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青春の続きは異世界で。  作者: 音風
第一章 竜人族の里
6/10

5 学校での青春?

今回はちょっと短いです。

どうぞお楽しみ下さい。


「人の手料理を食べるなんて久しぶりだなぁ・・・。」


舌鼓を打ちながら俺は、そう呟いた。

今、俺が食べているのはサラさんの手料理だ。なぜ俺がサラさんの手料理を食べているかというと、夕飯を食べていけと言われたからである。

それくらいなら断っても良かったのだが、なにせベルが家まで送った後に上目遣いで、


「夕飯食べて行かないの?」


なんて言うもんだからお兄さん断れなくなっちゃったんだよ。


・・・・・と、言うわけでサラさんの手料理を食べているわけであるが、運が良いのか悪いのか食材は前の世界と殆ど変わらなかった。

まぁ、なんで今の今までそんな疑問があったかというと、王国で引きこもり生活をして、料理を頼んで食べていたわけだから食材というものに触れることがなかった。昨日、マウリッツさんを助けたお礼で色々と貰ったがパンや串焼きなどの料理だったので、サラさんが料理をするまで気付かなかったというわけだ。

何はともあれ、料理に困る事がなさそうなので炊事も上手く出来そうだ。

ちなみに今日の夕飯は鍋だ。野菜がたっぷり入っていて、肉はやはりというか、魔物の肉でイノブブというイノシシのような魔物の肉だった。味はイノシシというよりも豚っぽい。とりあえずそういう経緯で鍋を突っついているというわけだ。


「カイト、肉とってー。」


「自分で取れよ。そうやって人を使うのは悪いことなんだぞー。あ、豆腐ってこの世界にもあるんだな。うめぇ、もう一個食おっと。」


豆腐を取ると、ベルは俺を睨んできた。


「わーったよ。ほら、皿貸せ、取ってあげるから。」


「ありがとー。あ、ベルも豆腐食べたい。」


「はいはい。」


俺はイノブブ肉と豆腐を皿に取ると、ベルに渡した。妙な視線を感じたので、ふと周りを見渡すと、サラさんは「こうしてみると家族が増えた気分ねぇ。」と言いながら微笑ましそうに見ていた。そしてもう一人、「無事仲良くなれたようでよかったわい。ガハハハハ!」と、ここに来てから毎日聞いている笑い声を発っしながら微笑ましそうに見てくる人が。


・・・・なんでここに居るんだよ長老。


「おじいちゃんはね、鍋とかするときに呼ばないと拗ねちゃうの。」


いい年して子供かジジィ!そしてベルは俺の心が読めるのかえぇ!?


「どうしたのカイト?」


「・・・・いや、長老が居てびっくりしただけだよ。」


俺がそう言うと、長老は「カイトが来る前から居たじゃろうが。」なんて言いながら拗ねた。だから子供かって!

そんなこんなで鍋も食い終わり、さすがにこれ以上長居するわけにもいかないので、お暇することにした。


「それじゃ、俺はそろそろ帰りますね。」


そう言って玄関へ向かった。サラさんとベルに、「泊まればいいのに。」と言われたが、女性だけの家に泊まるのはどうも気が引けるので断った。


家を出た俺は、自宅へと向かった。ここから自宅までは10分ちょっとくらいで、意外と近い距離にある。ここと自宅は、商店街を挟んで両端にあるので、俺は商店街に差し掛かった。商店街はもう夜になり、店は閉まっていた。

