ロアリッテ迷宮⑤
前回バティアのステータス部分にあるSPRはspiritpowerの略になります
SPPではなくSPRにしたのは単純にSPとの区別です
「落ち着いたか?」
「…お見苦しい所をお見せしましたわ」
「それだけ辛かったんだろ?別に構わないさ…─ところで、俺が寝ている間は何処にいたんだ?」
「食事をと思いまして魚を捕まえに泉へ潜っていましたわ」
「素潜りで道具もなしに?」
「どちらも魔法を使いましたわ。風で身体を覆って潜りしまして、魚は何故か触れるだけで捕まえられましたわ」
「凄い方法なのはわかったが……少しおかしいな」
「?…なにがですの?」
バティアは魔法を使い狩りをしていたのに、ステータスを見た限り妖力が減っている様子がない
「もしかするとバティアの妖力回復方法は生き物全てに該当するのかも…それならイケるんじゃ…」
「?」
「あの大蛇を倒すぞ!」
「先程勝てないと仰っていたではありませんの?」
「俺1人なら無理だ。─頼む!君の協力が必要だバティア」
「し、仕方ありませんわね。頼まれてあげますわ」
「よかった。そうと決まれば早速用意を始めるか」
戦闘準備とバティアが捕ってくた魚で食事を兼ねて廻が目覚めた場所に一旦戻り、下準備と作戦の内容をバティアへ伝え終えると大蛇が居る場所近くまで戻っていた。
部屋を覗き込み確認するが、大蛇の姿はなく気配だけが漂っている。
「作戦開始といくか」
その部屋に藁人形をバティアの風魔法を使い歩を進める。
この藁人形は廻が寝ていた藁を物質変化で鉄に変え、着ていた皮の鎧を着せた上で熱を感じ蛇に対して人形も人肌程度まで暖めてある。
(さぁでてこい!)
部屋の中央付近まで藁人形を進めると泉が騒がしくなると大蛇が藁人形目掛けて飛び出し、大きな身体を使い巻きつくと人形を絞め上げていく
「バティア!!」
「いきますわよ!私の火魔法『火狐』!」
バティアが使った炎が舞い上がるとその炎が狐のような姿へと変わる。
それを姿を見た大蛇が人形を抱えたまま泉の中へ潜ろうと移動し始めた
「そうはさせねぇよ」
廻は自分の使っていた西洋剣をある岩へ向け投擲し、ぶつかると同時に
バァァァァン!!!
大きな音をたて破裂した。
その岩は廻がこの部屋に入るときに物質変化させ蹴飛ばした風船であった。
音に驚き動きを止めた大蛇へ火狐が狙い定め襲い掛かるのを見ると
「ストームウォール」
「『狐風』」
廻が中級の水魔法で使えるようになった激流の壁を通路入り口に発動させ、その後方にバティアの風魔法で飛んで来るものを防ぐべく展開された。
と同時に
ドッカーーン!!
爆裂音が通路内にも響くと共に大きな振動も2人を襲ってくる。その振動が治まるのが待ち、魔法を解除し中の様子を伺っていく。
部屋の中は身体を吹き飛ばされ動けなくなっている蛇と無数に飛び散り壁や地面に刺さっている藁で散乱している
「どうやら上手くいったな」
廻は藁人形に仕込みをしていた。
焚き火で燃え尽きた煤をギカントタートルの時と同じ火薬とマグネシウムへ変化させ、比率を4対6で胴体に混ぜ込み、そこに点火させることで火薬の爆発と粉塵爆発の2段階の爆発を引き起こさせたのだ。
爆発で周りの藁(鉄製)は飛び散るという特製の炸裂手榴弾の完成となった
「ふぅ~」
安堵のため息をつき、バティアへ掌を向けた
「なんですの?」
「俺達のいた世界では上手くいったら掌と掌を合わせるんだ」
「変な習慣ですのね──でも、悪い気はしませんわ」
そう言って俺達はハイタッチを交わした。
「さて、次は検証だな」
「今度は何をいたしますの?」
「バティア─あの蛇に触れてくれないか?」
「アレに触るんですの?」
「あぁ─俺の憶測が正しければ、それでバティアの妖力は回復するはずだ」
「うぅ触りたくはありませんが仕方ありませんわね」
「まだ生きてるから気をつけろよ」
怯えながらも1歩ずつ近づき大蛇の尻尾に触れる。
すると動けなかった蛇がその巨体を仰け反らせ地面へ平伏すとそのまま動かなくなった。
「やっぱりそうか」
「廻様!私はなにがなんだか理解できませんわ」
「まず自分のステータスを見てくれ」
「──!!廻様っ!妖力が回復していますわ」
「バティアは自分の力を使った相手から魂を吸収してるんだ。だから魚を取るのに妖力を使っても魚の魂を吸収して回復できていたんだ」
「そんなことが…でも、今までは勝手に取り込んでいたんですわよ」
「ここからは推測なんだが、その人達と面識はなかった?」
「全てを把握してはいませんが、知っている方が多いはずですわ」
「その知っている人の前で踊ったことは?」
「・・・ありますわ」
「アビリティに魅惑のダンスがあった。原因はそれだ。そして、亡くなる原因はなんでもいいんだけど、少しでもバティアが関与していればそうなるんだ」
「では、父様やネビリアも……」
「……そうなるな─だけど、ダンジョンの中では外の魂を吸収できなかっただろう?必ず理由があるはずだ。それを見つければいい」
「私ではそれを見つけることは……」
「俺が居るだろ?頼ってくれていい。俺も捜している奴が居るし、どうせ捜すなら一緒に見つけにいかないか?」
提案を口にすると、今度はハイタッチとは違い、握手をするように手をバティアへ向け
「……よろじぐ…おねがいいだじまずわ」
バティアは涙ぐみながら廻の手を力をいっぱい握り返した
「ところで…身体は大丈夫なのか?」
「だいじょうぶでずわ」
「…いや…そういう意味じゃなく耳と尻尾生えてきたぞ?」
「・・・・・」
唐突な発言を理解できずに自分の頭に左手をお尻辺りを右手で触れてみると、いつもとは違う柔らかな触り心地が
「・・か、か、か、廻様…ど、どど、どうなっていますの?」
「似合ってるぞ」
「そ、そ、そういうことではないですわ」
ケタケタ笑う廻はバティアが動揺し過ぎている
のを見て更にからかっていった
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