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突然ですが、藤澤ハル17歳、透明人間になっちゃいました!!



どうしてそうなった??いやいや、私にわかるはずないじゃないですか~

しかし、大事なのは今までより、これからなのですよ奥さん!!


透明人間、それは誰しも一度は妄想する願望!


小学校で将来の夢史上、お金持ち、魔法使いの次くらいにはランクインしている人気職業(?)

その非現実的ともいえる野望もとい願望が叶っちゃったからには、全力で遊び倒さねばなるまい!


ここで遊ばねば女が廃ると言うものだ!


してここで透明人間の定義としてなのだけれども。


透明なのは大前提。


しかし、物を持てるか否か。

これによってできることが変わってくる。


持つことができれば、夢は一気に広がる。

ムカつく友人の私物を隠すことも、書店で邪魔をしてくる店員に気兼ねなく、本を立ち読みすることも可能...!


え、夢がショボい?

バカ言いなさい、実際透明人間になろうと叶えられることは些細なことだ。

精々、透明であることをいかせる行動なんて、覗きとスト―キングくらいなものだ。


まあ、腹立たしい友人をスト―キングして、弱味を握るのもこの際アリだとは思うが。

覗きは、その、異性の着替えや風呂を覗くのが一般的なのだろうが、ちょっと恥ずかしいし?純粋な乙女としては顔を真っ赤にしてガン見してしまう事は少々絵ヅラてきに問題があるかもしれないし?


無色透明なのに真っ赤とはこりゃいかに?


冷静になると案外突っ込みどころ満載の言い訳をしていた気がしなくもない。


それはともかく、だ。


そう、今までの議題は物を持てるか否かと言うことだった。


そしてその答えは...


否!!


No――!!盛大に無限に広がり続けていた夢がだいぶ縮小された!!?


そう、自室にて、放置されていたコップを、もうそれは胸をドキドキとならしながら持ち上げようとしたのだ。


だがしかしっ!!


触れることは可能でも、物体そのものを移動させることはな叶わなかった!!!


...無念。



まあいい、気をとりなおそう。


我が自室にて、物を自分の力で移動させることが叶わないことは判明したが物に触れることは可能だと言うこともまた判明したわけだ。さい先は悪くない、ああ十分だとも。


そして触れないとわかった今、次に確かめねばならない事がある。


それは...


物をすり抜けられるか、だ!!


いや、透明なんだし?


物体移動させることが叶わないんだから、それくらいの特典はありっしょ?


...というか、通り抜け出来ないと、扉が無情にも閉ざされた今、この自室から抜けだすことも叶わないのですよ。


というわけで、いざ、キングクロスえk、ゲフンゲフン、いざ我が自室の扉へ我が身を捧げんっ


ダ―イブ!!!



―――シュッ



あ、ただいま、午後4時20分ジャスト、通り抜け完了。

身体に異常なし。強いて言うならジェットコ―スタ―に乗ったときのように背中がヒュンとなった模様。


あのゾワゾワ感たまらん...悪い意味で。



あれさ―、ビルから落ちる夢とか、自転車から転げ落ちる夢とか、自動車に吹っ飛ばされる夢とか、ろくでもない夢ばっかああいう感覚に襲われんのよね?


あの感覚が病み付きになる人間が絶叫マシーンに膨大な金と時間を注いでいくのだろうね。

同じ人間とは思えないよカ―チャン。


それはともかく。



わたしは自由だ!!


ようやく真の自由が訪れたのだよ!

お魚くわえた野良猫もビックリの解放感だね!!



そんな誰にも見られることなく自由の舞を踊り暴れる私なのですがっ



やっと本題に入ることができる!

やっと、やっと人類万人涙ぐましい努力の元にも叶わなかった透明人間による私のための大冒険が今ここに始まるのだ!



さーて、どうしよう?


現在午後4時25分


あ、5分も踊り狂ってたのね。


それはさておき

我が自宅にはネズミ一匹いやしないっ!!?


なんだこの脅かしがいのないマイファミリ―だ...!!


つまらん、つまらんぞおおおおおお


日がおちるまでにタイムリミットは近づいていると言うのに!

ふむ、いったいどこへ出掛けているというのか。


我が妹君と兄君は学舎だな、仕方なかろう。


親父どのは、また飲み会か?けしからんな。


カ―チャン様はパ―トでござろうか?そろそろお帰りの鐘が玄関から鳴り響くはずなのだが。



...ま、いっか。


このまま待ってるのも詰まんないし?


いざ、外界へゆかん!!





やって参りました。カラスが鳴くから皆でおうちに帰る時間に外出!!絶妙な背徳感っ

だがしかし透明である意味なしっ


は~いふざけてないでこれからどうしよっかな~


こういうときは自分の心に忠実になるのだ。

私が一番脅したいもとい驚かしたい人物を心に浮かべるのだ...それは...


ズバリ!


腹立たしいバカ友人!!



アイツさ―もうマジ腹立つの!

お隣さんに住んでるぅー俗にゆう―幼なじみっていうー関係なんだけどぉー(以下略)


要約すると、付き合いだけは長い、同学年の男の子です☆


ま、とにかくそいつが一々私をからかってきたり、殴ってきたり殴り返したり、踏んだり踏まれたりの踏んだり蹴ったりの関係なのですよ!


私より遅く生まれる予定だったくせに、いつの間にか私より先に生まれやがって、若干年上なのがまず腹立たしい。


いつの間にか身長差がでかくなってて見下ろされるのが腹立たしい。


にやついて頭を肘置きにしてくるのが、鬱陶しい。


隠れて泣いてるのにいつも追いかけてきて隣に座られるのが腹立たしい。


その他諸々...


