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青春の続きは異世界で。  作者: 音風
第二章 ギルド編
10/10

9 本当の始まり。 そして旅立ち。

少々遅くなりました!

題名などなど変更させていただきました。方向は特に変わりないのでご安心を。

今回から第二章入りました、よろしくお願いします。

それでは、お楽しみ下さい。


バンッ!


俺はテンパりすぎてドアを勢い良く開けてしまった。


「うるさいぞぅ、カイトォ・・・・・。」


ミリオス先生はドアを開ける音で目を覚ました。


「っと、すいませんミリオス先生。ベル、ちょっといいか?」


ミリオス先生に頭を下げた後、俺のベッドにちょこんと座るベルに話しかけた。


「どうしたのー、カイト?」


「ちょっとな。ミリオス先生、ちょっと外に行ってきます。」


「こんな時間に・・・・とは言ってもお前がいればベルも大丈夫だろう。早く帰ってくるんだぞ。」


「わかりました。ベル、行こうか。」


「はいはーい!」


俺はベルと一緒にさっきの木の所へやって来た。

ここからが問題だ。さて、ベル、いや、夏樹になんて言おうか。この姿で俺が瀬谷戒斗だと言ったところで信じてもらえるだろうか。

まずやってみよう。ダメだったら最終的に女神さんに頼れば!


「で、カイト。どうしたの?」


「とりあえず、信じてもらえるかわからないけど、俺は別の世界から来たんだ。」


俺はそう話すと、ベルが落ち着かない様子で話しかけてきた。


「それって・・・・・地球?」


「そうそう、地球。」


「・・・もしかして、いや、でも・・・・えっと・・・・えーっと。」


ベルは何かを迷っているようだ。

そして、俺からも何か言おうと考えていた時だった。


ドゥン!!


ババババババッ!!


ブオォォォォォ!!!


街の入口のほうで爆発が起こったかと思ったら、雷が無数に落ち、強風が俺たちを叩きつけた。


「うわっ!」


「ひゃっ!!!」


俺とベルは悲鳴をあげた。

風が去った後、街のガラス張りの窓は全て割れていた。俺と、ベルが唖然としていると、ミリオス先生が飛び出してきた。


「お前ら、無事か!」


「「大丈夫です。」」


俺とベルは揃って答えた。


「そうか・・・・。しかし、一体何事だ。」


ミリオス先生が首を傾げた時に向こうからムキムキで1つ目の獣人が走ってきた。ミリオス先生が言うには上級オーガだそうだ。


「いた!本当にこの街に来ているとは!師匠、ご無沙汰しております。勇者と名乗る人間が此処を襲撃してきたのです。私たちの言葉は全く通じませんし、彼らの実力も凄まじいものですからこのままだと危険です。どうかご協力願えませんか師匠!」


話を聞くにどうやらミリオス先生の弟子らしい。ミリオス先生って何者なんだ?


