プロローグ
四谷修一は何処にでもいる学生だった。取り立てて取り柄もなく、かといって非行に走っているわけでもない。具体的にやりたいこともない、いまどきの高校生である。性格はあまり社交的ではなく、友人もあまりいなかった。
「はぁ..」
夕日に照らされるアスファルトの上を歩きながら修一はため息をはいていた。
明日に迫った文化祭のことを考えて修一はかなり憂鬱になった。クラスの出し物であまり仲のよろしいとはいえない女子と、急遽、受付をすることになったのである。一緒に受付するはずだった、もうひとりの女生徒がインフルエンザで今日学校に来ていなく、文化祭にも来れそうもないそうで、当日暇だった修一に白羽の矢がたったのである。きが弱い修一は断ることができなかった。
「大体、なんで僕が...」
他にも暇な人はいたはすだ、
赤になった横断歩道を見て立ち止まりながら修一はそうぼやいた。実行委員の田所さんは社交的な性格で、修一のような者の性格を理解していないようだった。
「絶対に気まずいよ」
ごちゃごちゃ考えながら修一は視界のすみで信号が青になったのに気付き、足を前に出した。その時、
「Paaaaqaqqaaaaaa!!!!」
けたたましいクラクションが頭が痛くなるほど耳に響き、間を置かずに身体に凄まじい衝撃を修一は感じた。
それから修一の意識は途切れた。
エター王国首都ドローンでは、国王の三番目の息子の誕生に大いに湧いていた。
国民は皆、新たなハイエルフの王族の誕生を祝福し、手を組んで喜んでいる。ここは亜人種と呼ばれるものたちの国。古くにハイエルフが建国した国であり、その年は建国からちょうど一千年がたったときのことだった。