二兎追う者は一兎も得ず
side:伯爵令息
「どうしてこうなったのだ」
愛らしいレイリアと美しいラテル。
二人の貴族令嬢を手に入れた僕は、幸せの絶頂だったはずだ。
それが突然、我が家の不正が明らかになった。
あの程度の不正なら、各家もやっているだろう。だって、我が伯爵家が行なっていたほどなんだぞ?
しかし、浮かび上がる証拠は、我が家と婚約者のマイティス伯爵家のものばかり。
我が家は軽症で済んだが、マイティス伯爵家はきっと取り潰しになるだろう。美しいラテルは、もう僕のものになることはないのだ。
仕方ない。レイリアで妥協しようか。そう思ったが、親友であったはずのルシルトがレイリアに婚約を打診した後であった。
ずっと好きだったんだ。ルシルトのそんな言葉が耳に残る。
ルシルトもレイリアも僕を裏切ったのだ。
絶対に許さない。でもその前に新しい美しい婚約者を手に入れて、家を復興しないといけない。
いやまて、レイリアだって、ルシルトと婚約することは本意ではないはずだ。
ルシルトの甘言に乗せられているだけであろう。
今から迎えに行ってあげるからね、レイリア。
僕と一緒に幸せになろう?
君が僕を待っているのはわかっているよ。
さぁ、僕から君への、僕というプレゼントだ。