俺、アリを知る。
俺は、名も無いアリ。
種別で言えば、クロオオアリ。極一般な、種である。そこでは俺は、メジャーワカー(大きな働きアリ)なのである。
実際、この体になってみると案外いいものかもしれない。
少し黒光りする体に強靭な顎重い物を持て。
でも…一応…メスなのである。それだけが、気掛かりだった。
(作者から…本来メスである主人公やその他の登場人物もオスまたは、オスのような発言、行動をすることがあります。主人公も男なので、ご了承ください。)
「今日は、休め。明日働こう。 そして、ここがあんたのコロニ一(アリの巣、部屋)だ。それじゃ、また。」
先輩?が案内してくれた。
新人に対する対応がこんな雑で良いのか疑問にも思ったが考える時間はなかった。
「おっ新入りさんだよ、可愛いがってあげなさい!」
俺はたくさんのアリのいる中に放り込まれた。
おおよそベテランであろうアリ達は大きな体の新人を物珍しそうに取り囲んだ。
「仕事の仕方とか、聞きたいこととかあったら聞いてね、」
『そうよ!私達に知らない事はないからね!』
[早く仕事覚えてどんどん働いてもらわなくっちゃ!]
などと同じ姿のアリが、口々に言った。
結局頼んでもいないのに仕事の仕方の熱弁が始まった。
みんな同じようだから迷惑である。
卵を育てるときは優しく包み込む様にだとか、幼虫の餌やりにはあげる量を気を付けろだとか、いいや餌はいっぱいあげれば良いだとか雪崩の様に情報が耳な流れ込んで来た。
そして、全員からしばらく仕事の仕方を叩き込まれた。
大体同じような事を何度もきかされるので飽きるというか聞きいているのが辛かった。
しばらく話しているうちに自分はどれだけの幼虫を育てたとか、私の教えた娘が上級兵になったとか最後のほうのほとんどは自慢話だった。
またそれも何度も続いた。
ろくにアリをみていなかったからか、それともアリがみんな同じ姿ななだけなのかアリは全員コピーのようだ。
やっと、一人になれた。
“よく考えると、クマムシ並みのスペックをもらってもどうやって生かしていけるのか全く解らない。
何にでも耐えられるとはいえ、何が、使える訳でもない。
アリの世界じゃ、メスだし。
仕事も大変だし。
ただ兵隊アリだったことが唯一の救いだ。”
そんな事を考えているうちに、その疲れから
気付かずに寝ていた。
アリは寝るわけでは無いから正解に言うと意識を失っていたようだ。
翌朝、周りの騒がしさに起きた。
こんな朝から仕事が始まるのか。アリは働き者というイメージもある。
やっていけるのだろうか?
コロニ一を見回っていると、働き始めているアリとは反対に、全く働かないアリもいた。
アリには働かないアリが一部居ると少し聞いたことがあるがこのことは、後で先輩に聞くとしよう。
さてどんな、仕事が待っているのだろうか……
「おい、お前!仕事だ、良かったな!兵士だ狩りとか、の手伝いもあるぞ!」
俺はてっきり、兵隊アリは何もしないで、巣の所にいるだけだと思っていたが、違うようだ。
歩きながら、先輩に聞いた。
「なんで働かない奴らがいるんですか?働いた方が良くないですか?」
悩みながら、先輩は
「それは、後で話そう。今夜うちのコロニ一で話すよ。少し長くなるかもね。」
疑問が残ったまま俺は、仕事に向かった。
つづく
多少強引な、設定になるかも知れませんが、お付き合いください!
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