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我が儘に異世界を  作者: かでぃー
第一章 クラス転移
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ロアリッテ迷宮④

「やっと見つけましたわ」


振り向くと廻と同じ位の身長で腰まで伸びた白い髪に金色に輝く瞳を持つ女性が頬を膨らませながら仁王立ちしていた。

着ている服は上質なのだかボロボロで、それを押し出す程よい膨らみと破けたスカートの間から覗く細く長い足が妖艶さを際立たせていた。


「せっかく助けて上げましたのに、何も言わないで居なくなるのは非常識ですわ!」

「ちょ…今はそれどころじゃ……」

「なんですの?助けられたお礼も言えないんですの?」


話も聞かずに捲し立ててくる彼女に対しイラッとしていまい


「ちょっと黙れよ!あの魔物が見えないのか!」


つい大声を上げてしまった


(──やばい!)


やってしまったと後悔するより先に大蛇を見ると、こちらに気がつき大きな口を開け、獲物を見つけたとばかりの表現を向けていた


「まぁ大きな蛇ですこと」

「んな呑気なこといってる場合じゃないだろ!逃げるぞ」

「なんで逃げるんですの?倒したら良いではありませんの?」

「勝てねぇよ」


のほほ~んと現実を理解していないであろう彼女を抱え上げると一目散に通ってきた道を全力で逆走していく。

開けた場所まで到達して後ろを確認すると幸いなことに大蛇は通路より身体が太かったのか追ってくることはなかった


「あぶねぇ~喰われるところだった…」


蛇に睨まれた蛙の様に立ち尽くしていたら今頃アイツの腹に収まってただろうと冷や汗が背中と額を濡らす


「…あ、あの~下ろしてくださらないかしら?」

「──あっ…」


咄嗟にお姫様抱っこされた彼女は指先で口を覆い恥ずかしそうに頬を少しだけ赤く染めていた。


(わたくし)、始めて殿方に抱かれましたわ。これが巷で有名な初体験ですのね」

「紛らわしい言い方すなっ!」


やれやれと思いつつも彼女をゆっくり下ろし


「俺は細谷廻だ。さっきは怒鳴ってすまなかった。それと助けてくれてありがとう。」


未だに赤めた頬をぐにぐにと擦っている彼女へ詫びと礼を兼ねた挨拶を述べた


「わ、私はボーティアス王国第1王女、リベルト・マゼ・ボーティアス6世が娘バティア・マゼ・ボーティアスですわ。きちんと感謝してもらわないといけませんわよ?」

「王女?なんで王女がこんなとこに?そんな姿で?」

「そ、それは…」


思わず疑問を口にしてしまった。元気だったバティアは俯き、口を閉ざしてしまう。


そんなバティアを見てぶつぶつと独り言を言いつつも思考に入っていく


(王宮で出会った国王は歳で髪が白かったが、娘と紹介されたネビリアの髪は金色で碧眼だったなのに彼女はそのどちらも合ってはいない。

更にここの柵や岩で道を閉ざしていたことを考慮すると何らかの理由で)


「監禁されていた…と考えるのが普通か…」


えっと驚いた顔を廻に向け


「どうしてわかったんですの?」

「状況が状況なだけにそれしかないでしょ?流石に監禁される理由までは解らないけどさ」


両手の平を上に向け、お手上げのポーズをしながら軽く苦笑いを浮かべて見せる


「………私は普通…ではありませんの…………」

「そうか?会って間もないけどそんな感じは受けないな」


様々な視線を数多く受けてきた廻には敵意や嫉妬、気持ち悪さなど負の感情は敏感に感じ取れるのに彼女からはそれを感じられなかった。


「それに俺も特別だ。なんせ異世界から来たからな」


勇気づける意味合いも込めバティアの話を待つ


(これで駄目なら渾身の自虐ネタを…)


変な妄想に入ってしまい自分のネタで泣きそうになった廻を止めるようにバティアは喋りだした。


「私は…呪われています…そのせいでここへ連れて来られ、隔離されているのですわ」

「呪い?」

「こちらをご覧になってくださいまし」


バティア・マゼ・ボーティアス 19歳 女

職業 妖狐(変更不可)

≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡


HP:500

SPR:700

STR:300

DEF:230

SP:450

TEC:180


称号:


ボーティアス第1王女

温室育ち

職業固定者

突然変異者


アビリティ:


礼儀作法(初級)(中級)

火魔法(初級)

風魔法(初級)

魅惑のダンス

妖力値UP

収納

状態異常不可


≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡


「なるほどな~職業が特殊か…」

「…はい…魔力ではなくなり妖力というのもへと変化したしましたわ」

「それ以外に変化あるのか?」

「妖力を回復されるには…その…」

「ん?」

「魂を食べないといけないんですの…しかも勝手に取り込んでしまうのですわ」

「それで此所って訳か…それは人だけか?」

「…解りませんわ」


ふ~んと鳴らし暫く考え込む廻をバティアは浮かない顔で見つめ続ける


「バティアとりあえず此所を出ないか?」

「…え?此所から出られますの?それより廻様は私が怖くはないんですの?」

「全然怖くないさ、むしろ優しい女性だと思ってる。突然泉に落ちてきた俺を介抱してくれた人が怖いことはないさ」


頬をぽりぽり掻きながら照れを隠すのに必死だったが、それを聞いた途端にバティアは泣き出し、その場に座り込んでしまった。


「うわぁぁぁん…わだぐしは…職業が…がわってから…ひっく……みんなに…ぐすっ……ばげものあづがい…され……うわぁぁ」


突然泣き出してしまったバティアをどうしたらいいか解らない廻はポンポンと頭を叩いて諭してやることが精一杯だった。

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