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美味しそう

再びムササビは海鮮巻き寿司作りに戻り、わたしとミケはカレーライスを作る。一旦火を止めカレールウを割入れ溶かし再び弱火でコトコト煮込む。


「う~ん、美味しそうな匂いがするにゃん」


ミケが鼻をクンクンさせた。


「うん、めちゃくちゃ美味しそうな匂いだね」


わたしも鼻をクンクンさせる。もうこれはきっと、美味しいだろうなと幸せな気持ちになる。


「さて、お皿に盛りつけるよ。ミケちゃん食べたらダメだからね」


わたしは、お皿にご飯をよそいながらチラッとミケを見て釘を刺す。


「は、はいはい……了解にゃん」

「では、ご飯にカレーをかけま~す」


ご飯に熱々のカレーをかける。うふふ、「カレーライスの完成で~す」

ミケじゃないけれど、わたしも食べたくなってしまう。


カレーライスを目の前にしわたしとミケが鼻から良い香りを吸い込んでいると。


「海鮮巻き寿司の完成で~す」


ムササビの元気な声が聞こえてきた。海鮮巻き寿司も完成したようだ。


「うわぁ~美味しそう」

「美味しそうだ~にゃん」


ムササビの声に振り向き海鮮巻き寿司に目を向けたわたしとミケは思わず声を上げてしまった。


すると、ムササビもこちらを見たかと思うと「カレーライス美味しそう食べたいな~」と言って目をキラキラ輝かせている。


「おいおい君達、これはおばあちゃんのお客さんのカレーライスと海鮮巻き寿司だからな」


高男さんはわたし達の顔を順番に見て苦笑する。


わたし達三人は顔を見合わせえへへと笑う。ミケとムササビの顔は食べたいよと言っているように見えた。きっと、わたしも似たような表情をしているのだろう。


そんなわたし達をじっと見ていた高男さんが「後で賄いで食べさせてあげるからね」と言った。


「やった~」

「嬉しい~」

「早く食べたいにゃん」


わたし達はバンザイをした。


「まったく食い意地の張った人達だね……」


高男さんは呆れ顔で笑った。そして。


「さあ、お客さんに料理を運ぶよ」と言いながらカレーライスと海鮮巻き寿司、お味噌汁をお盆に載せおばあちゃんのテーブルに向かう。


一度こちらに振り返り「あ、真歌さんは緑茶とサラダを運んでくださいね」と言った。


トマトとキャベツのサラダと湯気の立っている緑茶があらかじめ載せられているお盆をわたしは手に持ち高男さんの後に続く。


「あ、わたしも様子を見に行こう」

「わたしも気になるにゃん」


ムササビとミケもそう言ってわたしの後についてくる。


「お待たせしました。『君に会えたら嬉しいなセット』です」


高男さんがおばあちゃんの目の前に美味しそうなカレーライスと海鮮巻き寿司を置いた。


「あらあら、美味しそうなカレーライスと海鮮巻き寿司ね。ありがとう」


おばあちゃんは顔を上げ微笑みを浮かべた。その笑顔はほわほわとしていてほっこりと安らげる。


「ゆっくりお召し上がりくださいね」


高男さんはそう言って右手を大きく横に広げた。すると、とてとてとムササビが高男さんの元へ向かい左手を大きく横に広げ「ごゆっくりお召し上がりくださ~い」と言った。


「うふふ、ありがとう。いただきます」


おばあちゃんはニコニコと笑みを浮かべ海鮮巻き寿司をお箸で口に運んだ。


「マグロとサーモンの海鮮巻き寿司ね。美味しいわ。懐かしい味ね」


おばあちゃんはとても美味しそうに海鮮巻き寿司を食べている。


「ありがとうございます。サバの巻き寿司もありますよ」


「そうなのね。サバの巻き寿司も美味しそうね」


おばあちゃんはサバの巻き寿司に箸を伸ばした。


「わ、わたしヨダレが垂れそうだよ」


ミケがサバの巻き寿司を口に運んだおばあちゃんをじっと見ている。


「ちょっとミケちゃんダメだよ」


「う、うん……わたし我慢するにゃん」


ミケは両手をグーに握り肩をぷるぷる震わせ我慢している。


「おいおい、ミケちゃん厨房に戻るぞ」


高男さんがそう言ってミケの腕に手を伸ばそうとしたその時。


「うふふ、お嬢さん良かったら一つどうぞ」とおばあちゃんがにこやかな微笑みを浮かべミケを見る。


「あ、ありがとうですにゃん」


ミケがお礼を言ってサバの巻き寿司に手を伸ばそうとしたのだけど。


「お客様すみません。おい、ミケの海鮮巻き寿司は厨房にあるだろう」


高男さんはおばあちゃんにぺこりと頭を下げミケの腕を掴んだ。


「あらそうなのね」

「気を遣って頂きありがとうございます」


高男さんがミケの代わりにお礼を言う。そして、ミケを引っ張り厨房に戻ろうとしたその時。


「あの、もし良かったらみんなで食べませんか?」


「は~い、食べます。食べますにゃん」


ミケがくるりと振り返り返事をした。


「……おい、ミケちゃん」


高男さんは苦笑する。


「あ、お仕事中ですよね……」


おばあちゃんは、申し訳なさそうに笑う。


「いえ、それは大丈夫です。では、良かったらご一緒に食べてもよろしいでしょうか?」


「もちろんですよ」


おばあちゃんの顔にぱっと花が咲いた。


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