「そうか・・・・・。仕方がないな、手伝おう。カイトとベルはここに残ってくれ。カイト、お前はベルを守ってくれ。」


「分かりました。ミリオス先生もお気をつけて。」


「じゃあ行ってくる。」


ミリオス先生と弟子の上級オーガは向こうへと走っていった。

人間の勇者か。あのエリート共だろうか?もしかしたら俺だったら止められるかもしれない。あいつらが分かってくれればだが。


「ねぇ、カイト。さっきの話の続きだけど。」


「ん、あぁ、悪い悪い。どうした?」


「えっとね。・・・・うーんと。」


今度こそさっきの続きをと思った時、突然ミリオス先生が現れた。

現れたミリオス先生は、既に右腕を無くし、胸に幾つもの切り傷を負って、全身から大量の血を流していた。


「「ミリオス先生!!」」


「に・・・・・逃げろカイトォ。お、お前の空間移動なら・・・・すぐに里に・・・・グッ・・・・帰れるはず、だ。今回、は、・・・相手が悪い。は・・早くッ!?」


ミリオス先生が全て話しきらないうちに、彼の胸を大剣が貫いた。


「ゴボォッ!!」


ミリオス先生は口から大量の血を吐き、地に伏した。


「ミリオス先生!!」


俺はミリオス先生の名前を叫んだが、既に彼は息絶えていた。

ベルは俺の後ろで顔を真っ青にして震えている。


「困るんだよなぁ、俺のレベルをあげるための餌を逃してもらっちゃ。」


そう言って倒れたミリオス先生から大剣を引き抜いて不気味に微笑んだ勇者を名乗る人間。


「っ!?・・・・・誰だ?お前は?」


俺は本当に知らなかった。エリート共ではなかった。


「なんだ?お前人間語喋れるのか?おもしれぇモンスターだな。しかも後ろにいる女めっちゃ可愛いじゃん。犯してぇわ。なぁ?お前ら!」


そう言うと、彼の周りに槍を持った男と、ロッドを持った男が現れた。


「いんちょー、あの子回すの?俺にも回してくれよ?」


「俺にも回してくれよ、いんちょー。つか、犯す前に殺すなよ?前バラバラにして殺した女いただろ。お前回すって言ったのによ。」


槍男、ロッド男の順に大剣を持った男に話しかけた。

バラバラ?いや・・・・まさかな。


「今度はちゃんと回すっつの。てかあん時は通り魔の仕業になってよかったなぁ。俺、あの事件結局無関係になったし?なんだっけ、死んだ女。」


大剣男はそう言った。


「殺した女の名前忘れんなよ、夏樹だ夏樹。柏原夏樹。修学旅行中だったらしいぜ。なんか前、ニュースでやってた。まぁ、この世界に来たからもうどうでもいい話だけどな。」


そう返したのはロッド男。


・・・・なんだって?じゃあ夏樹を殺したのは・・・・。


「・・・・お前が、お前が夏樹を殺したのか。」


抑えられない怒りは魔力となって身体から放出されているのが自分でも分かる。

実際に、前にいる3人は顔色が悪くなっている。


「なっ・・・なんだよ、お前に関係無いだろう?」


答えたのは大剣男。ロッド男と槍男は震えている。


「関係あるさ、俺はその時、夏樹が殺されるとき、そんなことも知らずに夏樹の帰りを待ってたんだからな。」


「「「なっ!?お前、転生者かよ!」」」


3人は声を揃えて驚いていた。


「な、ならよ、お前の後ろにいる女を皆で回そうぜ。いいだろ?この世界じゃ亜人を強姦したところで罰にはならないんだぜ?しかもよ、俺らと組めばお前が亜人でも差別されないと思うぜ?」


そう話を持ちかけてきたのはやはり大剣男だった。


「ベルはやらん。お前らと手を組む気もない。」


「なっ・・・・。いいのか!?お前は差別されるんだぞ!人間に!」


「俺はお前らと手を組む気が無いと言ってるだけだぞ。」


「俺らと手を組む気が無いだぁ?さっきから放出してる魔力といい、ふざけるなよ!お前ら、力ずくであの女を攫ってあの男を殺すぞ!獣人だ、経験値が大量に入るぞ!行くぜお前らっ!」


