ロアリッテ迷宮①
女子サッカー残念でした
明日の男子に期待しましょう
太陽が登り始め日差しがテントを照らす。
それとほぼ同時に廻は目を覚まし、日課になっている素振りを始めんとテントを出た。
「こっちに来てもこの時間に起きちゃうな…」
眠気眼を擦りつつも、開けた場所を見つけ教えてもらった型を一つ一つ丁寧に振っていく
(いくら振っても巧くなってる気がしないな…こういった近接武器は脩司の得意分野なはずなのに…)
小さい頃から2人はよくゲームをして遊ぶことが多く、脩司は格ゲーで廻はFPSが上手い。
知識の方も2人の父親が大学からの親友同士でありゲーム会社経営している。その手伝いをしているので豊富だ。
「綺麗に振れているが、まだ脇が甘いな」
突然声を掛けられ振り向くとノラバス団長がいた。
「集中して振っているのはいいが、周りの警戒も怠るな。ここは訓練所ではないのだからな」
「はい・・・」
「彼の事を考えていたのか?」
「そうですね・・アイツはそんなに柔ではないので生きているはずですから・・・」
「今はそれでかわまんが、ダンジョン内では目の前の事にも集中しろよ」
ノラバス団長は助言を告げて立ち去っていった。
(なんだってんだよ!)
心にモヤモヤを残したまま、がむしゃらに剣を振るって日課を終えた。
朝食の干し肉とスープを食べ終えると黒土騎士団という騎士達が合流し、総勢8人の騎士達は各パーティーに一人が付くような形になりダンジョンへ入っていく。ダンジョン内は暗いが騎士達の灯り魔法のお陰で視界が確保できた。
明るくなると魔物の皮であろう物を巻いた木の棒が捨ててあり、何かが中に居ることを指し示していた。
「ダンジョン内はどこから魔物が襲ってくるか分からんぞ!気を抜くなよ」
ノラバス団長から不安を露にしている全員を鼓舞する。
その隣に黒の甲冑と兜を身に着けたノラバス団長より少し背が低い男性。黒土騎士団団長のレギル団長からも
「君達を護衛のするのが我々の目的ではない!君達を鍛えるのが目的だ。そこを履き違えぬようにな」
彼は厳しい言葉をかけるが、それは昨日と今日の異変があるために緊張感を出すものであった
。
それを不安ながらも自分達が来た意味を理解した召喚者達の表情が決意に満ち溢れるものとなっていく
「目指すは30階層だ。行くぞ!」
「「「おぉう」」」
召喚者達は初のダンジョンに足を踏み出した。
(ノラバス分かっていると思うがあの場所には近づくな)
(わかっている)
~~~~~~
階層を進み危なげなく単体のゴブリン、イヤーバットをパーティーで囲い混み倒していく。
廻も藤居さんに補助魔法を、先生からテンションUPを受け、早乙女さんに行動を限定されたゴブリンを倒すことに成功していた。
「お疲れ様細谷君」
「流石にあそこまでしてもらったら負けないさ」
「油断は駄目ね━━紗耶香と先生のサポートは強力だけれど、倒したのはあなたよ?」
「それはそうだけど……」
「はいはい3人共、そこまでよ━━細谷君は倒したんだから自信を持つように、次に行くよ」
「・・・先生テンション高くないかな?」
「もしかしたらさっきのテンションUPのアビリティは使用者にも影響が出るのかもしれないわね」
先生は「遅いと置いてっちゃうよ」とばかりスタスタと先を進んでいってします。
階層を重ねるに連れて相手も単体ではなくなり、集団で現れる様になると力を発揮したのは早乙女さんだった。
彼女が使う武器は弓である。後方からの攻撃、援護射撃が相手の連携を分断していく。そこに先生が笛を使い弱体化していき、西洋剣を使う廻と杖を使う藤居さんで倒していく。
他のパーティーも集団を相手にしても大分余裕が出てきたのか、「会長~。綺麗に決めてくださいよ~」などガヤを飛ばし始めているものまでいた。
それが聞こえているのか会長もアビリティを発揮した。
「うぉぉぉ限界突破ぁぁぁぁ!」
純白の甲冑を身に纏っている身体から青白いオーラを放ち始め
「くらえぇ神炎斬!!」
難なく対峙していた魔物を真っ二つに切り裂いたかと思うと切り口から発火し消し炭なり粉砕していった。
「バカモノ!なんでそんな相手に大技がいるのだ!!」
ノラバス団長から激昂が飛ぶも会長達以外はすっかり有頂天となり、騎士団の制御が間に合ってはいなかった。
「おい、彼処で光ってるのって宝石じゃないか?」
「嘘!?どこどこ?」
「ほら!壁の所から見えてるやつ」
「本当だ。でも何の宝石だろう?」
「取ってくるからちょっと待ってろよ?」
「危ないから駄目だよ。それに怒られるちゃうよ」
「バレなきゃ大丈夫だって!」
1人が壁に近づき宝石に触れようとした瞬間
「それはトラップだ!不用意に触るな!!」
「えっ?」
レギル団長の怒号が響いたが宝石が光だし、その階層から皆が消えていった。




