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アリの世界で女王ライフ  作者: 小田鶏助
[一章] 俺、アリになる。
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ゴキブリの逆襲

 一つ一つの卵を凝視していた俺は

 仕事に一生懸命やっていると見られ、しばらく卵達の世話をすることになってしまった。


 女王の様子を見るためには良いのだが、それよりも肉体的、精神的の疲労が大きかった。


 その日も毎日の日課となった女王の観察と雄アリ探しをしていた。

 女王アリは徐々に成長しており、幼虫になるまであと一週間程だろう。

 雄アリに関しては、全てであろうアリを見つけた。

 このことを考えると女王が成長し、コロニー(巣)から旅立つのもあと少しだ。


 子育ての特徴である付きっきりを続けていると、なんだかコロニーが騒がしく成り始めた。


 慌て外へ出てみると


「敵だ~避難しろ~」


 という聞き覚えのある声が聞こえてくる。

 そして、兵士であろうアリ達か団長のようなアリに引き連れられ敵が来た現場へと向かっている。

 見張りをしていたはずの数人匹の兵士は仕事を放り出して逃げ込んでいた。

 ツチアリの時もだが、全く何のために見張りをしているのかわからない。

 コロニー中が混乱に陥っていた。

アリ達は、出口の方向へひたすら逃げている。

 

しばらくして、避難が済んだのかコロニーに静けさが戻った。

 もちろん卵や幼虫達の周りには、俺一人になっていた。

それと伴に恐怖と緊張がコロニーを埋め尽くした。


 俺はこの卵を守らなくてはならない。

 本当は、あの兵士達と戦いたかったがこの仕事を任されてしまった今、そうするとことはできない。

辺りには俺以外のアリ、何匹かいる。

多分逃げ遅れれたアリか、やる気のある兵士アリなどだろう。

 

やはりアリ達の噂はとても早い。

 どうも、この間 襲った? ゴキブリの残党が敵討ちしに来たらしい。


 これは、厄介なことになった。

なにせ敵はゴキブリだ。

あの速さと潰されても死なない生命力。

殺虫剤にも負けない防御力と日々進化していく適応力。


 いくら兵士アリの精鋭とはいえ、殺気立ったゴキブリ達を相手にできるとは到底思えない。

 かといって持ち場を離れることはできない。


 案の定、コロニーの入り口付近が騒がしくなってきた。


 俺はこの卵達を守らなくてはならない。

 それでも俺にできることは戦うことぐらいだ。


 その瞬間俺の六本の脚は大雑把なリズムで駆け出した。

 俺は、急いで入り口へと向かった。


 しかし、そこは想像以上に悲惨な光景が一面に広がっていた。

 大きな茶黒い体を煌めかせた物体が目の前を塞いでいた。


 それは、紛れもなく復讐に燃えたゴキブリの姿である


 周りに目をやると、ついさっき意気揚々と向かったアリの兵士団は、見るも無惨に踏み倒されていたり、噛みちぎられてあとかたもなくなっていた。


 ここへ来たことは正解だったらしい。

 少しでも遅かったらゴキブリ達はコロニーに侵入し、中にいるアリを皆殺しにしていただろう。

 運が良いのか悪いのか兵士団は援軍を出していた。

 その援軍が今、到着した。


 そして、

 俺とゴキブリとの本当の戦いが始まった。




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