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アリの世界で女王ライフ  作者: 小田鶏助
[一章] 俺、アリになる。
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チート無双とは

俺のチート無双は始まったのだ。


前にいる敵を次々となぎ倒していく。

顎の力も桁外れのスペックで一気に五匹のアリを噛み殺せそうだ。

敵の力を考えると、この並外れた顎だけで十分だ。

数十匹か百匹くらいの群れはほとんど動かなくなっていた。


俺は、まだアリについて良く知らない。

最強のアリ戦士として生まれてきたが、それについては何も解らないのだ。


俺は、奥で見守っていたツチアリの女王に話しかけた。


「おい!何故ほかのアリを襲う必要がある!

自分達は自分達で餌を取って生きてればいいだろ!」


ついさっきまで戦闘を繰り広げていた俺は、

興奮気味に話していた。


それとは反対に、女王は

「あんなに強いのにそんなことも解らないのね。

私達は、あなた達を奴隷にするつもりだったのよ。

いずれかは、私の子供を何も解らないあなた達に育てさせて、そして乗っ取るのよ。

けど、それをあなたが邪魔したのよ。」


と上から言い放った。

また、その口調には女王としてのプライドと

計画失敗への悔しさが表れていた。


俺は、それが自然界の常識なのだと理解しつつ行き場を失った怒りが心の中を渦を巻いていた。


それが現実なんだ。

だけど、許せなかった。

自分達の利益や欲望のために、他人アリを巻き込んで。

そんなの当たり前であってはいない。

綺麗事かもしれないが、俺は戦う。

俺の理想とコロニーを守るために。


この時の俺は、もうアリになっていた。


「俺は、お前を倒す!お前らなんかに好きにはさせない!」


すると、女王の他に少し大きいアリ達が現れた。

まだ生きているヤツがいたようだ。

さすがに、自分一人になるほど馬鹿じゃないようだ。


兵士アリ達は、一斉に襲いかかった。


その前に、俺は動き出していた。

しかし、女王の護衛ということもあり早い。


一人一人を倒していかなければ不利だ。

今までの敵は、弱かったから良かったが今回は格が違う。

さっきからの攻撃だけじゃ倒しきれないかもしれない。 

第一に、今までの攻撃は単体攻撃でしかない。


ここでは水の攻撃も使えない。


イメージだ。

アリの能力を最大限に引き上げられた。

それを生かす方法。

敵は、集団だ。そいつら皆を惑わす方法。


時間が無い。

複数の方向から、攻撃を受ける。

この鋼の体には大したダメージじゃないが。

敵が目の前を走り去り、その後がキラリと光った。


そうか!

このフェロモンを使おう。

フェロモンは、狩りに出る時に道標みちしるべとしている。

これは、独特な匂いで道標になるがそれを使えば相手の触覚を惑わすことができる。


フェロモンの分泌を最大限に引き上げる。

しばらく時間がかかる。

イメージだ。

フェロモンは蟻酸とも言われる。

成分を変えていく。

それが、相手を倒すための成分に。

よし!


俺は、そのまま走り続ける。

敵のアリ達は不思議がっているが、殺気は十分だ。


辺り一面を強烈な匂いで覆われた。

また、頭を刺激する痛みを伴った。


もちろん俺は何とも無いが、敵のアリ達は苦しみの中もがいていた。


相手に大きな隙ができた。

いまが、チャンスだ。

弱っている相手を次々と噛みちぎっていく。


ついに、女王は一人になった。


「早く私を殺しなさい!悪者は嫌いなのよね?それなら今すぐ殺しなさいよ!

私はもう何も出来ない。あなたのせいよ!」


「ああ、お望み通り殺してやる!」


その瞬間、女王は真っ二つになった。

女王でも死に逝く最後は儚かった。


そして美しかった。

利益や欲望にまみれたのではなく、女王として生き抜いてきたという力強さがあった。

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