ロアリッテ迷宮②
珍しく早朝に投稿してみました。
廻達を照らしていた光が次第に弱まっていくと先程までいた場所ではなく、なにもないただ広いだけの場所の真ん中に移っていた。
「ここもダンジョンの中なのかな?」
「多分そうだと思うわ」
「地面や壁を見た限り同じみたいだし、ダンジョンを移動したと考えるべきじゃないかしら?」
「そうだとしてもどの階層まで移ったかわからないな」
廻達は冷静に分析を始めているが
「お、俺らのせいじゃねぇぞ!!」
「そうよ!始めに罠があることを教えてくれない方が悪いのよ」
ここに移る原因を作ってしまった彼等
男性が
竹永 篤史女性が川俣 紀子だ。
彼等は学校でも素行の悪さで有名なカップルでこの世界に来てからも訓練はするもののそれ以外はふらふらしてばかりだ。
「お前らは少し黙ってろ!レギルここがどの辺かわかるか?」
「あぁ…おそらく50階層あたりだ。それとすぐに撤退を始めた方がいい」
「どういうことだ?」
「間違いがなければ、ここはモンスターポイントだ。下手するともう始まるぞ」
「──総員撤退だぁ!右側に上層へ繋がっていそうな階段がある。そこを目指して走れ!!」
普段から冷静なノラバス団長が焦りを隠すこともせずに吼えると皆一斉に階段を目指し走り出していく。
なにも起きるなと願いつつ階段まで残り半分の距離まで到達したところで異変は起こった。
部屋全体から赤い光が放たれると前方にゴブリンが大量に出現したきた。しかもあからさまに上層に居たゴブリンとは色が違い、持っている武器も長剣や斧など種類が多い
「くそっ始まったか…」
「ゴブリンナイトだ!さっきのゴブリンとは訳が違うぞ!心してかかれ─行くぞ!」
「「「うぉぉぉ」」」
雄叫びを上げ戦闘を繰り広げていく中で廻は背後から強烈な悪寒を感じ振り返る
「う…嘘だろ…デカすぎる…」
悠然と現れたそいつは大きな甲羅と合わせ優に7メートルは越える巨体とそれを支える太すぎる脚を持っており、その魔物がこちらを睨み付けていた
「シュアァァァァァァ」
「くそがっ!このタイミングでギカントタートルかよ!ノラバスこっちにも人手を回せ!追い付かれるぞ」
「攻撃魔法を使えるものは後方の支援に向かえ!ヤツを近づけさせるな!」
ギカントタートルと呼ばれた魔物は歩く速度は遅いが歩幅が広く、飛んでくる魔法を気にも留めず着実に距離を縮め向かってくる。
「駄目だ…止まらない」
「流石にB級大型魔物なだけはある火力不足だ。・・・コウイチロウさっき使った技をもう一度できるか?」
「……限界突破を発動するのにまだ時間がかかるので無理です」
「ノラバス!」
「こっちはもうすぐ突破できる!」
「総員前方の敵を突破し駆け抜けるぞ」
止めることのできないギカントタートルより数が多いというだけのゴブリンナイトの包囲を全力で突破することを決め、突貫していく
「よしっ!抜けた…ぞ…」
ゴブリンナイトの集団を突破したノラバスは自分の目を疑ってしまう光景が映る。
それは少し離れた階段付近をゴブリンナイト達が占領し、こちらを待ち構えていた。後ろからもギカントタートルが更に距離を縮めている。
「畜生が!」
ノラバスが怒鳴り散らすと絶望が押し寄せて皆の顔が青白くなっていく。
「ノラバス団長!あのゴブリン共を倒しましょう」
その言葉を掛けたのは廻だった。
「後ろからギカントタートルが来てる。アイツらを相手にしている時間がない」
「その時間は俺が作りますよ」
「死ぬ気か」
「勝算は十分あります。やらせてもらえますか?」
「・・・わかった。すまないが君にまかせる」
「なら私も残るよ」
「紗耶香そこは私達って言ってもらえないかしら?」
