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つくも神の三毛猫のぬいぐるみといただきます

「ねえ、ミケちゃんなんか大きな三毛猫のぬいぐるみになってるよね?」


わたしは、半額のマカロニグラタンを目をキラキラ輝かせじっと見ているミケに尋ねた。


「あ、うん、三毛猫サイズのぬいぐるみだったらご飯が食べやすいからだよ~それよりこの半額のマカロニグラタン美味しそうだね~」


「半額って言わないでよ」

「にゃはは、ごめんね~あ、このサラダも美味しそうだにゃん」


ミケはそう言ってヨダレをじゅるじゅるにゃんと垂らしそうになっている。


「そっか、じゃあ食べよっか」

「は~い、食べようにゃん」


わたしとミケは「いただきま~す」と手を合わせた。わたしの部屋でつくも神のぬいぐるみのミケと二人で夕飯を食べるという不思議な状況になっているなと思いながらフォークを手に取る。


さあ、ご飯を食べよう。ミケと一緒に食べると美味しさ二倍かな。


「う~ん、この半額のマカロニグラタンめちゃくちゃ美味しいにゃん。じゃがいも入りでほくほくしていてマカロニとホワイトソースと良く合っていて熱々で心も体もぽかぽかするにゃん」


ぬいぐるみのミケはマカロニグラタンを頬張りその表情はほくほく顔だ。ぬいぐるみなのに表情豊かでまるで生きているかのようだ。そうか、ミケは生きているんだよね。って言うか……。


「ミケちゃん、だから半額って言わないでよ」


「いいじゃない、半額ってお得感満載だにゃん」


「まあ、それもそうだよね」


わたしは何となく納得してマカロニグラタンを口に運んだ。


「う~ん、美味しい。半額とは思えないお味だよ~あっ! 自分で半額って言っちゃった」


「にゃはは、真歌ちゃんってば」


ミケは肉球のある可愛らしい手でわたしを指差し笑った。


「だって、ミケちゃんが半額って連呼するから釣られちゃったんだよ。でも美味しくて幸せだから何でもいいや」


わたしは熱々のマカロニグラタンじゃがいも入りを頬張り満面の笑みを浮かべた。


ミケも幸せそうににゃぱにゃぱ笑っている。


「そうだ、サラダも食べなくちゃにゃん」


ミケはそう言ってフォークでトマトを刺し口に運んだ。


「う~ん、真歌ちゃん特製のサラダもめちゃくちゃ美味しいにゃん」


「あ、いやいや特製ってほどではないよ……シンプルなサラダだよ。しかも適当に切ってごまドレッシングをかけただけだもん」


わたしはシンプルなサラダを褒められちょっと照れてしまった。


ぬいぐるみのつくも神の三毛猫さんと一緒に夕飯を食べることはとっても楽しかった。


なんだかメルヘンチックでそして、ちょっと不思議な感じがするけれど、今のわたしはこの状況を受け入れている。


「真歌ちゃんのトマトとレタスにキュウリめちゃくちゃ新鮮でごまドレッシングと合うにゃん」


「あはは、そっかな~」


なんて会話をしながら半額のマカロニグラタン(じゃがいも入り)とわたしの特製の野菜サラダをニコニコ笑顔を浮かべて食べた。


たらふくってほどではないけれどお腹がいっぱいになった。


それからわたしは湯船にお湯を張る。


「ミケちゃん、わたしお風呂に入って来るね。ミケちゃんはぬいぐるみだから入らないよね?」


そう声をかけたけれど、返事がなかった。あれ? どうしたのかなと思い部屋の中を覗くと、ぐーすーぴーにゃん、ぐーすーぴーにゃんといびきが聞こえてきた。


「あはは、ミケちゃんっては寝てしまったんだね」


本日二度目のぐーすーぴーにゃんにわたしは笑ってしまった。


部屋に入りいびきをかくミケに視線を向けると三毛猫のぬいぐるみの姿で幸せそうな表情を浮かべ寝ていた。


「ミケちゃん、どんな夢を見ているの?」


わたしは、ぐーすーぴーにゃんといびきをかき寝ているミケの顔を覗き込んだ。


「ミケちゃんお布団で寝るんだよ」


ちょっと大きめなぬいぐるみ姿でぐーすーぴーにゃんといびきをかいているミケをうんしょと持ち上げわたしのベッドに寝かせ布団をかける。


「まったく幸せそうな顔しちゃって」


わたしは目を細め平和で幸せそうに眠るミケをじっと眺めた。すると、


真昼まひるちゃん、あ、違った真歌ちゃんだにゃん」と声が聞こえてきた。


え!? と一瞬びっくりする。これはミケの寝言だった。わたしの夢を見ているのかな。


「真昼ちゃん? あはは、わたしは真歌だよ~でも、わたしの夢を見ているんだね。なんだかちょっと嬉しいな~」


わたしはミケの頭に手を伸ばしそっと撫でた。ちょっとくたっとしているけれど、ふわふわもふもふで気持ちの良い触り心地だった。


うふふ、なんだか幸せでほっと落ち着く。


むにゃむにゃにゃんとミケは可愛らしい声を出しそして、ぐーすーぴーにゃんといびきをかいた。


「じゃあ、ミケちゃんゆっくり寝ていてね」


わたしは寝息を立てるミケの傍から離れ風呂場へ向かった。



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