俺、歩み始める。
コロニーに戻り俺はやっとのことをで六匹での面会を果した。
そして、アリ世界で新たな一歩を踏み出した。
__新女王誕生まで残り一週間__
女王の観察をしていたかったが、上級兵士になり、兵士隊を結成したことによりしばらくはそっちの仕事を優先する事になった。
まずアリ達を組織化することが最優先である。
これからのことを考えるとそれが第一だ。
前回の戦いによって多くの死者が出たらしく、ギハールによれば今までの半分程度の数しかいないらしい。
その方が良いこともある。
前向きに捉えていくしかない。
兵士達を集め結団式を行った。
「これより私達は新たな兵士団を結成し、私達のコロニーを守り抜くことをここに誓う!」
俺はそう宣誓し、集まった兵士達は一斉に沸き上がった。
これから先の心配はあまりする必要もないようだ。
ギハールが元兵士団の参謀の経験を生かし団の主な指揮を執り、グレーテルとサントスはその戦闘技術を生かし下級兵士、中級兵士の育成にまわった。
またグレーテルは実戦経験の多さからギハールの補佐も担当した。
後の二人は戦闘時のの指揮や兵士育成の手伝いなどを行う。
そして俺は、全ての責任者であり兵士団の梶を握り方向を示す司令塔なのである。
ギハールやグレーテル、サントスなどが挨拶を述べ今後の方針を示し集会は終わった。
アリ世界に来てその能力で兵士団のトップに立ったのだ。
今まで指示を聞き従うだけだった俺が指示を出す立場になったのだ。
アリは人間のように自分の欲望に負けず団体として忠実にまとまる力を持っている。
だからこそ女王が死んだときこの世界が崩壊することも良くわかっていた。
翌日から忙しくなった。
この間のような襲撃に備えた警備に加えて若い兵士達の育成を行った。
それだけでなくこれからの方針や襲撃された時の配置などを空いた時間で決めなければならず大忙しだった。
一日があっという間に過ぎていった。働いていないアリ達が羨ましいばかりだ。
慌ただしく兵士団結成一日目は幕を閉じた。
疲れのせいか背中辺りが痛かった。
そのまた翌日も同じように忙しかった。
兵士団の仲間達ともゆっくり話している時間もない程だった。
定期的に小規模な集会を開き様々な報告を行うことにした。
兵士達の育成状況や幼虫の成長具合など兵士団やアリ組織全体の把握のために行わなければならない。
グレーテルとサントスの言うことには兵士達の成長は著しくもうすぐ次の段階へ進めるとのことだ。
アリの寿命は一二年である。
そのため兵士達の成長のスピードもとても早く後一週間もあればしっかりと組織化を図れるだろう。
また一日が光のように消えていった。
兵士団長になった俺は、女王と面会を行うことになった。
実際一度も会ったことがなく一度だけでも話したかったところだった。
俺はグレーテルと共に女王の居る間へ向かった。
他の部屋とは明らかに大きさや頑丈さが見ただけでわかるほど違っていた。
また案の定女王は如何にも死に時が近いというように不釣り合いな歩様でこちらへ歩みよった。
「おう。あなたが新しい兵士団の団長なのですね。活躍は聞いていますよ。私の未来もあなたに託すわ。」
女王は自分の置かれている状況をしっかりとわかっていた。
「あなた、わかっているのよね。私がもうじき死ぬこともこのコロニーももうすぐってことを。
知っているのよね。だから__」
女王もわかっていた。
「はい、もちろん。これからのことや新しい女王様のことは私達にお任せください!」
辺りにしばらくの沈黙が流れ
女王は静かに頷いた。