「ゴメン2人共これは俺1人じゃないと駄目なんだ」
「そんな無茶な作戦は駄目!」
「時間がないんだ。それに藤居さんには怪我をした人を診てもらわないといけないし、早乙女さんには遠くから敵の数を減らしてもらわないとね」
「でも…」
「大丈夫!約束破るけど、好きな人を教えてもらうまで死なないさ──団長お願いします」
急にノラバスに担がれた2人は振りほどこうと暴れるが廻からどんどん離れていく。それを確認し廻は踵を返す
「さてとやりますか」
周囲にはゴブリンナイトが使っていた武器が散乱している。それを手に取り
「物質変化」
アビリティを発動させ武器を地面へと次々に突き立てていき、武器にかからないように水魔法とゴブリン達の血を使い周りを水浸しの状態にした。
次に小石にも物質変化をかけ、何本か物質変化させた武器を脇に抱えつつ水で線を書きながら後退していく。
視線の先はゴブリンと戦闘している騎士団と藤居達、ゴブリンの数がいる。ここで止めなければ全滅必死だ
それを見てからくるりと回転しギカントタートルを睨み付けた。
「来るなら来いバケモノ!」
「シュアァァ!!」
廻に狙いを定めズシンズシンと地面を振動させながら近づいて来るギカントタートルが廻の用意した水溜まりに脚を踏み入れた瞬間に廻は水に触れ
「物質変化!それとこいつを喰らえ!」
すかさず変化させた石と武器をぶつけ合うと水に火が点き、線を伝い水溜まりに到達すると
ドッガーーーーン!!!!!
爆裂音がビリビリと空気を震わせ、余波の熱風が襲い掛かる。廻が行った物質変化は簡単なもので、ゴブリンの武器を火薬に変え、水をメタノールへ、石を火打石に石にぶつけた剣を火打ち金へ変化させて点火させ大爆発を起こしたのだ。
ノラバス達は轟音に怯んだゴブリンを一気に畳み掛け一掃、振り返って現実を目の当たりにした。
「これを彼がやったのか…」
「あぁ…信じられん」
自分の眼で見るも些か信じられるものではないほどの衝撃が彼等を襲っている。
しかし、その衝撃を打ち消すように炎を纏いながらもギカントタートルは健在していた。
「マジかよ!?あのバケモノ…大人しく転がっていればいいものを…」
(今ので魔力なくなったってのに…やっぱり弱いな俺…)
フラフラしながらも余っているバラバラの武器(物質変化済)を1つに纏め、投げつけようとして、その手を止めた。
(アイツ動こうとしないな…どこか痛めたんだろう!よく見れば足元の地面にヒビが入ってる……やるっきゃないな)
意を決してギカントタートルへ向け走り出した。
遠くからの投擲ではギカントタートルにぶつかり爆発してしまう可能性があるのでできるだけ近づいて地面に当てるしかない。
「頼む!これが最後だ」
十分に近づき武器を投げつける
ドドーーン!!
ギカントタートルの足元から爆音が響き、地面のヒビが広がるが崩壊までは至っていない。
(ここまでか…)
「シュ…ァァァ……」
そう思った時ギカントタートルがゆっくりと倒れ、地面にぶつかるとヒビが広がり崩壊を始めた。
(やべぇ逃げないと…)
振り向きふらつきながらも約束の場所へ戻るため必死に歩を進めるが、非情にも廻の足元にも亀裂が入る
(あぁ…駄目だな…ゴメン藤居さん約束守れそうにない…)
彼女達は何かを叫びながらこっちに飛び出そうとしたのを会長や騎士達が必死に止めている。
ついに地面が崩壊したのか廻の身体に浮遊感が伝わると意識と肉体を光の届かぬ暗闇の中へと墜としていった。
表現が下手ですいません・・・
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