01*波乱万丈!?想像以上の大豪邸
両親は借金抱えて逃亡。
たった1人、私だけを残して。
そんな私を養子として取ってくれた佐賀美家。
優しいおじさん、おばさん…そんなイメージじゃない。
別に、暴力をふるわれている…とか、悪い感じでもない。
ある意味、とんでもない所に拾われた気がする…
「こ、ここですか…」
目の前にそびえたつ、お城みたいな豪邸。
なんか、すごいところに拾われたみたいだ…
「そうよ。ここにはあと4人いるんだけど、今は学校ね」
「ほぉ…」
凄すぎて、言葉が出ない。
自分がまさかこんな所に拾われるなんて、思ってもいなかった。
「それじゃ、ゆっくりしてていいからね」
「えっ、ちょっと!どこに行くんですか?」
「私は今からフランスよ」
「ふ、フランス!?」
き、急すぎる。
それに…
「そうそう、言い忘れていた事があったわ」
「…なんですか?」
「私、ほとんどこの家に帰ってこないから。じゃぁね~」
「ち、ちょっと!!」
旅行バッグを持って、遠くへ消えて行った。
なんて自由な人だ…
こうなると仕方がない。
用意された部屋で過ごすことにした。
階段を上がって、メモに描かれた通りに進んで見る。
まさにお城の中をさまよっているようだ。
突き当たりの部屋、立派なドアだ。
恐る恐る開いてみると、めちゃくちゃ広い。
物が何一つない、20畳ほどの部屋だった。
「ひ、広い…」
自分の手荷物しかなく、殺風景だった。
ちょっとほこりっぽい。
窓を開いた。
「う、嘘でしょ!?」
凄く遠くまで見渡せる。
なんてきれいな景色だ。
今までの借金に追われていた家庭にいた私が、ウソのようだった。
景色に見とれていると、人が見えた。
このお城みたいな家に向かってくる。
あわてて窓を閉じてしまった。
――――だ、誰?
とりあえず、1階へ降りてみる。
階段を1段ずつ、恐る恐る…
さっきの人がいた。
もうリビングにいる。
男…どう見ても、男だ。
「ん?」
――――き、気付かれた!!
慌てて階段を駆け上がろうとする。
だけど、思いっきり足を踏み外してしまった。
「きゃっ!!」
痛い…感じがしない。
見ると、さっきの人に助けられていた。
「ちょっと、気を付けなよ」
「えっ?あ、ど、どうも…」
「新入りさんでしょ?」
「は、はい…」
よく見ると、かなりイケメン。
おとなしそうで、勉強できますって感じ。
大学生…なのだろうか?
「俺、乃衣。よろしく」
「よ、よろしくです…」
「穂乃香ちゃんでしょ?」
「な、なんで?」
「おばちゃんから聞いてたから。中学生って言ったっけ?」
「…はい、3年です」
「それじゃ、来年から一緒だ」
「一緒って?」
「高校。俺、今高2だから」
「う、ウソ!?」
「やっぱ見えないよね…」
乃衣は、勉強できてスポーツもできて…
ルックス完璧な高校2年生。
半端なくモテて、2月になると大変だとか。
話をしているうちに、次々と帰って来た。
「おっ、新入りさん?」
「へー、女子だったんかぁ」
「俺、秀悟。よろしく」
「俺は真人。大学1年だよ」
「よ、よろしくです…」
「秀悟は高2ね」
――――み、みんな年上だぁ…しかも、男…
正直言うと、私は男嫌い。
仕方がないとはいえ、男ばっかしはちょっと辛い。
しかも、みんなイケメン…
最後にかけるしかない…と、ひそかに思っていた。
それもダメだった。
「ただいま~」
「おっ、帰ってきた。おかえりー」
「新入りさん、来てるよ」
「ふぅん」
目が一瞬だけあった。
でも、すぐに2階に上がっていった。
「アイツ、女嫌いなんだよね…」
「そ、そうなんですか…」
「勇人って言うんだ」
同じ中3らしい。
明らかに年上だと思っていた。
みんな大人っぽい。
しかも、最後までイケメン…
タレント、モデル、スポーツ選手並みの。
これからこんな環境で暮さなくちゃいけない。
私は、ある意味とんでもない所に拾われたのだ…