道を歩いていると、向こうからがっしりとした体型の強面の男が歩いてきた。すると、俺の近くで止まった。


「・・・・ほう、素質はあるが訓練不足だな。」


止まって早々、俺にそう言ってきた。


「どちら様ですか?」


とりあえず訪ねてみた。


「あぁ、すまん。ディアスで戦闘訓練指導員をしているミリオスだ。戦闘の素質のある奴を育てるのが好きで、どうもそういったものに反応しやすくてな。」


「ディアスの先生でしたか!今日から通うことになったカイトです。よろしくお願いします。」


「なんだ、お前ディアスの生徒だったのか。俺の楽しみが増えたってもんだ。よろしくな。俺は今から外界で魔物を適当に狩ってくるんだが、お前もどうだ?」


・・・・戦闘はしたいけど、今日はとりあえずヘトヘトなんだよな。


そう思った俺は拒否することにした。


「すいません。今日は疲れているのでまた今度ご一緒させて下さい。」


「おう、じゃあな。」


そう言うと、ミリオスは走っていった。俺はミリオスを見送った後、自宅へ向かった。

自宅に着くと、風呂に入ってすぐに寝た。今日は流石にクタクタだった。なれない戦闘で疲労困憊だ。


ドスンッ


俺はすぐさまベッドにダイブ。今日は鈍い音は聞こえない。角が刺さらないようにちゃんと仰向けでダイブしたからだ。

そして、寝返りをうつこともなく眠りについた。



「・・・・・きてー。」


「・・・・おきてー。」


「カイト、おきてー!」


「ふあぁい!」


誰かに起こされるのは初めてだったので、驚いて変な声で返事をしてしまった。寝ぼけ眼で声のする方を見ると、そこには白金色の髪をした美少女が・・・・ってベルか。


「・・・・てか、なんでいるんだ?」


「お母さんが呼んで来いって。朝ごはんどうせ無いだろうから作りに来たんだって。私も一緒に学校行こうと思ってついて来たの。」


「おぉ、そりゃ助かる。」


ベットから身体を起こし、ベルと一緒に下へ降りた。

下に降りると、キッチンにサラさんが立っていて、テーブルには朝食のパンと野菜のサラダなどが並べられていた。


「おはようカイト、朝食用意しておいてあげたわよ。家から色々持ってきてあげたから当分はこれを使いなさい。」


「おはようございますサラさん。何から何まですみません、でも何でそこまで?」


俺がそう尋ねると、サラさんは近寄ってきて耳に顔を近づけてきた。


「これからもベルと仲良くしてね。」


とささやかれた。

俺は『勿論です。』と返すと、サラさんはニコニコしながら椅子に座ったので、俺も椅子に座り、朝食を食べた。

朝食を食べ終え、身支度を整えた後、ベルと学校へ向かった。


学校に着き、教室に入ると、体格が良すぎるくらいのムキムキ竜人族が俺の方に向かってきた。


・・・・何と竜のハーフなんだろうな。


俺はそう考えていると、向こうから『ちょっといいか?』と催促されたので、教室の外に出た。


「悪いな、昨日ボルドラ達ぶっ飛ばしたところ見てたんだよ。盗み見るわけじゃなかったんだが、壁が崩れるような音がしたもんでさ。でだ、単刀直入に聞くがお前は何者なんだ?あの馬鹿げた力なんか親父くらいしか見たことねぇよ。」


「あぁ、見てたのか。『・・・てことはあのセリフも聞かれてたのか?マジで死にてぇ。』まぁ、見ての通りただの竜人間さ。竜と人間のハーフ。」


「なんだって!?お前人間の血が流れてんのか!・・・・まぁ別に俺は人間に何かされたわけじゃねぇからな、特に気にはしないが気をつけろよ。人間の血が流れてるってだけで酷い扱いする奴らがいるからな。クレッチから来た奴らが何か騒いでたな、まぁ何かあれば俺も協力するさ。強い奴は嫌いじゃないからな、俺はレヴォルトだ。」


「あ、あぁ。俺はカイト、まぁよろしくついでに頼まれてくれないか?」


「いいぜ、なんでも言ってみな。あ、金はないぞ?飯は奢らんからな。」


「そういうことじゃねぇよ。まぁなんだ、竜人間がもう一人いるからその子とも仲良くして欲しいんだ。ベルっていう子でほら、俺の席の隣の白金色の髪した可愛い子居るだろう?」


「あぁ、お前の後ろにいるやつだろ?別にいいぜ。」


・・・・後ろ?


俺は振り返ると、顔を赤くして俯いているベルが居た。


「どうしたのベル?レヴォルトは嫌だった?」


「・・・・そういうことじゃないし。レヴォルトでいいよね、よろしく。」


「おう、宜しくな。つーかよ、さらっとヒデェ事本人の前で聞くんじゃねぇよカイト。」


「あぁ、スマンスマン。まぁ教室戻ろうぜ。」


俺はレヴォルトに教室に戻るよう催促すると、3人で教室に戻った。

チャイムが鳴り、ホームルームを終え、初めての授業が始まった。魔力の使い方や戦闘の基本の講義を受けた後、昼食を食べて実戦というのが今日の日程だ。

講義は俺とベルは聞いていたが、レヴォルトは寝ていた。まぁ、体格からそんなだろうとは思ったけどな。ちなみにレヴォルトは薄い黄緑色の短髪をしていて、顔が強面のオッサンにしか見えない。本当にベルと同い年かと疑いたくなるくらいだ。寝ている姿をたまに見るが、かなりおっかない。笑うときに顔がクシャっとなるのがせめてもの救いと言えるだろう。

なんだかんだで講義は終わり、レヴォルトに飯を誘われたので、ベルを連れて食堂へ向かった。


「うはははっ!食うぞ!飯だぁぁぁぁぁ!」


「はしゃぐなよ、みっともない。」


はしゃぐレヴォルトを抑えながら、昼食を貰い、席に座る。

食べ始めると、ベルがトマトと格闘していた。


「カイトー、トマト食べれないから食べて。」


「ベル、好き嫌いするなって。食べなさい。」


「カイトがお母さんみたいになってる。やだ、食べて。」


「ったくもう。ほら、この皿に入れとけ。」


「えへへへ。」


渋々、空になった皿を置くと、ベルがトマトを置いた。

3人でくだらない話をしながら昼食を食べ終えると、実戦の授業を受けるために外へ向かった。

校庭と言うよりは訓練場といえるような施設に入ると、オッサンが仁王立ちして待っていた。


「やっときたか。朝から待ってたんだぞ俺は。」


「いや、朝からって。実戦の授業があるのは午後からですよミリオスさん。」


「まぁいい。早く始めるぞ、お前ら3人とも素質は十分のようだからな。」


「いや、まだ開始まで10分もありますって。」


「なんだ?最近耳が遠くてな。ほら、行くぞ。」


「だからぁ!」


すると、ベルが俺の腕を掴んだ。


「諦めよう?このおじさん、お爺ちゃんみたいな人だから、多分言っても聞かないと思う。」


「はぁ・・・・。そうだな、まぁ10分くらい気にすることもないか。」


こうして実戦の授業は10分早く始まった。





レヴォルト「飯が美味かったあぁぁぁ!」

カイト  「うるさい、落ち着け。」

レヴォルト「いいだろう?俺は飯が好きなんだ。」

ベル   「私はトマトさえ無ければ・・・。」

カイト  「ベル?顔が凄いことになってるよ?」

ベル   「ひ、酷い・・・・。」

レヴォルト「前から思ってたんだがカイト、お前・・・・。」

カイト  「な、なんだよお前ら。そんな顔で見るなあぁぁ!」


次回も日曜更新予定です。

カイトくんがテンプレ起こすかもです。

それではまた。


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