できること
「ふうぅぅぅ」
棘の蔦からなんとか抜け出し、ダレスとの力の差を痛感しながらも、勝って生き残ることだけを考える脩司
(大見得を切ったはいいが、どうやったらアイツの懐に飛び込める?・・フェイント?いや、意味がない。アイツの意図しないことをしなければ、効果がないな・・・)
そんな事を考えている内にダレスも体制を戻し、突っ込んで来るであろう脩司を待ち構える構えをみせていた。
「どうした?口だけか?近頃の若造は実力も無ければ、根性もない」
脩司の沸点を上げるべく、挑発を繰り返し、あからさまに小バカにした表情を向けてくる。
(わかってる…あれが挑発だってことは……)
「だけど、やっぱしその顔はムカつくなぁ!」
それを聞き、してやったりとダレスが口元を僅かに変化させた。なにも考えず突撃してくるだろうと
しかし、脩司の行動はダレスの予想とは違うものだった。
「ウラァァァ!!」
両手を組むと気合い一番に振り下ろし、ダレスの魔法で穴だらけになっていた地面を砕き、砂埃を巻き上げさせた。
(ふん!目敏いな─地面を割り、眼眩ましとするか…さて、どこからくる)
多少なりとも虚をついていたが、直ぐ様ダレスは迎撃体制にはいった。
ドン!ドン!!ドン!!!
尚も地面を割り続け、大量の砂埃が舞う中で虎視眈々と隙を伺う脩司はダレスが仕掛けてくるのを待っていた。
(絶対にムカつくあの顔に1発いれてやる)
時間が経つにつれ、徐々に砂埃が晴れていき、人影が確認できるまでになってきた頃
「そこにおったな。スプリッツァーニードル」
脩司目掛け魔法を放つ。
それを待ち、砂埃から飛び出した脩司は、再びダレスへ一直線に突進していく
「同じことを繰り返すか。愚か者め!」
「そいつはどうだかな?」
不敵な笑みを浮かべ、自分のスピードを緩めることなく、迫りくる魔法を合気道でダレスへ向け弾き返した。
「なんと・・」
流石のダレスも自身の魔法が跳ね返されるとは露にも思っておらず、咄嗟にローブの下に仕込んでいた蔦を使いガードした。
それを脩司が見逃すはずもなく、緩めなかったスピードで一気に間合いに踏み込み
「オッラァァ」
右拳をダレスの顔面へぶちこんだ。
「ぐふっ」
拳を叩き込まれる瞬間に目に飛び込んだのは、己の服を破いたものを拳にぐるぐる巻き付けたものだった。
(そうやって魔法の威力を下げたのか……)
「まだまだァァ」
状態がぐらつき、思わず尻餅をついたダレスからマウントポジションをとると脩司の追撃が降り注ぐ。
なんとか脱出したいダレスは蔦を使おうと腕を構えると、瞬時に脩司が反応し、腕を潰して、開いたスペースから拳を滑り込ませてくる。
至近距離では脩司が勝っており、完全に主導権を得て、一方的な蹂躙と化していた
「もうよい!そこまでじゃ!!」
ダレスが立っていた場所の奥から聞こえた声が、その蹂躙劇を止めた
「はぁはぁ─なんだってんだ」
声の方を向けば、ダレスと同じ顔、同じ背丈の老人が立っていた。
少し遅くなってしまいましたが、
新年明けましておめでとう御座います。
昨年同様にマイペースではありますが、投稿していく所存ですので、読んで貰えたら嬉しいです。
今年も宜しく御願いします




