灰色の書 主な登場人物・設定など
●灰色の書の主な登場人物
名前の前の記号はその人物の視点で書かれることを表しています。
□□□□ 電脳体のヒトミ
□□□■ 生体の 結芽 一美
主観的には同一人物。十代半ば。黒髪。瞳は緑をおびた光を宿す。ユリっ気が強い。本人は耽美な趣味と言っている。フタバとは第３段階。ヒトミにとってフタバは一番だが色々気になるお年頃。過去に事故に遭い体の半分以上を欠損する。現在リアルでは隔離療養中。思考加速などが可能。プログラムの知識が豊富。リハビリも兼ねＶＲ環境でスポーツや武術アプリもこなしている。
□□■□ フタバ
茶色の髪に茶色の瞳。ヒトミの依り代。ツカハラ家当主の娘。剣術が奥伝。法術は初伝。軽い怪我なら法術で治すことができる。ヒトミの依り代。ツカハラ家などの女性は巫女と呼ばれる。過去にはツグミの依り代でもあった。幼いころ母のヒトハと死別している。
●イクノブ家
□□■■ ミツエ
イクノブ家の巫女。シノハの依り代。ヒトミより少し年下。黒に近い髪と瞳。体術と小太刀が奥伝。法術が初伝。気配を読むことに長けている。この世界の気配はナノマシーンからの情報も含む。戦闘センスが優れている。ヒトミの作る装備に慣れるのも早い。シノハとは姉妹のように育てられた。シノハのことをシノと呼ぶ。シノハとは第３段階。
□■□□ シノハ
ミツエに憑いた精霊。ミツエと同じ年齢の姿。銀に近い髪に青い瞳を持つ。精霊としての自覚が希薄。舞台となる世界では法術が最強クラス。ミツエとは姉妹として育てられた。ミツエのことをミッちゃんと呼ぶ。やや天然。「おんなじ」などの幼い言い方もする。法術が皆伝。体術と小刀が初伝。
●オオエヤマ家
□■□■ イノカ
長身美麗。赤みがかった髪に黒い瞳。ヒトミより一つ年上。剣での一撃はフタバより強い。剣術が皆伝。ムツミの依り代。ムツミとは第２段階。ヒトミの装備を扱うことにも慣れている。
□■■□ ムツミ
幼い精霊。赤みがかった黒髪に黒い瞳。イノカの妹だった。法術は奥伝。外見は十才より少し下。この世界の中では法術がかなり強い方になる。シノハと道を繋ぐとヒトミのものに近い強い法術を使える。ヒトミたちのことは「ヒトミお姉ちゃん」などと呼ぶ。
●カツラギ家
□■■■ ナナミ
世界のために力を使う精霊。カツラギ家の精霊だった。ククリに憑いていたことがある。少し紫がかった黒髪に、灰色の瞳を持つ。法術が得意。そうはみえないが、ヒトミにとってこの世界で初めてできた対等な友人。ナナミもヒトミに対してあまり遠慮しない。酒乱の気がある。
■□□□ ヤツエ
世界のために力を使う精霊。カツラギ家の分家の巫女だった。クマドウの瘴気に侵食され一時魔人になっていた。少し紫がかった髪に黒に近い瞳を持つ。剣術が皆伝クラス。カツラギ家のある地方の方言を使う。
■□□■ ククリ
今は精霊。もと魔人の少女。カツラギ家の巫女のときナナミの依り代だった。法術が得意。カツラギ家のある地方の方言を使う。京言葉に似ている。京より南の方言も混じる。
■□■□ テンドウ
今は精霊。産まれたときから魔人。実戦経験が豊富。法術が皆伝以上。魔人の村に住む者たちを守っていた。のちに瘴気の影響を強く受けるようになった。膜を使う法術はテンドウが編み出した。多数の魔獣を操ることもできる。総合的な戦闘力はツグミなみ。大の酒好き。両親はカツラギ家の血筋だった。カツラギ家のある地方の方言を使う。
●その他
ツグミ
もとツカハラ家の精霊。精霊としてフタバに憑いていたことがある。フタバにとっては母でもあり姉でもあった。一度世界の一部になった。精霊に戻るさい剣術と法術の力が皆伝以上まで伸びた。またこの世界のシステムや外の世界のことをある程度理解している。今は世界のために力を使う精霊の一人。世界よりフタバの方を優先している。
トミカ
トウジの妹だった。イノカに似ている。剣術と法術が中伝。祝詞を使うこともできる。今は世界のために力を使う精霊の一人。ツグミとともに霊気の改良を行っている。
アザミ、キオン、ノゲシ、ヨメナ
今は精霊。ククリと同じ村に住む魔人だった。テンドウのことを慕っている。四人とも法術が得意。ヒトミが作る装備にも慣れてきた。カツラギ家の血筋。ククリと同じく魔人になる前の記憶は少ない。
◇◇◇◆ ウーナ
以前はオリント家の巫女。デキムの依り代だった。ライトグレーの髪と瞳。今は世界のために力を使う精霊。剣術が奥伝以上。法術も使える。デキムのことを兄様と呼ぶ。デュナという従姉妹がいる。
デキム
