ロアリッテ迷宮③
寒いっす!
炬燵から出たくない、布団が恋しい、忘年会やらなんやらで出費も激しく財布まで…
あ~虚しくなった今日この頃っす…
パチパチと何かを燃やしている音とその暖かい熱を感じ廻は「ゲホッゲホッ」と咳をして目を覚ました。
ボーッとする頭で今までの経緯を思い出していく
「あぁ…生きてる…のか…ぐっ!いってぇぇ!」
起き上がろうとすると全身を強烈な倦怠感と筋肉痛の様な痛みが襲うが、なんとか手足を動かし身体の状態を確かめていく
(ふぅ~よかった五体満足だ!痛みを感じるなら致命傷はないだろうな…しかし、どういう状況だ?)
頭だけを左右に動かし辺りを見ていくが、誰もいない。
だか廻は藁の上に寝かされ、その近くにある焚き火の炎が辺りをほんのり照らしている。
(誰かに助けられた?…でも、こんなとこに人なんて居るはずもないし…??)
廻が助かったのは奇跡に近かった。
先に落ちたギカントタートルが致命傷を負いかねない突起物を次々と除外し、その壊れた部分から間欠泉の様に水が吹き出し廻を別の場所へ押し出てダンジョンの泉の中へと落下したのだ。
「ここで魔物と遭遇したらヤバイけど、皆の所に戻らないと」
痛む身体に鞭を打ち起き上がると藁を纏め松明を作り周囲の探索していくが、落ちた場所は杭が数ヶ所打ち込まれていることと道が1本あるだけで、泉を囲うように絶壁が聳え立つばかりであった。
「行くしかないか…」
罠の可能性もあることに注意しつつ、唯一の道を進み続けると、前方に明らかに人の手で作られた柵が見えた。
「まるで牢獄だな…だけど意味が解らない…」
なんでダンジョンの中に牢獄が?なんの目的に?その中に誰かが居た?いろんな思考が飛び交いながらも鋼鉄で作られた柵に近づいていく
「……駄目か…開かねぇ」
柵の間から覗き込むように周りを見渡し、誰も居ないことを確認すると「物質変化」を使い鋼鉄製から木材へ変化させ火を点け燃え上がらせた。
(あれ?…なんで使える?)
ギカントタートルを落とすため、ありったけの魔力を使っていたはずなのに、難なく物質変化が使えたのだ。
目を覚ましてからステータスを確認していない事に気付いて確認する
「……はぁぁ?」
細谷 廻 17歳 男
職業 掃除人(凄腕)
≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡
HP:420
MP:630
STR:240
DEF:420
SP:300
TEC:660
称号:
異世界から召喚されし者
室内を愛する者
知識を貪る者
汚れを洗い流す者
大量清掃完遂者
リサイクルマスター
危険物取扱者
アビリティ:
異世界言語理解
異世界文字理解
速読
思考上昇率6倍
水魔法(初級)(中級)
物質変化
相対距離把握
投擲力UP
≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡
「いやいや…え?何が起きた?」
何度も見直すが誤りはなく、ステータスの異常な伸びに驚愕して混乱に陥りあたふたしてしまっている
ガラガラ~ゴシャ
柵が燃え尽き崩れる音にビクッと身体が跳ね上がるがお陰で我に帰った。右手を心臓部にあて、ゆっくり深呼吸をして自分を落ち着かせていく
「すぅ~はぁ~─ステータスが伸びたのは嬉しいが、一旦置いといてダンジョンからの脱出を優先させないと」
柵の先も先程まで居た泉と同じように絶壁の場所だか、然程広くはなくすぐに道を見つけることができたがやはり1本だけでそこを進むしかなかった
「今度は行き止まりか…いや違う、明らかに岩で塞いでいるな」
結合部の違いを見出だし、またも物質変化を使い岩を風船へ変え、おもいっきり蹴飛ばした。
そこはダンジョンの中にあっても光が差し込んでおり、泉もあった
「ようやく違う場時にで─」
言葉の途中でギカントタートルに睨まれた時と同じ悪感を感じ、通ってきた道に身を隠して部屋の様子を伺う
(なにかいるがどこだ?)
注意深く明るい空洞を観察したが、別に変わった様子はない。
おもいきって手に持っていた松明を部屋の真ん中辺りを目掛け投げ出すとソイツは泉の中から現れた。
細長く大きな身体の表面を鱗が覆い、口からチョロチョロと舌を出しつつ全身をうねらせる大蛇が松明を叩き潰した
「Oh…今度は蛇かよ…」
隠れつつもどうにか突破できないものかと思考するが手持ちのもので対抗するには手段が少な過ぎている
(俊敏なうえにピット器官持ちか…毒も持っていると思っていいだろうな…手詰まりだろ…)
苦悩の顔を隠せずいる廻に
「やっと見つけましたわ」
やけにテンションの高い声が掛けられた
読んで頂き有難うございます。
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