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完結●断罪終了後に悪役令嬢・ヒロインだったと気づきました!詰んだ後から始まる逆転劇  作者: 一番星キラリ@受賞作発売中:商業ノベル&漫画化進行中


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36:やっぱり真面目で不器用~リリアン~

マリーはあんな目に遭ったのに。

最後にジェフに会いに行きたいと言えるなんて。

すごいなぁ。心が広いんだろうなぁ。

あたしにも金平糖をくれたし。

デレクと部屋を出て行くマリーの姿を見送っていると。


「ではリリアン。わたしたちは一足先にエントランスへ向かおうか」


スコット皇太子から声をかけられた。

「あ、はい」と返事をした瞬間。

彼はあたしに背を向け、屈んでいた。


「え?」


首を傾げる私の方をチラリと振り返ると。


「背負うから、リリアンのことを」

「えええええ!」

「足首に包帯をつけているの、見えているから」

「で、でも」


スコット皇太子!

あなた皇太子なのに、あたしをおんぶ!?

それはさすがにあり得ないっしょ。

私が戸惑っていると。


「リリアン。さっき、ここの管理責任者から聞いたよ。デレク。マリーの従者だ。彼は……騎士ではないのにまるで騎士のように剣を扱うことができ、体力もあるようだな。地下三階からリリアンを抱き上げてきたのだとか。……わたしはそれなりに鍛えている。でもここからエントランスまで抱き上げていくのは……。途中でおろすことになるだろう。情けないが。もっと体力をつけるようにすると誓うよ。だから今は、背負うので我慢してほしい」


なるほど……。

いや、違う、違う。

お姫様抱っこならいいとか、そういう問題ではないはず!


「スコット皇太子さま、その、抱き上げるか、背負うの問題ではなく……」


「では何だ? 他に方法が……」


真剣な顔で考え込むスコット皇太子は。

やっぱり真面目で不器用だ。

なんだかホント、可愛いーって感じ!


もう、おんぶしてくれるのが恐れ多いと思っているんですってことも。言わないでいいやと思えてきた。そして素直に背負ってもらうことにする。


「重いですか?」

「それはないよ」


そう言うとゆっくりスコット皇太子が歩き出した。

後ろに騎士がぞろぞろついてきている。

見られている~と思うと、めっちゃ恥ずかしい。

でも気にしてもこの状況は変わらないわけで。

それよりも。


「スコット皇太子はいいのですか、そのジェフに会わなくて」


あたしの問いに長いため息をついたスコット皇太子は。


「……あんなにジェフから嫌われていると、今日のあの時まで気が付いていなかった。わたしの無自覚な行動がジェフをどれだけ傷つけていたのかと思うと……。今のジェフは取り付く島もない。少し時間をあけ、会いに行ってみるよ」


そこでスコット皇太子は「どっこらっしょ」という感じであたしを背負い直しながら尋ねる。


「リリアンはジェフに会わなくてもよかったのか?」


「あたしですか?」


しまったー!

つい、あたしと言ってしまった。

衝撃でフリーズしていると。


「リリアン、どうした?」

「あ、いえ、はい……そうですね」


そこでなんとか咳ばらいをして、気持ちを立て直して答える。


「正直、私とジェフさまは接点がそこまでなかったので……。それでも顔を合わせれば……。どうなのでしょうか。謝罪してもらえるのか。あ、コイツめと思われるのか。いいんですよ、私は。ジェフと話す必要があったのは、マリーさまだと思いますので」


するとスコット皇太子がクスクスと笑っているのが伝わってきた。


「笑っていますか?」

「すまない。リリアンが、いつの間にかマリーと仲良くなっていることに驚いたよ」

「それは……」

「本当は。どこかでリリアンとマリーを会わせればよかった。二人を知っているわたしが、お茶でもする場を作ればよかったのだろうな」


確かにそれは……。マリーも同じことを言っていたけど。でもさ。過去は変えられないんだよね。変えることができるのは……未来だけ。未来はさ、今どうするかで変化するから。


それをスコット皇太子に伝えると。


「リリアンは……。子供っぽいと思ったら、急に大人っぽいことを言い出す」

「それは褒めてます?」

「褒めているよ、勿論」


そうか。

褒められているのか。

なんだか嬉しくなる。

やっぱ褒められるのは……嬉しいよね。

でも喜んでいるとバレたくなくて、話題を変える。


「スコット皇太子さまは何でここに来たのですか?」

「なんでって……それはマリーに話を聞くためさ。沈黙を貫いた理由。まさかリリアンがここにきているとは思わず、驚いたよ。……リリアンはそういうところも、行動力があるのだな」


しみじみと呟くスコット皇太子の様子を見るにつけ思う。

あたしとスコット皇太子って。

婚約しているのに。

まだまだお互いのこと、知らないんだなーと。


そこでエントランスが見えてきた。

するとそこには既にノートル塔の管理責任者他、職員が勢揃いしている。

どうやらお見送りに来てくれているようだ。


スコット皇太子はそこで私を下ろすと。

優しく手を取り、エスコートしながら歩き出した。

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