表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
完結●断罪終了後に悪役令嬢・ヒロインだったと気づきました!詰んだ後から始まる逆転劇  作者: 一番星キラリ@受賞作発売中:商業ノベル&漫画化進行中


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

9/47

9:天国と地獄~マリー~

 信じられなかった。


 孤立無援と思っていた私に救いの手を差し伸べてくれたジェフに、ベッドに押し倒されたのだ。その上で私のことを慕っていると言われてしまった。そして婚約して欲しいと彼は言っているのだ。


 驚き、言葉が出ない。

 そんな私を見て、ジェフは切々と自身の気持ちを私に明かし始めた。


「自分がマリーさまを初めて見たのは、スコット皇太子と訪れた舞踏会です。近衛騎士として周囲を警戒していた時に、マリーさまを見つけました。あなたは……派手なドレスを着ているわけでもない。落ち着いた色合いのドレスで決して目立つわけではなかった。それでも存在感がありました。ただそこにいるだけで、輝いて見え……。気づけばずっと、あなたのお姿を追いかけることになりました」


 つまりは……一目惚れということか。容姿で好意を寄せられるのは嬉しい反面、寂しくもある。


「勘違いしないでください、マリーさま。自分は護衛として舞踏会にいたので、あなたと会話することは叶いません。ですからどうしても、最初は、あなたの存在感という見た目で心惹かれることになったのは確かです。でもそれだけではありません。話しかけることができない分、あなたの行動をずっと見ていました」


 ジェフはヘーゼル色の瞳を輝かせ、まるでその時のことを思い出しているようだ。頬も赤く染まり、その初々しい様子はまさに恋する少年。


「扇を手にして、考え込む時の仕草。男性に話しかけられ、微笑するその様子。断り切れず、ダンスに応じた時のちょっと困った顔。実に表情豊かで好ましいものでした。ダンスを踊るとその腕は一流。意に沿わない相手とのダンスでも手を抜かず、表現豊かにステップを踏む。ダンスを終えた時のポーズの見事さ。そのすべての動作に、自分は胸を高鳴らせていたのです」


 そこまで……細部に渡り見ていたのかと思うと、私の頬が熱くなる。恥ずかしいのは勿論、一人の女性として嬉しいことであるのは事実。何せここ最近の私は、皇太子から嫌われている婚約者として、常に冷たい視線にさらされていたのだ。ジェフの言葉は胸に染みた。


「もし私が近衛騎士でなければ。任務でその場にいるのでなければ。すぐにでもあなたをダンスに誘いたかった。でもそれはできず……。そして近衛騎士の任務には、休みなどあってないようなもの。あなたが足を運ぶ舞踏会に、プライベートで訪れ、声をかける……そうしたいと思っている間にも、殿下があなたを見染めてしまいました」


 最後の方は声が掠れ、とても切なそうな顔をしている。その絶望的な表情は……見ていると胸が痛んだ。


「この国の皇太子の婚約者になってしまった。マリーさま、あなたは自分の手が永遠に届かない女性になってしまったのです。それならば自分のこの想いは諦めなければならない。忘れなければならないと思っていたのですが……。殿下は自分を信頼していたのでしょう。自分の周囲からの評価は真面目、任務一筋、恋愛に興味なし。そのように思われていたので、非公式ながらあなたの護衛を任されました。それは……私に天国のような喜びと地獄のような苦しみをもたらしたのです」


 ジェフの相反する気持ちが渦巻く胸のうちは、容易に想像できた。慕っているのだ、私のことを。でも私は自身が仕える皇太子の婚約者。絶対に手を出すことは許されない。それでも自分が好意を持つ相手だ。そばにいられるのは……嬉しい。でも諦めることも忘れることもできない。


 それは本当に天国と地獄を味わっているような状況だと思う。


「殿下とあなたが仲睦まじい姿を見て、胸が張り裂けそうでした。でも……マリーさま、あなたを想う気持ちがあったからでしょうか? 殿下と笑顔で話すあなたは、心から笑っているようには思えなかった。もしや殿下との婚約を心から望んでいないのでは……僭越ながらそのように感じていました」


