回数は多分7回くらいです
「だいぶ呆気なかったな」
「う~ん、ギミック系のボスだったんじゃない~?さてさて~ドロップは何かな~」
「きらら!あぶねぇ!」
「きゃ~!」
世界が急に白く塗りつぶされるほどの光に、目がやられる。
な、なんだ?!急に全裸の俺が光り出したぞ?
「うわぁ、チカチカする~」
「みんな、大丈夫かしらァ?」
「もんだいねぇ」
「僕も大丈夫」
「俺も大丈夫」
「俺も」
未だに目に違和感は残っているが、何とか視力は回復した。いきなり光るからびっくりしたわ。というか、なんか違和感が……。
「「何だったんだ?……あれ?皆、俺を見てどうしたの?」」
「いや~……ねぇ?」
「これは厄介ねぇ……」
「ふふ、面白くなってきたね」
「莉奈人、てめぇ、隣を見てみろ」
隣を見てみろって……イケメンでも不細工でもない、普通の顔をした、ただの俺がいるだけ……。
「俺?!」
なるほど、そう来たか。ならまずは……。
「先手必勝!!」
何?!こっちの攻撃に合わせてきた?!
「【スラッシュ】!」
「【パリィ】」
スキルまで使えるのか……。
「反応だけじゃなくて、戦闘能力まで一緒とか~。これはちょっとまずいにゃ~」
「そうねェ……ついでに性格まで再現してるみたいねェ」
「でもさ?俺らの友情なら、どっちが本物か分かるだろ?」
「お、流石俺。いいこと言うじゃん。ラノベあるあるだよね」
そう、これはラノベではよくある展開。皆なら絶対にどっちが俺か見分けがつくはずだ。
(ねぇ、きららちゃんは分かるかしらァ?)
(ぜ~んぜん!)
(俺も分かんねぇな。莉奈人のやつ、どうして分かると思ったんだ?)
(ね、僕も分からないな……こうなったら、あれしかないんじゃない?)
(そうね、あれしかないわね)
「な、なぁ、何をごにょごにょ話してんだ?」
「まさか、分からないなんてことは……」
「本物はどっちだ?莉奈人クイズ!!」
「いぇ~い!どんどんパフパフ」
「いや、どんどんパフパフじゃないが?」
それはつまり、全然分からないってことじゃん。
「ルールは簡単よォ?莉奈人ちゃんに関するクイズを、莉奈人ちゃんが答える。ただそれだけ!」
「それじゃあ僕から、第1問!莉奈人のFA〇ZA購入数で一番多いのは、何系でしょう?」
「え、流れ早くない?!いくら『あれ?思ったより戦闘シーン長引いちゃったな』ってこの物語を作ったであろう神が思ってても、さすがに流れぶった切りじゃん。というか、え?どうして俺の購入履歴分かってるの?!こわ!」
俺、江口が怖いよ……。え~、なんだろ。好きなのはいろいろあるけど、改めて聞かれると困るな。一番多いとなると……。
「巨乳かな」
「ふ~ん?じゃあ、もう一人の莉奈人は?分かりにくいね。莉奈つーは?」
「催眠一択」
「なるほど……正解は、巨乳!」
「どうやら間抜けは見つかったようだな。これでどっちが本物かは分かったでしょ?」
「そうだね、分かった。莉奈つー君が本物だね」
「ね~、ぷぷぷ~。巨乳ってねぇ~?莉奈人がそんな普通の答えするわけないじゃんねぇ~?」
「そうねェ。巨乳は各作品につきやすいタグだから、必然的に1位になっただけよねェ?」
「うんうん、癖を語るうえで巨乳とか性癖のことを舐めてるよね」
「よっし、本物は見つかったことだし、偽物は倒すか」
「いやいや、ちょっと待って?ほら、一応クイズには正解してるじゃん?ね?もう1問やろう?ほら、これで偽物だったら大変なことでしょ?」
今のはまぐれだ。偽物が本物に勝てる道理はない。たまたま上振れを引いただけ。回数を重ねれば、みんなも分かるはずだ。
「も~、しょうがないにゃ~。じゃあ2問目~。じゃじゃん!今日、きららのことをいやらし~い目で見た回数は~?」
「見てません」
「ほぉ?暫定偽物の莉奈人。それが答えか?」
ぐぬぬぬぬ……。しょうがない、ここは白状しよう。仲間の男に劣情を催していたなんて、自認すらしたくはない。したくはないが、このままだと埒が明かないし、何より、このまま偽物だと断定されるのは、俺のアイデンティティに関わる!
