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アリの世界で女王ライフ  作者: 小田鶏助
俺、女王になる。
16/31

ドラゴン達に囲まれて。

 私はある国の女王である。


 その国の住は私が生まれた瞬間に誕生をあ。

 そのうえパーティーが催され、住人達は喜びにふけっていた。


 その時は何が起こっているのか全くわからなかったが今なら分かる事がいくつかある。


 私が目を開け、この世界を感じようとした瞬間だった。

 目の前には大きな影があり、私の思考を妨げた。

 数秒した頃だろうか、その影は何かを思い立ち何処かへ走り去った。


 私は自分の体を見渡すと黒光りした体に大きな白い翼が生えており、一瞬 黒龍ブラックドラゴンが何かに生まれ変わったのかともおもったが、よく見てみるとブラックドラゴンの特徴である長い尾はなく代わりに六本の足がついていた。

 此の手の生物はこの私でも見たことがなかった。

 一度分厚い図鑑何かも一通り読んだことは有るがこんな生き物は似た者すら居なかった。


 まあ其れも追々分かるだろう。


 先程まで私の傍についていたであろう、この国の住人は何人かの仲間を引き連れてこちらに向かってきた。

 ふと疑問に思ったのだか、私にある羽は彼等にはなかった。特別感があって良いが。

 彼らは、私を見るや否や喜んでどんどんと取り巻きを呼んできた。  


「女王様のご誕生だぞ!戴冠式の準備をしてくれ、今日の仕事は休みだ!みんなにつたえて~」


 と取り巻きの一人が部屋中に響き渡る声で周りに投げ掛けた。


 内心では自分自身の喜びの方が強かった。

 何てったてこの私が女王様何て信じられない!

 いつもだったらすぐにでも飛び上がっていたわ。

 そもそもドラゴン達に女王様が居たかなんかわからないけどこの種族は頭が良いのね、


 取り巻き達が急に散らばり始めたので何が起こっているのだろうと不思議に思い、視線を遠くへ向けるとそこには私と同じ姿をしたブラックドラゴンがいた。

「貴女が私の娘であり、新しい女王様ですね。貴女の誕生を私達は首を長くして待って居ましたよ。」


 どうやらドラゴンは私の母であり、この国の女王様のようだ。

 取り巻き達の様子を見ていると、この女王様がどれだけ慕われているのかが分かる。


 この頃には目もぱっちりと開き、朦朧としていた意識もはっきりとしていた。


 まさか私が女王様だなんて……

 さっきからの反応をみていておおよそ察しはついていたが、その喜びは計り知れなかった。


 まさか、目を覚ましたらブラックドラゴンらしき生き物に生まれ変わっていてさらには女王様とあがめられるなんて思っても見なかった。


 私の想像では、訳もわからない異世界に飛ばされて、一文無しで放浪して、

 みたいな感じだと思っていた。


 しかし、女王様の次の発言に私は耳を疑った。


「よし、みんなこの子の旅の準備を進めてちょうだい!今日じゃなくて良いわ、近々出来るようにしてちょうだい!」


 ちょっと待って……

 私、旅に出るの……


 何で、女王様が旅なんかに出なくちゃならないのよ!

 普通女王様は何不自由なく優雅な暮らしをするものでしょうよ!



 私は冷静に考えてみた。

 最悪の場合として放浪者になると想像していたが、あながち間違っていないのである。

 そして、ここは私の思っている普通ではないのである。

 まず、私の知らない生き物だったし、この世界ごと知らないかも知れない。


 そんな事をぼんやりと考えているうちに取り巻き達が私の体を引っ張り"たいかんしき"? とやらに連れていこうとしていた。


 元居た部屋から連れ出された先はとても広い広場のような所だった。

 そして、そこには見たこともないような 食べ物?がならんでいた。

 並んでいるのは到底食べ物にはならない様なものだった。

 スカラブビートルやグラスホッパー、極め付きにはスティングバグ、カクッロウチに似た生き物達なのだ。


 食べないどころか触ることさえ絶対にしたくなかったわたしにとってまさに地獄絵図だった。


 そうして戴冠式が始まった。


 ドラゴン達が当たり前のように ご馳走?を食べていることを信じたくはなかったが、そうでは駄目なようだ。


 そんな種族の割には立派な式典だった。


 女王様が羽を折った時には心臓が停まりそうになったけどね。


 私は式の合間を見計らって気になっていた一人に声を掛けることにした。


「あの……なぜみんなんでよろこんでいるんですか。あと、なんであなたはよろこんでないんですか?」


 手探りのためにわからない振りでもしてみた。


「皆さん貴女が生まれたことを祝っているのですよ。貴女はこのコロニーくにの女王様なんですよ。私も嬉しく思っています。ただ少し考え事をしていただけです。」


 と彼女は答えた。

 確かに式の間中ずっと明後日の方向を見つめていたのをみれば、誰でも彼女が重く何かを考えていること位分かるだろう。

 少しという言葉には嘘が見えた、


 そんな彼女をちょっと脅かしてやろうかしら、だって旅立つ私には関係のないことだもの。


「そうなのね♪みなさんおんなじかおしているのにあなただけちょっとちがうきがしてきになっていたけどみんなとかわらないみたいでよかったわ。」


 明らかに彼女が醸し出しているオーラのようなものは他のドラゴン達とは違っていた。


 まあこのくらいにしておきましょう。

 これ以上言うと彼女に悪いですからね。


 私は用意されていた自分の席へと戻った。


短く切りました。

もう一話続きます。

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