ムササビとモモンガは可愛らしいもふもふ同士
「あ、このトマトスープを飲むと心と体がぽかぽかしてきたよ。何だろう? 目の前にいるモモコが可愛いモモンガに見えてきたな~」
なんて明るく話すムササビの声が聞こえてきた。視線をムササビとモモコの方へ向けるとわたしはびっくりした。
だって、いつの間にかムササビとモモコは人間の姿からもふもふなムササビとモモンガの姿に戻っていたのだから。うふふ、可愛らしいな。
「ありがとう、やっぱりわたしは可愛いでしょ? あ、でもムササビもなんだか可愛らしく見えてきたな~」
モモコも明るくて嬉しそうな声を出している。
「ありがとう。わたし達ってやっぱり可愛らしい者同士だよね~」
「うん、そうだね~」
ムササビとモモコはお互いの可愛らしさを認め合いそして。
「ムササビやモモンガに拘ることなんてないよね? これからは可愛らしいもふもふ者同士だと認め合い仲良くしようよ」
「うん、そうだね。それに体のサイズも小さくても大きくてもどっちでもいいよね」
本当はムササビとモモコはお互いのことを認め合い仲良くしたかったのだろう。今まで何かの食い違いがあり素直になれなかったのかな。
「やっぱり高男さんの料理は人(動物? あやかし?)を素直にさせてくれますね」
視線を高男さんに移すと高男さんの顔はまだほんのり赤かった。
「あ、いえ。まあね……それはそうとムササビとモモコちゃん仲直りできたようで良かったですね」
高男さんはちょっと照れたように頬を染めそれからいつもの高男さんらしくフフッと笑った。
ムササビとモモコが仲直りできて本当に良かったと思う。これからは二人(二匹)でこの高尾山を盛り上げてほしいな。
ムササビとモモコは今も動物の姿でニコニコと笑い「美味しいは最高だね」と言い合っていた。なんとも微笑ましい光景だ。
もう喧嘩なんてしないでね。わたしは口元を緩めムササビとモモコのもふもふな姿を眺めた。
「にゃんか羨ましいな~わたしも誰かと仲良くしたいな」
視線をミケに向けるとムササビとモモコを目を細めじっと眺めていた。
「ミケちゃん、わたしと仲良くしようよ」
わたしはそう言ってニコッと笑ってみせた。
「え! あ、うん。真歌ちゃんありがとうにゃ~ん」
ミケは嬉しそうに頬を緩めたかと思うと「真歌ちゃ~ん、わたし嬉しいよ~」と言ってわたしに飛びついてきた。
「わっ、ミケちゃん」
ミケのその勢いでわたしは後ろへよろけそうになったけれど、なんとか踏ん張りミケの背中に腕を回しギュッと抱きしめた。
「にゃはは、真歌ちゃんはあったかいな」
ミケの柔らかい声がわたしの胸にじわりと響く。なんだかその声に癒され懐かしく感じた。ぽかぽかと心が温まる。
このムササビカフェ食堂に来たばかりだけど、幸せになれる場所だ。
ぽかぽかな幸せと美味しい料理がたくさん溢れている。
「おっ、真歌さんとミケちゃんも仲良しですね」
お互いにギュギュとし合うわたしとミケを見た高男さんが言った。
「あ、高男さんもギュギュに加わるにゃん?」
「良かったらギュギュの世界へようこそ~」
「おいおい、俺が加わるとちょっとマズイんじゃないかな?」
高男さんは困ったように眉を下げてあははと笑った。
「え? どうしてかなにゃん?」
「ん? どうしてかな?」
わたしとミケはほぼ同時にそう言って首を横に傾げた。
「……だって、君達一応女の子でしょ?」
高男さんは今度はちょっと呆れたように笑った。
「あ、そっか!」とわたしとミケの声が揃う。
「でも、一応って酷くないですか?」
「酷いにゃんね」
わたしとミケは頬をぷくっと膨らませる。
「忘れていたクセに」と言って高男さんはククッと笑う。
なんて、わたし達が話していたその時、「なんか楽しそうだね」と声がしたなと思ったらムササビとモモコがこちらを見ていた。
「ねえ、みんなで一緒に食べない」
ムササビがにっこりと笑い立ち上がったかと思うと、うんしょともふもふな姿で椅子をこちらに持って来ようとしている。
そんなムササビの椅子を高男さんがひょいと持ち上げ運んだ。
「高男さんありがとう。じゃあ、モモコの椅子を一緒に椅子を運ぼう」
ムササビがモモコの椅子に可愛らしい手を伸ばした。
「あ、うん、ありがとう」
「一緒に運ぶと重たくないもんね~」
もふもふな姿のムササビとモモコはうんしょ、うんしょと椅子を一生懸命運んでいる。その姿があまりにも可愛らしくてキュンとする。
「ムササビちゃん、モモコちゃん頑張って!」
わたしは顔の横にグーを二つ作り応援した。そのわたしの隣で「ムササビちゃん、モモコちゃん頑張ってにゃ~ん!」とミケもわたしと同じポーズで応援した。
「ありがとう~頑張るよ。うんしょ、うんしょ」
ムササビとモモコは声を揃えてお礼を言う。
そんなこんなで四人掛けのテーブルに椅子を二脚追加して座ろとしてあることに気がついた。
「ねえ、四人掛けのテーブルに元々三人しか座っていなかったんだから椅子は一脚だけの追加で良かったんじゃない」
わたしが一脚余った椅子を指差し言った。すると、「そうだった」とみんなの声が揃う。そして、あはは、にゃははと一斉に笑う。
「椅子が一脚余りましたが、まあ、よしとしましょう。では、お茶でも淹れて来ますね」
高男さんがにっこりと笑い厨房に向かった。
戻って来た高男さんは湯気の立った緑茶とおせんべいをわたし達の目の前に置いた。
「わ~い! おせんべいだ~」
わたし達は喜びの声を上げおせんべいをバリバリと食べ緑茶をゴクゴクと飲んだ。
美味しいねと笑い合いみんなで食卓を囲む時間は幸せ色に包まれていた。




