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アリの世界で女王ライフ  作者: 小田鶏助
[一章] 俺、アリになる。
10/31

第一次黒光り大戦

 騒がしくなった入りへ向かった俺の目には、想像を絶するほど無惨な景色が広がっていた。

 そこには、大きな黒光りした塊が強くたたずんでいた。

 それは、紛れもなく()()()()だった。


「ねえ!そこのゴキブリ、あなた達の目的何なの?」


 生き残りっていたらしいアリの兵士団の団長が言いはなった。

 もちろん、兵士団長の団長も(メス)である。


「俺達の目的だって?そんなの決まっているじゃないか。殺された仲間達のためにお前らを全員殺しに来た。」


 ゴキブリのリーダーは慌てることなく言った。


 またその茶色い体は、入り口からの僅かな光で光沢を増していた。


 俺は、()()()()という言葉が引っ掛かったがそれと似たようなことをしていたことは確かだ。

 しかし、それがこの世界で普通だということもわかっていた。

 ゴキブリ達は、恨みを抱いているがここは弱い者は強い者の食糧となる弱肉強食の世界なのだ。


 だからこそ、戦わなくてはならない。

 負ければ()勝てば()

 アリの種の存続と俺のアリ生の行く末を決める戦いなのである。

「みんな!行くわよ!」


 と団長は号令をかけた。


 それに応じて兵士アリ達は奮起し、団塊になり襲いかかった。

 アリは兵士団としてはまとまっているもののその戦い方はプランがなく、不完全である。

 兵士団長も自分のことで一杯になり的確な指示など出せていなかった。


 当然、それは無謀だった。

 ただでさえ敵は、あの神速を持つ()()()()である。



 無防備で突き進んだアリ達は、ゴキブリの速さに成す術もなく倒れ込んだ。

 それでも戦おうとするアリ達も辺りを見渡すだけしかできず、触覚を抜かれ殺された。

 触覚は昆虫にとって最大の弱点であり抜き取られてしまうと、水平感覚がなくなりやがて動けなくなる。


ただ恐ろしい。ツチアリの時とは違い、人間でさえも恐るゴキブリにこの小さな体で戦うなんて無謀なのだ。次々とアリ達が殺されていく。


ヤバいこのままだとゴキブリに気づかれて触角を抜かれて__

考えるだけで脚がすくんでしまう。

何とかしなければならない。それでも、俺一人で出来ることなどたかが知れてる。


しかし、そんな呑気な考え事はできない状況になってしまった。


音もなく、暗闇の中から突如、まるで瞬間移動でもしてるかのような速さで目の前にそいつはいた。


まさかゴキブリに殺されるとなんて思ってもいなかった。と言うよりもゴキブリに殺されて死んだなんで格好がつかない。


「やめろぉ!」


この食われる者と食らう者その間に入ったのは__


「先輩!」


もう遅かった。どうにしても無理だったのかもしれないが、ゴキブリ相手にスピードと瞬発力で勝てるわけがないのだ。これが自然の不条理とでも言うのだろうか。


死とはこんなにも簡単に訪れるものなのだろうか。訪れていいものなのだろうか。


このままじゃ俺も殺される。命を掛けて先輩は俺を救ってくれたんだ。どれだけの勇気だっただろうか。俺はこのことから逃げてはいけない。絶対に先輩の敵は討つ。そして、俺はもう迷わない。この世界じゃ迷ったら負けだ。


 ”いつまでも、見ているわけにはいかない。

 これ以上死ぬアリ達がでないように勝たなければならない"


