うんとこしょどっこいしょそれでもおしりは抜けません
「ぶえぇえ~、莉奈人が怒るの怖かった~」
「へへ、流石の俺も肝冷やしたぜ」
「オタクがキレると止まらないよね」
どうやら、お仕置きが足りなかったようだな?
「ほらァ、やめときなさい。流石に今回は私たちが悪いんだからァ」
ちょっとやりすぎたか?いや、妥当だな。まさかわからないとは思わないじゃん?肝を冷やしたのはこっちだからな?このまま偽物として討伐されるんじゃないかと思ったわ。まぁ、お前らに対する怒りパワーで偽物を倒せたから、結果オーライってことでこれ以上は追及しないけどさ。
「で?ドロップは何だった?」
「えっと……これはマネキンかしらねェ?」
「いや……僕の見立てだと、これはラブドールだね」
「ラブドール~?僕にはマネキンにしか見えないけど」
江口が色々と確認しているが、俺の目にもマネキンにしか見えない。ただ、この手のエロ方面に関しては江口の感覚は異常に鋭い。ラブドールだと言うなら、きっとラブドールなんだろう。
「う~ん、どうやって使うんだろ……うわ!」
マネキンが溶けた?!いや、ぐちゃぐちゃと形を変えている?あ、あれは……!
「超弩級美少女ラブリーラブリーマジカルピンクのピンクちゃん?!」
「まさか、今僕が頭に思い浮かべたから?」
「それは本当かしらァ?」
「うん。うちにあるラブドールが、超弩級美少女ラブリーラブリーマジカルピンクのピンクちゃんだったから……」
「っは!きららに~それちょうだい!えい!」
きららの手に超弩級美少女ラブリーラブリーマジカルピンクのピンクちゃんが渡ると、瞬く間に溶けだし、その姿はきららへと変化した。
「ふへへ……ついに、きららときららのコラボレーションが!」
「きららに変化……それは……まずいわねェ」
「まずい~?どうして?」
「変形が一度きりならよかったのよォ。でも、これが自由自在に変形できるとなると……好きな時に、実在するあんな人やこんな人に変えられちゃうってことよォ?市場に出したら、確実に億はいくわァ?」
億……そりゃそうだ。俺でも欲しい。これを欲しくない人間なんて、男女問わずこの世に存在しないだろ。流石はレアモンスターのドロップだ。
「これは僕がもらうからね?」
「駄目~!これはきららのものです~!」
「はっ、人権侵害も甚だしいな。莉奈人、剣借りるぜ?セィ!」
「え?」
「「「ああ~~~~~!」」」
俺の剣を勝手に使い、流れるような動きできららラブドールを滅茶苦茶に切り刻む。
俺たちの夢が……希望が……どうしてこんなことを……。
「皆……これでよかったのよォ。この道具は戦争の火種になりうるわァ」
「てめぇら男なら、もっと漢らしくなりやがれ。理想の女は、自分で手に入れてみせろ」
「……はぁ、まぁそれはそうだね」
「だな。正直、そんなもの売るのも怖いわ」
「きららの夢が……」
変な騒動に巻き込まれる可能性もあるしな。まぁ、きららはどんまいだ。自分のラブドールは、今度お金稼いで作ろうな。
ズタズタになったマネキンを尻目に、えろトラップダンジョンの攻略に戻る。というかさ、俺たちが挑んでるのはえろトラップダンジョンなのに、最近あんまりトラップにハマってないよな。思い返しても、トリモチ催眠ガスくらいじゃん?……っと、だめだだめだ。こうやって考えること自体がフラグだ。
「うぅ~、きららのゆめ~」
「ほらァ、いつまでも引きずらないのォ」
「おい、気ぃ取り直してどんどん進むぞ?」
「あっ、待って京。トラップあるかもだから……」
「うぉ!?な、なんだ?!くそっ、穴にハマって抜けねぇ!」
京がいきなり小さくなって、何事かと思ったが……なるほど。腰辺りまで、穴にびっちりハマっている。すまん、京。俺がフラグを立てたばかりに……。
「京ちゃん、大丈夫かしらァ?」
「っち……命の危険はなさそうだが……ぬぐぐぐ、抜けやがらねぇ」
「ねぇ、莉奈人。これって、もしかして」
「あぁ、もしかしなくても」
「感覚遮断落とし穴!!」
「いやぁ、あるかなとは思ってたけど、まさか実在するとはな」
「ね、僕もついつい興奮しちゃったよ」
感覚遮断落とし穴。その名の通り、穴にハマった人間の感覚を遮断し、何をされているのか分からなくするトラップだ。どうして急に感覚がなくなるのか?とか聞いちゃいけない。多分、即効性の毒とかそんな感じだろう。そう思っておこう。
「おい、盛り上がってんじゃねぇ!早く助けやがれ!」
「うーん、駄目ねェ。私だけの力じゃ全然抜けないわァ」
「じゃあ右手は俺が引っ張る。左手は玄宗さんお願い。いくよ?せーのっ!」
……駄目だ。全然抜ける気がしない。
「あっ、僕が左手持つよ。今度はバフかけて試すのはどうかな?」
「いい考えねェ……【プロテクト】。それじゃあ、いくわよォ?【レイジ】」
「ぬぐぐぐぐぐぐ!」
うん、無理かも。
「さっきよりは行けそうだったけどね。何かに引っ張られてる感じがして無理だったわ」
「お、おい……ナニカってなんだよ!俺の下半身、今どうなってんだ?!怖ぇよ!何も感じねぇのが一番怖ぇんだよ!せめて痛くあってくれ!」
「……痛く」
「おい、きらら。何『え?同類?』みたいな顔で見てんだ!違ぇよ!」
感覚遮断落とし穴。漫画だと何食わぬ顔でハマっているが、知識がある状態で実際にハマると、確かに恐怖が段違いだ。何かが起きていても、起きていなくても、想像だけが膨らんでいく。きららみたいな変態ならともかく、普通の人間なら発狂しかねない。早く助け出さないと……。
「じゃあ、皆で囲って一人を抜く感じならイケそうじゃない?一人の負担は凄いけど……」
「はっ、問題ねぇ。細けぇことはいい、やってくれ」
「分かったわァ。それじゃあ行くわよォ?【プロテクト】【レイジ】」
「よし、いくぞ?せーのっ!」
「うんとこしょ!どっこいしょ!」
まさに壁を引っ張っているかのような感覚。
「……だめかも~、このカブ全然抜けない!」
「誰がカブだ」
「全然抜けなさそうなんだけど、もう少し頑張って?遅いよ?」
「誰が遅漏だ」
「これ、大丈夫か?ケツとか引っかかってない?」
「誰がデブだ」
「ツッコミよくできるわねェ?痛くないのかしらァ?」
「いてぇよ!引っ張られてるからなぁ!だから早く抜いてくれ!」
少しずつ抜けてる感覚はある。多分、もう少し……。
「せーのっ!」
「「「「抜けた!」」」」
「ヘブしっ……」
あぁ、京が顔面からいった……。なむさん。
感覚遮断落とし穴で何かおすすめ作品があれば教えてください




