?」
会長の相変わらず上からの物言いだと脩司は顔を歪めながら弁当箱を鞄へ仕舞い、廻と一緒にトイレにでも逃げようと考えていたが、鞄の中に見知らぬものが入っていることに気が付いた。
「ん?なんだこれ?」
それは黒いトンボ玉が着いている数珠のブレスレットだった。
「脩司ってそういうのが趣味なのか?」
「いや、俺のじゃない こういうの着けるのあまり好きじゃないんでな」
「そうなの?木幡君似合いそうだよ」
横から覗き込んできた廻と藤居さんに困った顔を向けようとした時だった。
「繋がった 見つけたぞ我らのの希望よ」
何処からともなく声が聞こえたかと思えば、クラス全体に紫がかった魔方陣のようなものが拡がる。咄嗟に脩司が「クラスから出ろっ!」と叫んぼうとしたが声がでなくなっていた。身体を動かそうにも何かに取り憑かれたかのように動けなくなっている。
そして、紫の光が次第に強くなりクラス全体を包み込んだ。
光が収まるとそこには食べかけの弁当や飲み物はあるが人の姿はなくなっていた。
さぁ異世界へ行こう!