今は世界のために力を使う精霊。オリント家の巫女に何度か憑いている。精霊の中では最も古くから存在している。剣術と法術が皆伝クラス。システムや外の世界の知識が豊富。
■■□□ トウジ
オオエヤマ家の精霊だった。一時魔人になっていた。剣術は皆伝並みの力を持つ。法術も使える。今は世界のために力を使う精霊の一人。
クニヤス
フソウ家の次期当主。学園の研究施設の所長。フタバの兄のヨシノリと親交がある。学園長はフソウ家当主のクニヒロ。フソウ気の巫女に憑いた精霊よりヒトミの活躍を聞いている。
リアルの教授
現在の一美の法的保護者。医療用ナノマシーンをはじめさまざまな技術の開発者。複数の国から研究教授の資格を与えられている。知能は高い。常識や心の機微に疎い。研究施設に半ば軟禁されている。明文化された法は守ろうとする。物語の世界では大精霊と呼ばれる。
●霊気の名称。
霊気の改良が進むにつれ、ヒトミ視点での呼称が変化する。疑似細胞はＣ１、無機ナノマシーンの集まりはＭ１、ハイブリッドはＨ２など。作中ではＣ３、Ｈ５、Ｈ１０、Ｈ１０Ｐ、Ｈ４Ｑがよく使われる。Ｈ４Ｑは演算特化型。量子演算も可能。Ｈ１０Ｐと組み合わせＨ４Ｑシステムとして使われる。
●世界観
作中のリアルの設定はおよそ１５０年後。五感全てでのＶＲ環境がある。核融合は無重力に近い環境なら可能。準汎用量子コンピュータも研究施設などでは普及している。
舞台となる世界のもとになった宇宙ステーションは、直径３０ｋｍ、高さ１０ｋｍの中空の円柱形。居住エリアの厚みは約２ｋｍ。４分間で１回転することで約１Ｇの疑似重力を得ている。エネルギー源は回転軸付近にある三機の核融合炉。水の循環などの環境制御も行われている。
物語の舞台となるＶＲ環境の中の生物は全て医療用ナノマシーンの再現データで構成されている。複数の医療用ナノマシーンが集まって作る疑似細胞は本物の細胞とほぼ同じ。多細胞生物は全て十分の一の大きさ。中から見ると十倍の広さに感じられる。二乗三乗の法則なら筋力は十倍だが二倍程度に調整されている。
ツカハラ家や都のある地方の西側は海。シェルター用の島もある。強弱はあるが海風が常に吹いている。今は沖合いに出ることは困難。大気が海に戻るときは空のおおいや南北の壁の近くを通る。おおいは空の景色を映し出している。光電素子での発電や光合成ができる程度の照射もしている。エネルギー源は核融合炉。
海から運ばれた水蒸気は東の山岳で凝結しこの地方の生物圏を支えている。海に流れ込んだ塩などは無機ナノマシーンが岩塩などを模して戻している。東の山岳よりしばらくは生物がほとんどいない乾燥地帯。砂漠などが多く人は住んでいない。生物が少ないので瘴気による侵食もほとんどない。更に東に行くと人々の居住区がある。今は人の往来はない。世界のために力を使う精霊が何年かに一度行き来する程度。
●ナノマシーン
医療用ナノマシーンとして主に有機ナノマシーンが使用されている。エネルギー源は主にブドウ糖。有機半導体を利用した光電素子や熱電素子もある。核やミトコンドリアも模倣している。主な動力は鞭毛モーター。複数の疑似細胞を集めて移動速度を得ることも可能。大きくしすぎると空中移動のさい浮力か揚力が必要になる。リアルで動かすときは１ｍｍ前後が効率的。
複数の有機ナノマシーンで作る疑似細胞の中に、何種類かの無機ナノマシーンを入れたものがハイブリッド・ナノマシーンになる。有機ナノマシーンから無機ナノマシーンにエネルギーを渡すことも可能。量子演算回路を作ることもできる。ヒトミの思考加速もハイブリッド・ナノマシーンによるところが大きい。
●カーボン・ナノチューブ
引っ張りに対する強度が非常に優れている。無機ナノマシーンの集合体が、極小規模でCVDという方法を使い作成する。単層や多層、直径なども調節できる。宇宙ステーションの建築材料にも使われている。そのさい材料の炭素はC型小惑星と呼ばれる炭素含有量の多いものから得ている。カーボン・ナノチューブを超硬度化することも可能。カーボン・ナノチューブやフラーレンを超硬度化したものは人工ダイヤモンドになる。窒素などをドープして高出力半導体にすることもできる。CVDによる作成は試行錯誤が必要。ヒトミはリアルのデータを利用している。
●ニューラルネットワーク
人間の思考を参考に考え出されたプログラムなどの一種。U-Net や SegNet などがある。学習データやその処理により様々な目的に合わせて作成可能。リアルでは電脳空間上のプログラム。舞台となる世界では霊気や瘴気の信号のやり取りで同等以上のものが存在する。
●簡単な地図です。
