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アリの世界で女王ライフ  作者: 小田鶏助
[一章] 俺、アリになる。
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巨人襲来

 言われた通り俺は、仕事に付いた。今日は、狩りはないという。

そこには、あと4人いや、4匹の兵士がいた。みんな、アゴが大きく、強そうだ。

やはり、用心棒は体格のでかいアリがやるのだろか。

 ただ、外敵から巣(コロニ一)を守ることが唯一の仕事だ。

 神様に与えられたものの使えるか解らないこの能力を使うことになるだろうか?


 しばらくそんなことを考えていた。何故なら用心棒と言っても何も起こらなければ何もしないからただただ暇なのだ。

こんなに考えれば、思考なんてすぐに尽き、ただぼーっとしている事しか出来なかった。果たして、他のアリ達はなにを考えてるのだろうか。



そして、お昼前だろうか。兵士たちが昼食を食べに行こうとした時だった。


 恐ろしい顔をした巨人が夜を運んだ。

それは、紛れもなく人間。アリになってから初めて見た迫力は半端ではなく、いくら子供だとしても恐ろしい以外何も考えられなかった。


 兵士たちは、逃げていった。無理もない。あれだけの恐怖に耐えられる訳が無い。



「人間だ~逃げろ~早く!」


という声と鐘のような音が騒がしくわめき立てた。

こんな感じで避難を行っていたのか。初めてその現実を知った。


俺は初めて人間が、恐ろしく感じた。

また、人間がどれだけ愚かなのかアリ側に立って身を持って実感している。

 

 俺は、与えられた能力を信じてその場所を動かなかった。

と言うが、恐怖感で足が動かなかったというのが正解だろう。それに能力の事があるから少しは余裕があったのかもしれない。


 巨人がこちらへ手を伸ばす!

 “ヤバイ”

それだけだった。

それ以上でも以下でもなくただ命の危険を感じた。


巨人の伸ばした手は俺をピンポイントで狙い大きく開かれ。人差し指と親指で俺は呆気なく掴まれた。


子供の弱いはずの握力が俺の身体中を締め付け今にも息が止まってもおかしくない。


 案の定巨人に捕まり何処かへ連れて行かれた。


 その先は、バケツの奥まで入った水だった。子供の頃こんな事をやっていた事を酷く後悔した。まさかアリ達がこんな恐怖を味わっているとは思ってもいなかった。


 仲間の声と悲鳴が聞こえる。

 幸運なのか、水には耐性がある。

 やっと、能力を使えることに喜びそうになったほどだ。


 そして、その手はバケツの中へ入れられた。



雪が残る公園の中で俺は子供にバケツに入れられ遊ばれている。


冷たいものに耐性があるからか冬の冷たい水に入れられている筈なのにかじかんだ指の様に無反応だった。


 巨人は、嬉しそうに俺に向かって指を差している。


 バケツが揺れる。

 水が外に、チャプン、チャプンとはじき出される。

 “これは、まずい!元人間の俺が推測すれば、この水を巣に流して水没させようとしているんだ!”


 目をぐっと瞑る

 神様と女神様との時間を思い出す。もっと役に立つ能力にすれば良かった。後悔だけが残る。

たとえ俺は生きていても肝心の巣を無くせばアリ生終わったも同然だ。否、早すぎるだろ。


 とその時、女神様の甘い声が聞こえた。

本気(マジ)天使女神様!


 “神様が勝手に転生させちゃたから能力そのままだよね?ピン、と来てなかったから、おまけしてあ~げる☆ちなみに、神様一発OKしてくれたよ!”

また、神様甘いだろ、という考えは忘れ、感謝した。

これで新たなアリライフを送れる。


 パッと目をあけ覚悟を決めた瞬間、同時に水が大きく波を打った。


 体が逆さまになる。


 ぐっと体に力を入れた。


 そして、体は水をまとった。


 死なせたくない、という強い思いで水をはじいた。

水を弾くなんて感覚は初めてだが、弾くという表現が一番しっくりくる。


 すると、水は違う方向に流れて行った。

バケツは力を失いゴンッと冬の凍った地面に叩きつけられた。


 アリの巣を沈める計画に失敗した巨人は、泣き声を上げ仲間の元へ帰っていった。


 そのまま、放り出された俺は、水に濡れていなかった。アリだからだ。

 トボトボ、太陽に焼かれながら6本脚で歩いた。

そういえば、あれだけ高い高さから落ちても何ともないのはアリだからだろうか。


 コロニ一に帰ると祝福がまっていた。どうやらアリの噂は、早いようだ。

 アリ達が貯めていたご馳走を味わった。


 ここへきて始めての食事だった。


ご馳走のメニューはこんな感じだ


 アブラムシの甘露

 トビムシの蒸し焼き

 ササラダニのソテー

 などなど


 思った以上に美味しかった。


 俺は、約束をしていた。先輩の元へ向かった。

 先輩は、


「一仕事したようだな。」


 と一言言っただけでそれ以上は、話さなかった。


「で、なんでなのですか?」


と俺は気にせず話しかけた。


 先輩は、それはと言って話し始めた。

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