1
目をさますとそこは.....よくわからなかった。
視界がボヤけている、考えがまとまらない、得たいの知れない恐怖に突き動かされるように無意識に叫んでいた。
「おぎゃああぁぁ、あぁ?!」
うまくしゃべれない、なにがどうなっているんだ!?
お
「Fjrjeidjq?urjfurueuei!!」
なんだ!?...誰かいる!たすけてくれ!うまくしゃべれない、何が起きてる?
ひどく気分が悪い、からだが鉛のようだ、ぼんやりした視界にひとのかたちがみえる。
「Iskwkjeu!iwuwi...wiwiwi?」
「Ydgeguwusu!」
「Jwjehheuu」
何人かいるようだ…だ、だめだ………意識が…
次に意識が戻ったとき僕は何処かに寝かされていた。からだが動かないし、相変わらず視界がボヤけているが、パニックになることはなかった。…だいぶ恥ずかしいことをした気がする。恐らくここは病院だ、ボヤけた視界は白一色だし、看護婦さんらしきヒトガタが甲斐甲斐しく僕の下の世話をしている……マジか、恥ずかしいよりまず、絶望が僕を襲った。もしかして半身不随?あのとき轢かれたのか?それで病院にいるのか、でも下半身の感覚はある。拭かれているのを感じるし…
しばらくたつとぼんやりしていた視界がハッキリしてきた。てゆーかなんだこれ!?このベット、デカくないか!木製のさくが高く見えるし、大の字になってねてるのにさくにてがとどかない。それになんか妙だ、天井しか見えないがやけに豪華だ、白地に金色の装飾がなされている。病院じゃないのか?…とゆーか僕ってこんなに目がよかったっけ?さっきまでボヤけてたのに鮮明にみえすぎジャマイカ。
「あわぁあうぅ?…!ああぁうああぁぁ」
まだうまくしゃべれない、頭も打ったからなのか?
「Yshehhwu?uejejjsjjqkh?…」
僕の言葉に反応してか、頭上から声が聞こえる。……!?あれ、耳、ながくね?
しばらく理解に時間がかかった。身体もだいぶ動かせるようになった。しかし、まだ起き上がれず。僕はまず考えをまとめることにした。確か、まず……
事故に遭う。
病院?で目をさます。
パニック!
しばらくして?また起きる。
看護師さんに下の世話をしてもらう。
視界回復。!看護師さん超美人!ってアレ?耳が長い? ←イマココ
もしかしてコスプレ?しかし、その考えはすぐに捨てた。僕を見たとき看護師さん?をおそらく同僚の他の人が呼んだのだ、するとピクッと彼女の耳が動いたのだ。てか、こんなモノローグをどこかで見たことがあるのだ。
えっ、マジ、僕、死んだ?…
嫌々待て、まだ早い。もしかしたらやけにデカく感じるこのベットも、ただでかいだけ、看護師さんが着ているメイド服っぽいナース服も院長の趣味。言葉が赤ちゃん言葉なのも(ry
しかし、そんな僕の現実逃避をよそに、明瞭な視界に写った彼女のピコピコ動く耳が、これは現実だと告げていた。
しばらく(おそらく二、三日)して現実を認識した僕のオタク脳に最初に浮かんだのが、強くてニューゲームキタコレ!であった。そして疑り深い僕にすぐに疑問が浮かんだ。ここ二日ほどで、恐らくここは異世界であること。自分の身分は高そうだと言うこと。魔法があること。そして自分が赤ん坊であること、わかったのだが、果たしてこれは、転生なのだろうか?僕の意識が戻ってしばらくすると視界が戻ったが、生まれてすぐ視界が回復するものだろうか。じつはこの身体は生後何ヵ月かの赤子のものでそれに憑依したのではないか?まぁそこはあまり考えても仕方ないか。
なぜここが異世界かわかったかと言うと実はあまり確証はない。しかしエルフメイドが居るのだし、ここは異世界である一卓であろう。身分についても確証はないが周りのメイド達の態度がとても恭しいので、かなり身分が高いと思われる。ちなみにメイドにはネコミミもいて、魔法はそのネコミミが使っていた。
それにしても暇だ。
まだ起き上がれないし、しゃべれない。
両親らしきエルフの美男美女が何度か来るが、どうも反応が鈍い。何を話しているかわからないせいかもしれないが、あまり愛を感じない。僕を見て微妙な顔をしている。
しかし、この身体はとてもスペックが高いようだ。
視力はとてもいいし、耳もとてもいい、さわってみると長かった。どうやら僕はエルフ(仮)みたいだ。
それからしばらく僕はメイドさんに甘えてみたり、言葉を覚えようと努力したりしてすごした。ちなみに秘かに楽しみにしていた授乳プ…授乳の時間はなんとなかった(血涙)。なんとお粥ようなドロドロなものを食べさせられた、まだ歯がはえてないのにである。おそらくいままでみたエルフメイドは皆ひんにゅ、慎ましい胸だったのでエルフは母乳で育たないらしい。何てことだ、哺乳類ではないのか…
人間で言う二歳ほどになった。ハイハイを飛び越し、自由に歩けるようになり、さらに言葉を理解できるようになった、どうやら頭のスペックも高いらしい。しかし僕はしゃべることはできずにいた。なぜかと言うと、言葉の発音が独特でうまくしゃべれないのだ。メイドさん達は舌足らずで可愛いというが、両親には出来損ないと思われているようだ。何でだよ、エルフって早熟なのか?
三歳になった。言葉が理解できるようになり自分の状況がわかるようになった。どうやら僕は王族らしい、実感できない。それに王族にしては僕は魔力が低いらしい。ちなみに魔力というのは僕がかってにそう呼んでいるだけで正式名称はオル・カノンなんちゃらかんちゃらといって身体のうちに眠るおきまりの力だそーだ。僕のそれは決して低くはないが王族にしては低いらしい。上には兄と姉が一人づついてどちらもとても優秀らしい。王宮(なんとでかい木のなかにある)ではシャイ君出涸らし説が蔓延していた。あ、ちなみに僕の名前はシャイ・カイセ・エルフィンです。