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断罪終了後に悪役令嬢・ヒロインだったと気づきました!詰んだ後から始まる逆転劇  作者: 一番星キラリ@9/2やられる前に発売:商業ノベル&漫画化進行中


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16/47

16:めっちゃ疑われている~リリアン~

 結局。

 なぜマリーが無言を貫いたのか。

 その理由をマリー自身が明かさないと、解放はできないとスコット皇太子は最後まで譲らなかった。


 確かに何か訳があって黙っているのなら。

 その謎を解きたいと思うのは……理解できないわけではない。


 それでも現在進行形で、マリーはノートル塔に幽閉されているのだ。無実の罪で。それを思えば、その理由なんて解放してから聞けばいいじゃん!とあたしは思ってしまうのだが……。


 スコット皇太子は、スコット皇太子で。

 何やら譲れないものがあるようだ。


 というわけで。

 あたしはマリーがいるノートル塔を尋ねることにした。スコット皇太子が、マリーの無言の理由を知りたいと言うのなら。直接あたしが尋ねてみようと思ったからだ!


 あの場で黙っているということは。

 多分、言いたくないのだろう、沈黙の理由を。それを聞き出すためのカードをあたしは持っている。


 そう、あたしがマリーに切れるカード、それは無実の証明だ。

 あたしが、マリーは無実であると証言する。だから代わりになぜあの時、無言でいたのか、それを教えてと問うわけだ。


 我ながらいいアイデアだと思う。

 というわけで朝食を終えると、早速ノートル塔へ向かうことにした。


 ノートル塔はあたしの屋敷からだと馬車で1時間もかかった。

 遠い。

 窓から見えている景色も草、木、牛、馬、山、空……。


 なんか一応ちゃんとしたドレス……パールピンクでフリルがついているやつ……なんか着てきたけど。正直、こんな何もない場所なら、動きやすいワンピースにすればよかったかもしれない。そんなことを思っているうちにノートル塔に到着した。


 塔の入口でマリーに面会しに来たと告げると、あっさり断られた。

 1時間かけ、ここまで来たのに、「ノー」とか、あり得ない!

 不本意だが、身分を明かした。

 皇太子との関係性も。

 まだ、正式な婚約者ではない。だからダメかな……と思ったが。


 しばらく待たされた後。


 いきなりノートル塔の管理責任者が登場し、丁重に案内された。マリーの部屋の前まで。そしてその鉄の扉の前に立っているのは……。


 あ、なんか知っている。

 多分、攻略対象になる人だ。

 じゃなくて、スコット皇太子の信頼厚い近衛騎士だけど、マリーの護衛を非公式に命じられていたジェフ・リースね。


 えっと。マリーは幽閉されたわけよね?

 でも護衛を続けているわけ?

 律儀だなぁ。


 そう思いながらジェフに挨拶をすると。

 ジェフの表情は硬い。


「……リリアンさま。事前連絡なしの訪問、大変驚きました。自分がいたのでここまで来ることはできましたが。何用でしょうか?」


 あ、なるほど。

 ジェフはあたしが来ていると聞いて、許可を出してくれたのね。

 イイ奴じゃん!


「えーと、差し入れを持ってきました。マリーさまに」


 すると。

 ジェフだけではなく、背後にいる管理責任者とそれ以外の騎士達に緊張感が走った。


 え、何?


「その籠の中身を拝見してもよろしいですか?」


 ジェフに尋ねられ、あたしは従者に持たせていた籠を彼に渡す。ジェフは籠にかけられていた白い布を持ち上げる。なんてことはない。焼き立てのパン(……といってもここがクソ遠いからもう焼き立てではない)、ぶどう、ジャム、干し肉が入っているだけだ。


 だが……。


「これは確認してからではないと、マリーさまにお渡しすることはできません」


 え、そんなことしていたらパン、硬くなっちゃうじゃん!

 そう思ったのだけど。


「リリアンさまは、スコット皇太子さまの大切な方であることは重々承知しています。ですからリリアンさまがそんなことはなさらないと思うのです。でももしかすると、リリアンさまの目が届かないところで何者かが暗躍し、その食べ物に対し、よからぬことをしている可能性もあります。何しろ、マリーさまがここに幽閉されている理由。それは……リリアンさまへの殺人未遂ですから」


 それってつまり……。

 この差し入れに毒を盛っているということ?

 まさか、そんなことするわけないじゃん!

 って思うけど。

 そうか。

 命を狙われたことになっているのか、あたしは。

 その復讐であたしが毒を盛ってもおかしくないと。でもあたしは間もなくスコット皇太子の婚約者になるから、例え毒が盛られていたとしても……。


 あたしは後ろに控える、気のよさそうな顔の従者を見る。


 例えばこの従者が毒を盛った……そんな風に疑われるのだろう。それこそ濡れ衣だし、もし毒を盛るなんてあたしがしたら……それこそヒロインではなく、あたしが悪役令嬢になっちゃうじゃん!


 でもまあ、毒なんて盛っていないから、調べてくださいって感じだ。ということで毒見なりなんなりしてくださいということで、籠はそのままジェフに預ける。すると今度は女性の騎士がやってきた。念のための身体検査だという。つまり、剣とか隠し持っていませんよね、ということだ。


 服の上からさっと確認する感じは、空港で行われる保安検査と変わらない。


 その確認が終わると、いよいよ部屋に入れることになった。

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