「……見ました。回数は多分7回くらいです」
「いやぁ~、莉奈人のえっち~。それで?莉奈つーは?」
「オレガナカマ、ソレモオトコヲソンナメデミルワケナイジャナイカア」
「あらあら、うふふン」
「ほぉ?」
「なるほどね……」
な、なんだよ。……なんか嫌な予感が。
「本物は莉奈つ~!やっぱり~、莉奈人は隠しきれないのに隠してる感じの童貞感がないとね~」
「あぁ、必死に隠してるのが、また滑稽で笑えんだよなぁ」
「ちょっと、いくら事実でも言いすぎだよ。にしても7回ね。これも少ないんじゃない?」
いやいや、そんな頻繁に見るなんて……だって男だぜ?ほら、巨乳ならついつい見ちゃうとかあるけど、まな板だから。
「少ないよ~?ざっと15回くらいかなぁ~?あ、ほら、今も見た!ふふん、莉奈人はね~、きららの足が好きなんだよね~!」
「はっはっは!いいじゃねぇか。このドレス鎧から見える足がいいのかぁ?」
「チラリズムに惹かれるのよねェ?前に私に力説してきたこと、あったわよねェ」
くそ、事実だ。何も言い返せない。俺は……弱い。
「というわけで、莉奈人。これからもよろしく。いやぁ、今度お詫びに、催眠系のおすすめ作品教えてあげるよ。銀河さんっていうんだけどね?」
「マジ?ありがと」
「じゃ~、僕も童貞感まるだしの莉奈人に~お、わ、びしてあげようかな~。ハグでもする~?アイドルにおさわり厳禁だけど~、特別だぞっ?」
「あらァ、よかったじゃない。でも、それ以上はダメよォ?ほらァ、仲間内でそういう関係になるのは気まずいって話、したじゃない」
「ならないならない。というか、別にそんなお詫びとかしなくても……いや、偽物がいろいろ引け開かしてくれたし?隠す必要もないか。よっし、じゃあお詫びしてもらっちゃおうかなぁ!」
……。
「あらァ!ちょっと前までヘタレだったのに、随分と漢気あるじゃないのォ」
「今回の件で一皮むけたのかな?ムクっとね?」
「ほら、ジャンプ系でよくあるじゃん。自分の影と戦って、壁を乗り越えるみたいな。それよ」
「それ主人公のやつじゃ~ん。莉奈人には向いてなくな~い?」
「でも、たまに主人公っぽいところもあるわよォ?童貞とか」
「違いないね。個性ないし?学園物で当て馬にされてるやつみたいな?」
……。
「ま、本物の莉奈人は分かったし~、そこの偽物はちゃっちゃと倒しちゃお?」
「流石に倒すのは後味悪いわよねェ?いくら偽物といっても……」
「俺はどっちでもいいがなぁ?まぁ、気持ちは分からんでもねぇ。偽物は置いて、さっさと次進むか」
「そうだね。偽物は放置プレイしておけば、いつか溶けていくと思うし」
「うん、俺もそれだと助かる。いくら偽物とはいえ、同じ顔を倒したくはないし」
……ブチッ。
「【スラッシュ】」
「何をッ……くっ、どこからそんな力……ぎゃああああああaaaaaxcaopkajkpafjpo!」
どこから?もちろん怒りからだが?
俺に一刀両断された莉奈つーがスライム上に戻り溶けて消えていく。ちょっとグロイ。
「おい、お前ら。これでどっちが本物か、よく分かったよな?せいざ、ね?返事は?」
「……はい」
たっぷり説教した。じゃないと目から水がこぼれそうだったから。お前らならわかってくれると思ったのに!
催眠、常識改変でおすすめがあれば教えてください。




