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三毛猫のぬいぐるみになったミケ

そうなのだ。ミケの目は丸くて大きくてキラッと黄色く輝いている。しかもその姿はふわふわもふもふの三毛猫のぬいぐるみだったのだ。


「えっ? ミケちゃん! わたし目が可笑しくなってしまったのかしら?」


 おばあちゃんは言いながら手の甲で目を擦りまくる。


「わっ! やっぱりぬいぐるみの三毛猫だわ~! ど、どういうことかしら!!」


 両手をぐるぐる振り回しおばあちゃんはかなり慌てているようだ。


「ありゃま。わたしぬいぐるみの姿になってしまったにゃん」


 ミケ自身もびっくりしたように自分のもふもふの体に視線を落とし目を大きく見開いている。


「ミ、ミケちゃんはぬいぐるみさんだったの? あら、わたしってばなんて問いかけをしているのかしら?」


「はいにゃん。わたしは三毛猫のぬいぐるみでありつくも神ですにゃん」


 三毛猫のぬいぐるみであるミケの口角がきゅっと上がった。


「ぬいぐるみさんが笑った〜!!」


おばあちゃんは大きな声を上げた。



「あらにゃん。おばあちゃんってばびっくりしてますにゃん」


 ミケは首を横に傾げおばあちゃんをじっと見る。


 おばあちゃんはそんなミケを指差し「本当にミ、ミケちゃんなのよね? ぬいぐるみさんだったのね」と言った。その指はぷるぷる震えている。


「おばあちゃんびっくりさせてごめんなさいにゃん」


「ううん、それは構わないわよ。ただ、ちょっとびっくりしただけだからね」


「びっくりしただけですか。良かった~にゃん。さあ、ご飯の続きだにゃん」


 ミケの頭の中はもうご飯のことしかないようだ。まだ、おばあちゃんの指先はぷるぷる震えているというのにだ。


 ミケは呑気なものだよ。再び炊き込みご飯を幸せそうな表情でぱくぱくと食べている。


「おばあちゃん大丈夫?」


「ええ、真歌ちゃん何とか大丈夫よ。でも、本当にびっくりしたわ」


 おばあちゃんはそう返事をして紅茶を飲んだ。


「おばあちゃん先に言わなくてごめんね。あのミケちゃんはこのムササビカフェ食堂にいた三毛猫のぬいぐるみだったのよ。それと、ぬいぐるみに宿ったつくも神なんだよ」


 わたしは、ご飯を美味しそうに食べるミケをチラッと見て言った。



おばあちゃんはかなり驚いているようだ。まあ、この状況に驚かない方が不思議ではあるけれど。


「うん、ミケちゃんは三毛猫のぬいぐるみに宿った精霊らしいんだよ」


「精霊? ああ、もう混乱してきたわ」


 おばあちゃんは、そう言って頭を抱える。


「わたしもミケちゃんから聞いた時はびっくりしたよ。簡単に言うとぬいぐるみのミケちゃんは百年間大切にされたんだって」


「大切にされたぬいぐるみ?」


「うん、長い年月を経ると物や道具に精霊が宿るとは言うでしょ?」


「うん、そうね、聞いたことはあるわね。なんか仕返しに来るとかも……」


 おばあちゃんはチラッとミケに視線をやり言った。


「もう、おばあちゃん、ミケちゃんは大切にされていたんだよ。仕返しなんてしないよ」


 そう、だって、ミケは真昼さんに大切にされていたんだもんね。


「つ、つくも神? ぬいぐるみに宿った……。しかもぬいぐるみがご飯を食べているね」


 おばあちゃんは目を大きく見開きミケに視線を向ける。


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