表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/5

03*学校でもモテ男




お城みたいな超豪邸とはうって変わって、ごく普通の中学だった。


「一緒に行ったら、何かとマズイだろ」

「は、はい…」

「裏から入るぞ」

「は、はい…」

「…お前さぁ、さっきから『は、はい…』しか言ってねぇじゃん」

「ご、ゴメンナサイ…」

「だぁ~かぁ~らぁ~っ!タメでいいから、タメで」

「タメ…」

「…んだから女は嫌いなんだよ」


そう言うと、先々歩いて行ってしまった。

急いで追いかける。

やっぱり勇人は怖い…

私からしての第一印象は、最悪なものだった。


職員室へ連れていかれて、先生からいろいろと話を聞かされた。

そして、クラスへと案内された。

勇人とは違うクラスらしい。


「俺、4組だから」

「は、はい…」

「はぁ…そんなにタメがダメなら、好きにしろっ」

「ご、ごめん…なさい」


――――めっちゃ怖いっ


私は1組で、担任の教科は体育。

だからなのか、クラスにはスポーツの出来そうな男子がそろっていた。

女子も女子で、どこか男勝りな人たち。

どうも溶け込めそうになかった。


「原瀬穂乃香です。よろしくお願いします…」


視線が痛い…

こういうのに慣れてないから、すごく緊張する。

学校って、こんなに緊張するところだったっけ?


席は1番後ろで、運よく窓側。

端っこだから、1人でいても大丈夫。

ちょっと安心した。


休み時間は質問攻めにあった。

…みんな男子だ。

怖くて怖くて…というより、教室に女子がいない。


「じ、女子は…?」

「ん?あいつらは、毎時間4組行ってるから」

「どうして…」

「原瀬さんにも紹介した方がいいのかなぁ…」

「すっげぇイケメン君がいるわけよ」


男子に連れられて、4組へ向かった。

女子から注目されている人…めちゃくちゃ見覚えがあった。


「佐賀美勇人。お金持ちでさ、ルックス完璧じゃん。超モテるんだよね」


――――そんなに…


ということは、ほかの3人もモテモテなのだろうか?

そんな人たちと一緒に住んでいても、大丈夫なのだろうか?


勇人が私の方を見た。

男子に囲まれてたから、目立ったのかもしれない。

でも私から目をそらした。

あまりに怖くて…


学校は、とにかく質問攻めで終わった。

帰りも、なかなか準備が出来ない。

女子はみんな引き上げて行った。

勇人が玄関を出たかららしい。


「そんなに人気なんだね…」

「おっ、ときめかなかったのか?」

「私は…正直言うと、男嫌いだし…」

「ま、まじ!?」

「それじゃ、俺らと話してるのも辛いとか?」


それは当り前。

かなりキツイ。

とにかく、早く帰りたい。

女子はみんな学校自体から出たらしい。

男子だけが残っている。

とりあえず、帰りたい…


数分後、息を荒くした勇人が1組の出入り口にいた。


「どうした?モテ男君よぉ」

「どうもこうもないよ。ほら、行くぞ」

「行くって、どこにだよ」

「とにかく、帰るって言ってるんだっ!」


――――やっぱ怖いよぉぉぉ


鞄をとって、教科書を詰めた。

男子が机の周りに立っていたけど、勇人に引っ張り出された。


「か、帰るって…原瀬さんとだったのか!?」

「家が近いんだよ。親からも頼まれてんだ」

「おいおい、お前らしくねぇぞ。女子を送ってやるよかよぉ」

「連れて帰ると小遣いが貰えるんだよっ」

「さ、さすがお金持ち…」


腕をがっしりと掴まれているから、痛い。

そのまま引っ張り出されて、廊下に出た。


「あ、あと1つ言っておくけど…この事女子に言うなよ」


勇人はすごい睨みを利かせている。

男子は、みんな硬直しながらうなずいた。


恐るべし勇人…

私の中での印象は、ますますとてつもないものとなっている。

めちゃめちゃ怖くて、学校で女子にモテる。

だけど、裏ではてっぺん取ってるような奴。

不良中の不良、そんな感じだ。


「ね、ねぇ…痛い」


ずっと手首をつかまれていた。

掴まれていた場所は、赤くなっている。


「ご、ゴメン」


そう言うと、先々歩いて行ってしまった。

私は急いでついて行った。

なんか、あんまり楽しくない学校だったわけで。

とにかく、勇人の印象は最悪そのものだった。


――――自分、これから耐えていける自信がありましぇーん…




評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