 そこでジェフが探るように私を見る。私は思わずその視線を避けるようにしてしまう。なぜなら……その通りだからだ。自分では完璧にバレないだろうと思っていたが。私の護衛につき、さらに私へ好意を寄せているジェフだからこそ、見逃せなかったのだろう。私の真の気持ちを。


「もし殿下との婚約が本意でないならば、自分にもチャンスがあるのではないか。そう想い、あなたを見守ることにしました。……ところが、リリアン・サマーズ伯爵令嬢。彼女が現れてから、何もかもがおかしくなった。殿下はあんなにあなたのことを気に入っていたのに。次第に冷めた目であなたを見るようになった。その一方で、あのリリアンさまにどんどん傾倒していくのです。驚きました」


 ジェフは……私のそばに可能な限りいてくれた。つまりリリアンと私のことをずっとみていたはずだ。そう、ずっと見ていた……! それはつまり、ジェフこそ、証人になるのではないか?


「ジェフ様」

「何でしょうか?」


 そこでいまだ、自分がベッドに押し倒されたままで、ジェフはベッドに両腕をつき、私を見下ろしている状態であると気づく。本当はこの体勢を変えたいのだが……。というか、この体勢、ジェフは疲れないのだろうか? 騎士として鍛えているから、問題ないの?


「マリーさま?」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【一番星キラリの作品を紹介】
作品数が多いため、最新作を中心にバナーを並べています(2025年12月の大掃除で・笑)。 バナーがない作品は、作者マイページタイトルで検索でご覧くださいませ☆彡

●紙書籍&電子のコミカライズ化決定●
バナークリックORタップで目次ページ
悪役令嬢に転生したらお父様が過保護だった件~辺境伯のお父様は娘が心配です~
『悪役令嬢に転生したらお父様が過保護だった件~辺境伯のお父様は娘が心配です~ 』

●これぞ究極のざまぁ!?●
バナークリックORタップで目次ページ
悪役令嬢は死ぬことにした
250万PV突破『悪役令嬢は死ぬことにした』

●出版社特設サイトはコチラ●
バナークリックORタップで出版社特設ページへ
婚約破棄を言い放つ令息の母親に転生! でも安心してください。軌道修正してハピエンにいたします!
80ページが試し読みできる特設サイトへ
『婚約破棄を言い放つ令息の母親に転生! でも安心してください。軌道修正してハピエンにいたします!』


●溺愛は求めていませんよ?●
バナークリックORタップで目次ページ
平凡な侍女の私、なぜか完璧王太子のとっておき!
『平凡な侍女の私、なぜか完璧王太子のとっておき!』

●壮大なざまぁを仕掛けます!●
バナークリックORタップで目次ページ
婚約破棄された悪役令嬢はざまぁをきっちりすることにした
『婚約破棄された悪役令嬢はざまぁをきっちりすることにした』

●章ごとに読み切り!●
バナークリックORタップで目次ページ
ドアマット悪役令嬢~ドン底まで落ちたらハピエンでした!~
『ドアマット悪役令嬢はざまぁと断罪回避を逆境の中、成功させる~私はいませんでした~』

●商業化決定●
バナークリックORタップで目次ページ
悪役令嬢はやられる前にやることにした
『悪役令嬢はやられる前にやることにした』

●もふもふも登場!●
バナークリックORタップで目次ページ
断罪の場で自ら婚約破棄シリーズ
『断罪の場で悪役令嬢は自ら婚約破棄を宣告してみた』
日間恋愛異世界転ランキング3位!

●コミカライズ化も決定●
バナークリックORタップで書報ページへ
断罪後の悪役令嬢は、冷徹な騎士団長様の溺愛に気づけない
ノベライズは発売中!電子書籍限定書き下ろし付き
『断罪後の悪役令嬢は、冷徹な騎士団長様の溺愛に気づけない』


●心温まる物語●
バナークリックORタップで目次ページ
悪役令嬢は我が道を行く~婚約破棄と断罪回避は成功です~
『悪役令嬢は我が道を行く~婚約破棄と断罪回避は成功です~』は勿論ハッピーエンド!

― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