と、いうわけで特にやること思い浮かばないんで、いざ、バカ幼なじみ君様をレッツストーキングしようと思いま―っす。


そもそもこの時間いつもアイツどこにいんの?


学舎か?いやだがしかし、アイツはサボり魔のバカな上に帰宅部だぞ?

ズバリ、突撃隣の夕御飯っ


というわけで、お邪魔しまーす。


ちゃんと玄関から入ったよ!

透明人間でも、そのくらいの礼儀はわきまえてるさ!あんまり意味無さそうだけどね!!


お、いいにおい。


リビングにはいって台所を覗くと、おば様が絶賛料理中でした。


おば様の料理美味しいんだよねぇ~

特に煮物と混ぜご飯が。


今日のメニュ―は?ふんふん、鮭のムニエルと若芽の味噌汁だね!超旨そう!

こんな食生活を毎日送れるアイツは本当に幸せものだなっ


お、玉ねぎとレタスのサラダも追加か?いいねぇ、夏にはピッタリの爽やかメニュ―だねっ!!


玉ねぎの薄切りうまいっすね、おばさん!!せっかく盗み見てるんで、その技、盗ませてもらいやっせ!


今時のひとは何でもスライサ―使うから良くないよ、非常によくない。

皮剥くのだってピュ―ラ―なんか使わないで包丁使いなさい、この軟弱ものぉ!!


いいか、道具は使うものだ!道具に使われるようではまだまだぁ!


...と、あらぶってるうちに玉ねぎも終焉へ向かっているようだね。


あれ、おばさん涙出てる。拭かなくて良いのかね?

ま、玉ねぎは強いからね、痛み分け痛み分け。


こういう時にサッとハンカチを差し出せる紳士になりたいものだね。

願わくばここのばか息子がそういう人間になってくれればいいものだ...


ま、そんなわけで本命であるバカ幼なじみ君様の元へ行こうではないか...あっ


足元に猫のみぃちゃん出現!相変わらずのふてぶてしさ。殿の風格が漂ってますな!!


みぃちゃんって安易な名前って思った?わたしも思った。

でもねこの名前つけたの私なんだ安易って思ったやつは私の前に順に並べ一発ずつお見舞いしてやる。


え、なんかみぃちゃん私ガン見して動かないのだけど?

透明人間って動物に効果なし??


マジで...

私は...私は完璧な透明人間ではなかったというのか!??


なんたることだ...


いたずら計画には支障は出ずとも、なけなしのプライドが傷つけられたぞっ恐るべしみぃちゃん!!!





はーい、ガン見のみぃちゃんを撒いて、バカ幼なじみ君のお部屋にとうちゃーく!!

部屋にはいるのは久方ぶりかと思いつつ、実はそうでもないので気兼ねなく入りま―す。


ものが持てればエロ本探して脅すのになぁ…残念だ。


では、いざ、おっ邪魔ー


―――シュッ


やあやあ元気?バカは治ったかい?おっさななじみくーん...て、あれ?


めっちゃ元気ない...


まるでこの世の闇を垣間見てしまったかのように暗いオ―ラを背負っている...だと!?


彼にいったい何があったのだねラァーメン。


え、マジでなに?知らない間にいじめられっ子にでもなったのか?こいつのオーラはどちらかというといじめっ子タイプ何だけどなー?


ベッドの端で体育座りって漫画かよ!ツッコミ待ちなの?ねえそうなの??


え―これ弱味になるかぁ?原因わかんないから弱味としてはまだ弱いよね。あれ?


...えっとぉ禿げます...励ますべきかね?


お―い、元気だけが取り柄のバカ様~ファイト~?


...あ、そもそも、声聞こえてねえやてへぺろ。


え―、じゃあ折角の透明人間な・の・で!!

それらしい励まし方を実行しようと思いますー



では、自作自演、ハゲマシノ舞っ!!


(相手を煽るような踊り数分)


――どうだ!?


「...風?」


お、起き上がったああああああ!!!


俯き死んだ魚の目をしくさっていた彼は起き上がったぞおおおおお!!!


そ・し・て


窓を確認したああああああああ!

しかし窓は空かず。疑問はつのっているようだあ!!


「...窓、閉まってるよな?」


声に出してか・く・に・ん!


どうやら私の舞が余程不可解なようだ!!



しか―し、彼は興味が失せたのか再び殻に閉じ籠ったあああああ!!!


...このスポ―ツ実況のテンション疲れんね。



ホントマジでどうしちゃったのさ、君ぃ~

なんか脅かそうと思って来たけど、冷めちゃったわー...


辛いの?痛いの?お姉さんに相談してごらん?


...そこ私が年下とか言わない。


は―、こんなバカ君久しぶりに見たよ。

あれだね、私がバカ君の大事にしてた宝物を壊しちゃって、その宝物が実は私の誕生日プレゼントだったとき並の凹みようですね。


あれは正直申し訳ねがった(方言風)


はぁ、今回の原因は何だね。


透明状態ではお悩み相談室開けないから、代わりに君がいつもしてくれた嫌がらせを君に返してあげようじゃないか。


君のベッドは存外狭いんだねぇ。


...よいしょっと。



さあ、しばらく隣にいてやるから、そんぶんにボコボコに凹みなさい。



...おい、何だテメェこらびくついてんだ、ああ?



「....は、る?」






...え?


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