そう大剣男が言うと、3人は一斉に俺に向かってきた。

俺は重力魔法を発動し、3人を地面に叩きつけようと思ったが、当たる瞬間、3人は消えた。


「くっ!甘く見過ぎたかっ・・・・。」


俺はそう呟くと、3人の魔力を探した。目で見るよりも確実だからだ。探知し、見つけると、魔力の反応が4つあった。


「しまった!ベル!!」


魔力の反応のある方を見ると、槍男がベルを抱え、ロッド男と大剣男が前に出ていた。


「ふんっ、魔力だけかビビらせやがって!ここに来るときに貰ったチート能力を舐めるなよ?」


大剣男がそう言ってロッド男と目で合図すると、ロッド男が何やら詠唱を始めた。

数秒もしないうちに詠唱が終わったかと思うと、俺の下に魔法陣が出てきた。


「へっ、終わりだ!サンダーボルトッ!!!!」


・・・・・甘いな。


降り注ぐ無数の雷は俺の頭上で方向を変え、地面へと落ちていく。


「なっ!?」


ロッド男に焦りの顔が浮かぶ。


「ベルを返してもらうぞ。」


俺はそう言うと空間移動で瞬時に3人の後ろに回り込んだ。


「ちっ!」


舌を鳴らしてロッドを下に向けたロッド男。すると、ベルを含めた4人は瞬時に移動して俺と距離をとった。


「なっ舐めるなよ?空間移動が使えるのはお前だけじゃないんだぜ?」


「あっ、いいこと思いついたぜ。お前そのまま空間移動続けてろ。」


そう言い出したのは大剣男。


「え?いんちょー、倒さないのか?」


「あいつの前でこの女回そうぜ。」


「いんちょー、黒過ぎ。俺には真っ黒に見えるよいんちょーが。」


「お前な、そんなこと言いながら顔が笑ってるぞ。」


「え?そうか?」


体験男とロッド男が話をする。


・・・・どうしたらいいんだ?こいつらは腐っても人間。同じ人間を殺すのにはさすがに抵抗がある。だから俺はベルを取り返して逃げるつもりだった。

でも、でもだ。あいつらはミリオスさんを殺した。夏樹を殺した。更にベル(夏樹)を今度は犯そうとしている。

俺はあいつらを、殺して・・・・いいよな?


その時頭の中に声が響いてきた。


「まったく、それじゃあまた夏樹ちゃんを助けられないわよ。いい?この世界は地球と違うの。治安をいい意味で維持するための法律なんてのも定かでは無いのよ?貴方が今やろうとしてることは犯罪じゃないわ。もう、まだまだお願いしたいことがあるのにこんなとこで躓いてどうするの!やっちゃいなさい!あの腐った転移者をぶっ殺しちゃうのよ!」


あんた、本当に女神かよ。・・・・・でも、助かった。

これで、本気になれる。


「ひひひひ、おいお前、今からこの女犯すから指くわえて見てろ!」


下卑た笑いを上げながら俺に言ってくる槍男。

そんな言葉にすら怒りを感じない。もう勝てると分かっているからこそだ。


「・・・・・さて、夏樹を返してもらうぞ。」


「「「はぁ?」」」


「っ!?」


何言ってんだこいつと思うような顔で見る3人と目を丸くするベル、いや、夏樹。


俺は空間魔法で、また3人の後ろに移動する。


「同じ手なんか食うもッ!?」


3人の動きが固まる。3人が俺の方をみた瞬間に全力の威圧を発動させる。

気絶しないだけ、さすが勇者と言っておくべきだろう。きっと何かしらの加護が付いているに違いない。

動けない3人を無視して、俺は槍男に抱えられるベルに近づいた。


「こんな状況だけど・・・・。久しぶり、夏樹。」


「・・・・戒くん、なんだよね?ほっ・・・本当にっ!」


俺は槍男の腕を力づくで動かし、バランスを崩したベルをお姫様抱っこする。まるで一種の恋愛ドラマのような光景になっていると思う。


「そうだよ、まぁ、とりあえずあいつら倒すから。ちょっと待っててね。」


そう言って夏樹を少し離れたところに立たせる。


「もう!戒くん、私だって戦えるんだよ!」


「あっ、そういやそうだったなぁ。じゃあどうする?」


「あいつ!あいつやるよ、私をバラバラにした人!絶対許さないんだから!」


「お、お前そんなキャラだったか?」


「えっ?うーん、どうだったかなぁ。忘れちゃった。」


「まぁいいか。やるぞー。」


「おっけー!」


俺が3人の所へ行こうとした時だった。


ズォォォォォォォォッ!!!!


