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25話 人を不幸にして食うメシは美味いか?



 俺は今、三島の家の玄関で腕を組み、目が吊り上がった鬼の形相で仁王立ちをしている。

週刊誌にリークしたかどうかを問いただすため、怒りの炎を燃やしながら三島の帰りを待っている。

凛からは帰りが遅いと連絡があったのでまだ時間はある。


 仁王立ちを初めて数時間が経過した頃、玄関の奥から歩いて来る音が聞こえた。

ガチャッと鍵を回す音が聞こえ、ドアを開けられると共に三島が現れた。



「てめぇ、どのツラ下げて帰ってきやがった!」


「あんたが早く帰ってこいって言ったんでしょうが!MV撮影終わって速攻帰ってきたんですからね!?」



自分でも言動が矛盾していると思ったが、今は気にしていられなかった。



「知るかぁ!それより、俺と凛のことを週刊誌にリークしたのお前だな!」



玄関で立っている三島にズンズンと詰め寄る。



「調べたら、確かにあなたたちっぽいことが書かれてる記事でしたね。でもリークしたのは私じゃないですから!」


「じゃあ誰なんだよ!」


「知らないですよ!」



三島はリークしたのは自分じゃないと言い張っている。



「あーもう終わりだぁ!」



その場で頭を抱えてしゃがみ込み、子供みたいにジタバタと暴れ回る。



「ちょっと落ち着きなさい!まだあなたたちのことって決まったわけじゃないでしょう!?」



玄関で靴も脱がずに俺を落ち着かせる三島。



「とにかく、一旦状況を整理しましょう」




◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇




リビングに移動してきた俺たち。



「まずは、もう一度落ち着いて記事を確認しましょう」



 半泣きの俺の隣で三島が冷静に話を進めていく。

三島が自分のスマホで記事を見ている。



「記事の内容は・・・”グループのエースでテレビ引っ張りだこの美少女アイドルH!ファンに隠れて巣篭もり愛か!?”・・・なんとも下衆な記事ですね」


「全部凛に当てはまってるだろ!?」


「まあそうですね。これだけ見ると完全にあなたの彼女ですね」



現実を突きつけてきた三島の言葉に卒倒しそうになる。



「ほらそうじゃん!あーもうダメだ!うわぁぁぁ!」


「でも記事をよく見てください。記事の内容を裏付けるような写真とかあります?」


「え?・・・ないけど」


「じゃあ大丈夫ですよ。どうせ週刊誌側の記者が勝手に考えたデマ記事です」


「本当に?」


「はい。とにかく、こんなデマ記事に踊らされて騒いでるのは一部のバカだけですから、週刊誌側が決定的な証拠でも出してこない限りは、時間と共に忘れ去られますよ」



なんか三島に言われると一気に安心感がでてきた。



「三島!マジでありがとう!だいぶ安心したわ!」


「どういたしまして・・・っていうかなんで私がこんなこと。別に私はあなたたちがどうなろうと知ったこっちゃないんですけど?むしろライバルアイドルを蹴落とせてラッキーなぐらいです」


「そんなこと言うなって〜。契約しただろ?俺はお前の奴隷なんだから!」



自ら奴隷を名乗り出る俺。



「まあ私も便利な奴隷がいなくなるのは嫌ですから」


「じゃあ俺帰るわ!そろそろ凛も帰ってきそうだし!」


「ちょっと!掃除と洗濯やったんですか?」


「やったやった!じゃあな!」



そう言って颯爽と家に帰って行った。



◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇



 凛の帰りをドキドキしながら待つ。

もしかしたら記事が出て落ち込んでいるかもしれない。

俺がデマ記事だと安心させないと。


 玄関から音が聞こえる。

帰ってきたようだ。



「ただいまー」



いつもと変わらない様子でリビングに入ってくる。



「お、おかえり!ご飯ちゃんと食べてきた?」


「うん、食べてきたよ〜」



 凛はそのまま手を洗いに行った。

あれ?いつもと変わらないな?



「ふー!明日はオフだよー!」



 そう言いながら仕事後の一杯を飲んでいる凛。

いや、元気に振る舞っているだけかもしれない。



「なあ凛、SNSで見たんだけど・・・なんていうかそのー、変な記事っていうかー」


「あー、そんなの出てたね」



なんでこんなに冷静なんだ?



「え、これって結構やばいんじゃない?」


「大丈夫、大丈夫!どうせ適当に書いた嘘の記事だから!ここの週刊誌、前もデマ記事書いて批判されてたのよ!」


「そ、そうなんだ」



 三島と同じであまり大事には思っていないようだ。

なんていうか流石芸能人、慣れているというか肝が座っているというか。



「もしかして、バレたかと思って心配したの?」



凛がニヤニヤと俺を見ている。



「そうだよ!」


「可愛いねぇ〜!不安だったんだ〜」



 そう言いながら俺を抱きしめてくる。

凛の言う通りだ、俺は相当不安だった。

もしかして凛との関係が壊れてしまうんじゃないかって思ってたから。



「っていうかまず、かーくんは家から出てないんだからバレるわけないじゃん!」


「そ、そうだな!」



 本当は勝手に外に出てるんだけど・・・

今回のことでアイドルに彼氏がいるとバレるのがどれだけ重要かわかったし、今後は外に出るのは控えよう。

そう誓う俺だった。




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