そして俺は、戦う決意を決めた。

盤面としては最悪なものだった。味方はほぼ壊滅状態。まともに戦える兵士は数少ない。


 俺はかろうじて生きている五匹のアリ達と戦うことにした。

 一匹は体つきの良い若い下級兵士、その動きからは若さが見える。  


 兵士団長のそばにいた参謀の中級兵士、団長の参謀だけあり相当な実力者だろう。


 いかにも弱そうな小さな下級兵士、こいつに関しては何故ここに居るかさえも分からない。


 体つきだけではない強いオーラを放つ中級兵士、実践経験が豊富なのだろう動きが良い。


 無駄のない構えをしているベテラン上級兵士、今回の主力になるだろう。


 こちらには実力者が三匹いる。

 しかし忘れてはならないのは敵がゴキブリであることだ。

 それも五匹。

 俺が人間だったとしても腰が引けてしだろう。


 こちらは六匹だ。

 数的優位だということは何の足しにもならない。


 とりあえず勝つための方法を編み出さなければならない。


 俺は、水を扱えるがそれは雨が降らない限り役に立たないだろう。

 速さで言えば向こうの方が数十倍程勝っている。

 あの殺虫剤に負けない強さがある体には、俺の毒も歯が立たない。

 まともに戦えば負ける。

 だから__


「おい!そこにいる兵士諸君。俺達(わたしたち)は絶対に勝ってここにいるアリ達を守る!そのために今から(わたし)の言うことを聞いてくれ!」


 五匹のアリ達はわかったというようにコクリと頷いた。


「まず、二人(にひき)は入り口の端をふさいでくれ。五匹を一度に倒すことは出来ない。

 敵に大きなダメージを与えたなければならない。

 だから、最初に狙うのはリーダーだ。一匹は、残りのゴキブリ達を引き止めてくれ。

 そして、(わたし)と二匹の三匹でリーダーを狙う。」


 若い下級兵士の二人を入り口の端に配置し、参謀の中級兵士にゴキブリ達の防衛に回らせた。できるだけ早くしなければ押し込まれて終わってしまう。


 ゴキブリ達は、脂ぎった恐ろしい体とそ触覚を輝かせていた。何故だかとても自慢げにしている。


 全員が配置についたところで戦闘開始だ。


 俺は、思い切り走る茶黒い体目掛けて。先手必勝。迷いなく俺は飛び掛かる。


「命をなんだと思っている!お前みたいなやつに渡す命などない!仇だ!」


 ゴキブリは、動揺して動き始めが遅れた。


 そして俺は、高濃度の殺虫成分の毒を噴射した。これは蟻酸を応用したものである。また、この身体的な能力が高い分小細工ができるようだ。


 液体の毒は狙いを定めて茶黒い巨体へ染み込んだ。


 ゴキブリはそんなことでは、倒れない。流石の生命力である。人間が日々開発を続けそしてまた強くなるゴキブリは伊達じゃない。


 中級兵士と上級者兵士達も応戦する。


「あいつの触角を狙うんだ!とにかくこっちに引き付ける。隙があれば、狙え。」


 ゴキブリの動きを複眼で読み取って行く。虫の弱点はなんと言っても触角だ。そうじゃなければ勝てない。


「仇だ!絶対に許さない!」


 一瞬、ゴキブリをは兵士達の方へ気が向いた。または、毒が回って動きが鈍ったのだろう。

 その一瞬を俺は見逃さなかった。怒りの感情を全力でぶつける。行き場のない悔しさはこうでもなければ解決出来ないだろう。


 俺の力は顎に力が集中し、片足を噛みちぎった。これでゴキブリの命でもあるスピードを抑えられる。これで大分有利に進められる。


 そして、ゴキブリはうろたえ、崩れかけた。それでもゴキブリは復讐を止めなかった。やはり、ゴキブリの生命力は侮ってはいけないようだ。


 辺りを縦横無尽に駆け回りアリ達を攻撃した。


 ”脚を一本失い動きが遅くなったゴキブリは、無力となる。殺虫剤で動きの鈍ったゴキブリは人間格好の獲物となる"


「今だ!留め刺せ、敵は弱っている!」


 その掛け声と伴に二匹の兵士達は飛び上がり、ゴキブリの両触角を切断した。

これで勝ったも同然だ。


それでもまだ息を引き取ってはいなかった。恐るべしゴキブリ。

その生命力と雑食である残虐さはどの虫よりも妬ましいものだ。


「死ね!これで終わるんだ!」


俺は、留めの一突きを胴体へぶちこんだ。妥協したら負けだ。迷ってはいけない。

そんな世界なのだ。

この世界で生きるとはこういうことなのだ。


直後はピクリと動いていたが、しばらくして死体となった。

やっとだった。なんど致命傷レベルの攻撃をしたことだろうか。仇は果たせた。

先輩の勇姿はこの世界で生きる上での大きなものとなった。悲しんではいけない。負けてはいけないのだ。


 "これで勝ったのだ”


 そう思う心の中が安堵で一杯になった。


 リーダーを失ったゴキブリ達は自分達の正義を忘れて恐怖から逃げていった。


 そしてこの戦いは幕を閉じたのだった。

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