映画館①
「しゅんじ~!!お買い物行きたい~!!」
吉良さんが帰った直後にこう言うとは・・・図ったな!!明日香ァ!!
まあいくら20代前後の見た目とは言え、中身は5歳だからな・・・こういうのも好奇心だろう。
「わかったよ、どこ行きたいんだ?」
「あすかじんしんばいばいいきたい!!」
「そんなところありませんっ!!」
本当に、その語彙はいつもどこから学んでくるんだ・・・??
「明日香、人身売買以外だ!!どこかないか??そういうとこ!!」
「うーんと・・・どれいそくばいか」
「だからそういうとこ以外でお願いします!?!?」
ーーーーーーーショッピングモールーーーーーーー
「このたてものおっきい!!」
「そうだなぁ、大きいだろう?」
明日香の駄々を丸めに丸めた結果、なんでも大体置いてるということで、ショッピングモールに来た。
「まず、どこ行きたい??」
「うーんとねー!どれいそくば」
「だからございません!!」
「なんかこわいものないのー!?!?」
「そうだな・・・映画・・・とか怖いんじゃないか??」
明日香はポカンと口を開けていた、多分映画がわからないんだろう。
とりあえず怖いのをご所望、ということでホラー映画がいいと思い、ホラー映画にした。
今テレビのCMで怖いことでガン押されしているゾンビ映画を見ることにした。
上映前ーーー
「しゅんじ~これほんとに怖い~?」
「まぁ普通の人なら怖がると思うぞ・・・」
はっ!!
思い出してしまった・・・
明日香・・・お前が人じゃないことを・・・
予想は的中した。
「あはははははははは!!!!しゅんじ~これこわいじゃなくておもしろいだよぉ~!!」
観客がぞわぞわしているムードの中、こいつはあたかも当然のようにげらげら笑い始めたのであった・・・。
まあ当然のように周りから空気読めないやつらのレッテルを貼られた感覚だった・・・。
そしてエンディングの後、映画館を出た。
「しゅんじ、あれぜんぜんこわくなかったよ~!」
「はぁ・・・。」
俺は深いため息をついた、実際人の感性を持ち合わせていないのは予想がついたことだ、完全に俺のミスだ。
・・・明日香をこんな形で目立たせることになってしまうとは・・・。
映画館のグッズ売り場の近くの椅子で肩を落としてたら、一人の華奢な丸眼鏡の男性がこちらに近寄ってきた。
あの子は、確か、同じスクリーンにいて、真っ先に明日香の笑いに振り向いて反応してた子だ、なんか言われそう・・・。
「あの、すみません、少し良いですか??」
「あ、はい。」
「そこのお姉さん、どうしてあの映画で笑えたのですか??」
あぁ~~やっぱりだ~~!ごめんなさーい!!!
「おもしろかったから!!」
明日香、お前・・・!!!
やりやがったな・・・!!
「え、、、」
ほら!丸眼鏡の青年君も困惑してるじゃないか!!やばい!やばいぞこの状況!!
「めっちゃわかります!!!」
・・・は??
「いや~実は僕人間がなぜゾンビごときに怖がるのかさっぱり理解できなくて~!」
よかった・・・のか?