夏樹を殺した張本人は巨大な火柱に包まれていた。


「・・・・・・・・。」


「戒くん!どうどう!?」


「ま、まぁ。いいんじゃないかなっ?」


夏樹、容赦無いのな。

・・・だからって相手に同情したりはしないけどな。


俺は残りの2人をワンパンで倒した。

ワンパンでだ。

もう一度言おう、ワンパンでだ。

もう一回聞きたいって?ワンパンで倒したんだよ。

なんだって?もうい『戒くん!!!!』


「はっ、はいっ!?」


「もう、ドヤ顔してないで、怪我をしてる人たち助けてよ!」


夏樹は勇者(笑)3人にやられた亜人たちを治癒していた。


「それじゃあ俺はミリオスさんをっと。」


そう呟いて蘇生魔法を唱える。


「ぐぅ・・・・んおっ!?俺は生きているのか?」


そんなミリオスさんを周りの人は素っ頓狂な顔で見ている。


「蘇生魔法ですよミリオス先生。」


「なんだってぇ!?お前は・・・・・お前はとんだ化け物だな。」


「さらっと傷つくこと言わないで下さいよ。」


そんな軽くふざけあった会話を終えた後、俺はミリオス先生に全てを話し、女神から言われたことを話した。勿論ベルのことも話した。


「そうか、多分その女神というのは創造神クレアだな。というよりもその話は何百年も前に消えたはずなんだがなぁ。しかもクレアは存在していたんだぞ。既に死んだと思ってたんだが。まぁ俺も生まれる前の話しだしな。長老にでも聞けば分かるだろう。それにしても驚いた、ベルは別の世界からの転生者で、カイトは別の世界からの召喚者か。とりあえず帰るか。カイト、空間魔法頼むぞ。」


「了解です。」


俺はそう答えると、夏樹とミリオス先生も含めて空間移動した。


「ブフォッ!」


空間移動先は長老の家。そしていきなり出てきた俺たちに驚いた爺さんはお茶を吹いたというわけだ。


「な、なんじゃお主ら!いきなり現れるでないわ!」


「ごめんね、おじいちゃん。実は・・・・・」


夏樹が俺の話そうとしていたことを爺さんに伝えた。


「・・・・そうか、創造神クレアか。奴のドジには儂も巻き込まれたもんじゃ。」


「え?爺さんも?」


「そうじゃ。あやつは悪いやつでは無いんじゃが、抜けているところがあってなぁ。儂の場合はお主とは違うからの。神託のような形で巻き込まれたんじゃ。」


「へぇ。」


「まぁ、あやつの言う事じゃ、ただ事では無いのじゃろう。頑張ってこい。役目を終えたら必ず戻ってくるのじゃぞ。お主らがおらんと寂しいからのう。」


「ベル・・・・・行っちゃうのね。」


「え?サラさん居たんですか。」


「ひどいわカイト、私も居るに決まってるじゃない。」


「俺は行かんぞ?」


「分かっとるわい、ミリオス、お主はいつも通りガキどもに戦い方を教えるんじゃ。」


「それじゃあカイトとベルが行っちゃうのね。なんか息子と娘が旅立っちゃう気がして寂しいわ。」


「そのうち戻ってくるから大丈夫ですよサラさん。じゃあ行ってきますね。」


「あっ、待ってよ戒くん!」


軽く沢山の人とワイワイした後、俺とベルはとりあえずヴェストグロウへ向かった。場所を知っているし、空間移動できるからでもあるからだ。


「・・・・・・あっ!」


「どうしたの?戒くん。」


「マウリッツさんとかに挨拶するの忘れたし、レヴォルトにも挨拶するの忘れてた!」


「・・・・いいんじゃない?」


「夏樹、なんかお前変わったな。」


「戒くんこそ。何か言葉使いが男っぽくなったね。」


「なんだそりゃ。」


俺は夏樹と話をしながら空間移動して到着した街を歩いて宿に向かう。今日は宿に泊まった後、明日からギルドに行き登録することにした。

ちなみに宿まで歩いているのは、街に結界がちゃんとかかっていて、空間魔法では入れないようになっている。


「あのさ戒くん。」


「なんだよ?」


「あの時の話のことなんだけど。」


「あぁ、えっと・・・・。まぁ、聞くまでもないだろ?」


「やっぱり戒くん変わったね。」


「そうか?」


「絶対そうだよ!」


そう言うと夏樹は俺の腕に抱きついてきた。


「なんだよ?」


「聞く必要は無いんでしょ?」


「ったく。」




俺の止まった時間がようやく動き出した気がした。

くさい言葉かもしれないけど、そう思える。

周りの人が微笑ましい眼差しを向けてくるけど、不思議と心地が良い。


さぁ、とりあえずはギルドでNo1を目指すぞ。

・・・あれ?でもギルドでNo1になっても王と話せるわけでも無いんじゃないか?

亜人に変わりないんだし。





あの駄女神ぃ・・・・・・。



戒斗「ったく。容赦ねぇな。」

夏樹「地球での分も含めたの!そんな目で見ないでよもう!」

レヴォルト「仲間はずれ・・・・・。」

マウリッツ「・・・・・・・・・・。」

戒斗 夏樹「・・・・・・・・・・。」



次回も日曜日更新予定です。

お楽しみ下さい。

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